秋の車両アップデート(その2)

前回の続きで、残りとなった2軸貨車の紹介です。

Accurascale BR 21t MDO Mineral Wagon

昨年に引き続き、今年もAccurascaleのWagonがやってきました。Accurascaleお馴染みのパッケージ。

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1箱に3両入っていて、車両紹介とパーツ展開図(爆発図?)が描かれた簡単な説明書とねじ式連結器のパーツが付属しています。

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上回りだけ見ると、まぁこんなものかなという感じなのですが、下回りの緻密さには度肝を抜かれます。

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この形式は真空ブレーキが未装備のものになりますが、ブレーキレバーから車輪のシューに至るまでのロッドが個別のパーツで組み立てられ、忠実に再現されています。流石に動かせたりはしませんが、思わずそうしたくなるような出来栄え。COVID-19の最中に、ここまで手間をかけた組み立てを必要とする製品を出してくるのですから、Accurascaleは信頼できる工場とうまくやれてるということでしょうか。

合わせて、オプション品の石炭積載パーツも購入してみました。

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レジン製の塗装済みパーツと嵩上げ用のウレタンスポンジが付属しています。

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写真左のようにウレタンスポンジを敷いてその上に乗せると、ちょうどいい高さになります(写真右)。はめるというより乗せるだけなので、脱着も気軽にできるのはありがたいです。

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そしてウェザリングに向けて早速解体(笑)。

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今年のGW連休中に取り組んだHUO Coal Hopperのウェザリングは、初めてということで試行錯誤もあり、かなりの時間がかかったのですが、今回は前回の12両を上回る15両。どうすれば効率的に、かつ楽しく作業できるかを思案中です。

秋の車両アップデート(その1)

10月になりました。今年ほど新製品が届かない年はないのではという気がしますが、いくつか車両がまとめて届きましたので紹介していきたいと思います。

古い時代(Era2, Era3)の客車が欲しい

今年はHattonsのGenesis Coachのリリースを見込んで、

  • ERA 2 (Pre-Grouping) 1870-1922
  • ERA 3 (Grouping) 1923-1947 の前半

あたりの蒸機を先行して運用に入れました。

そしてつい先日新しい蒸機も到着。

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Bachmann Branchline 31-934 LMS 4P Compound 4-4-0 1119 LMS Crimson Lake

準備万端だったのですが、残念ながらリリースは来年に延期... そこで、これらに合う客車を少し探してみることにしました。

LMS Royal Mail Coach

HattonsのPre-ownedで見つけたLMS仕様のRoyal Mail Coach。£30(VAT抜き)ぐらいでした。

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Hornby R4155 LMS Operating Royal Mail Coach Set 30246

Mail Coachは1両欲しいと思っていたので、ちょうどいい感じに見つかってよかったなーと思っていたのですが、届いて開けてみると車両だけでなく付属品がいろいろ付いています。これは何だろうと説明書を見ると、車両に付いたギミックで実際に走りながらMail Bagの受け取りや投げ出しができるようになっているようです。

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これらを使って何がどうなるのかは、まずは動画を見ていただいたほうが早いかと思います。

この車両にはフレーム下に荷物の受け取り、投げ出し用のドアを開閉させるためのレバー(写真左)が仕掛けられています。線路上にレバーを押し上げるための付属のバンプ(写真右)を配置することにより、目的の場所でドアを開閉し、荷物の受け取り、投げ出しを行うというわけです。

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ちなみに自分のレイアウトではユニトラック線路を使っていて、枕木の間にバンプをはめ込むことが難しかったので、似たようなものをプラ板で自作しました。

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動画のデモでは、レイアウト上の左手に受け取り用のフックとバンプ、右手に受け取り小屋とバンプを配置して、列車を右回りで運転しています。荷物を左手で受け取り、ぐるっと奥を回って右手の小屋に届けるという動きです。

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受け取りアクション
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投げ出しアクション

ちなみに実際は、模型のようにドアがパカッと開いたりするわけではなく、網を使ってやりとりするようです(それでも十分ダイナミックですが...)。

Tri-ang Caledonian Coach

HattonsのPre-ownedおよびebay.co.ukで見つけた、Tri-ang製のCaledonian Coachです。おそらく50年ぐらい前(?)の代物で、1両£7〜10でした。

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Tri-ang R747 Caledonian 1st/3rd Composite Coach 2643 + R748 Caledonian Brake Composite Coach 2640

この扉がごちゃごちゃっとついた感じが気に入って買ってみたのですが。調べてみると実際のCledonian Coachは3軸台車を履いていて、屋根も床下もちょっとちがう?あれあれ?どうやらMk1用のフレームを流用(?)して作ったもののようで、このような車両は実在しないようです(笑)。GWR塗装もあるのですが、これもないらしいです(笑)。

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Tri-ang R26 G.W.R. 1st/3rd Composite Coach 7822 + R27 G.W.R. Brake Composite Coach 8176

しまった...と思いつつも、Hattons Genesisですら昔の車両を正確に模型化しているわけではないので、これはこれでヨシ!値段が値段だけに、全体的に年季は入っているし、車輪は真っ黒けでしたが、きれいに磨いてあげたら、あらなかなかいい雰囲気。しかもきれいに走ってくれるではないですか。

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妻面。たぶんこれもMk1っぽい。カプラーはTension Lock。フレームには"Tri-ang"のロゴとともに"BUILT IN BRITAIN"の刻印

もちろんイマドキの模型のようなスマートさはないですが、ゴツゴツとした感じに温かみを覚えます。50年前に作られたこの車両が、いったいどんなひとの手を渡ってどこで過ごしてきたのか想像すると、ちょっとドキドキしますよね。まさか極東の島国までやってくるとは、この車両たちも想像していなかったでしょう。しばらくうちで遊んでいってくださいね!

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ばらすとこんな感じ。板キットかいな!と思う作り。当然室内造作はなし。面白い。

MR & LMS Clerestory Coach

最後はHornby Railwaysブランド時代のHornby製品。MRとのClerestory Coach(彩光用高窓付き客車... 日本だとダブルルーフと言った方が通りがよい?)です。ebay.co.ukで1両£20前後でした。

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Hornby Railways R452 M.R. Clerestory Composite Coach + R453 M.R. Clerestory Brake 3rd Coach
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Hornby Railways R384 LMS Clerestory Composite Coach + R385 Clerestory Brake 3rd Coach
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LMSの妻面はNon-corridorタイプ。刻印は"MADE IN ENGLAND"

購入した製品はいずれも使用感がなく、ほぼ新品状態。箱を開けると、雛人形五月人形を開けたときのような匂いがして、いったいどのぐらい間眠っていたのかとまたまたドキドキ(あれは何の匂いかしら)。

早速蒸機と合わせてみましたが、屋根がダブルルーフになるとぐっと時代を遡ったような雰囲気が出ます。

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今回の一連の購入で、古い模型製品(かといってビンテージでもない)のファンになってしまいました。もちろん造形としてはおもちゃ然としたところもあるのですが、何か不思議な魅力があります。ebay.co.ukを見ていると、MainlineとかAirfix GMR (Great Model Railways)とか、現存しないブランドの古典客車が安価にいろいろ出ているので、もう少し集めたいところではあるのですが、送料を考えるとなかなかおいそれと買うわけにもいかず... うーん、UKに住みたいですね(笑)。

(つづく)

「ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか 民主主義が死ぬ日」(ベンジャミン・カーター・ヘット/亜紀書房)

もともとTwitteで見かけた以下の書籍、原田昌博『政治的暴力の共和国――ワイマル時代における街頭・酒場とナチズム』に興味を引かれたのだけど、大学の出版会からの刊行ということで、おそらくある程度歴史背景を理解している人向きと思われた。

そこで前提を理解しておくために、たまたま書店で目に止まったものを選んだ。

ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか——民主主義が死ぬ日 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズIII-13)

第一次世界大戦後のドイツにおいて、ヒトラー(ナチ党)が合法的に権力を掌握するまでの一部始終を詳述することで、どのような力学が国家を破滅させる指導者を選ぶに至ったかに迫っている。1919年に制定されたヴァイマル憲法は、当時の最高水準の民主主義を採用し、厳密に割り当てられた比例代表選挙、男女平等を含む個人の権利と自由の保障を明文化していたにも関わらず、だ。

ドイツにおけるナチ党への支持は、戦間期にヨーロッパに広まっていたパターンに合致している。ファシスト政党が、たとえまだ権力を握っていなくても、著しい数の大衆の支持を得た過程を詳細に追うと、第一次世界大戦後のヨーロッパの二つの異なる地図があわられる。第一次世界大戦の敗戦国の地図と、共産主義革命の脅威にさらされた国々の地図だ。

(中略)

つまりナチズムは、グローバリゼーションに対するドイツ特有の極端に激しい反応というわけではなかった。他国からの影響を強く受けた国際的反応だったといえる。

当然ながら当時このように状況を把握し、かつ対処できる勢力はいなかった。いまこの時代から俯瞰することで、ようやく理解ができることもある。そう、自分たちは、幸いにも歴史から学べる立場にあるのだけども、過去ではなくいまを俯瞰するための地図をもっているだろうか。

文中に大量に人の名前(政治家、軍関係者)が出てくるのだけど、巻頭にある主な登場人物の解説を厭わずに読めば、当時の苦悩を追体験できる良書だと思う。

Black FiveのDCCサウンド化+電飾

今回は、Llancot Railway 2機目となるBlack Five、British Railways 4-6-0 Class 5MT 44668をDCCサウンド化した作業記録です。

古い設計のDCC Ready機

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Hornby R2322 BR 4-6-0 Class 5MT 44668

Hattonsの中古(Pre-owned)で見つけたBlack Fiveは、BR Black Livery(Early Emblem)のもので、価格はVAT抜きで£82.50。2003年製とやや古いながらも、5poleモーターと8pin(NEM652)ソケットがついたDCC Readyの製品です。ただ最近のHornby製品とは、若干構造が異なりました。

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まず本機とテンダーを繋ぐカプラーが、ドローバー+ケーブルではなく、写真のような通電カプラー(?)になっていました。

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ドローバー+ケーブルの場合は、本機→テンダーの線路集電用と、テンダー→本機のモーター出力用の4極端子ですが、この通電カプラーは2極のみ。モーターは本機側にあるので、テンダー→本機の線路集電用になります。本機の車輪でも集電しているので、あくまで集電を補助するための通電カプラーという位置付けです。

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そしてデコーダーの搭載位置は、テンダー側ではなく本機側に。ボイラー中央付近に8pin(NEM652)のソケットが鎮座していました。

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横からみてわかるように上下方向のスペース(赤矢印)はほとんどないため、スピーカーを入れるとなるとタンク式機関車の場合と同じく、ボイラー前方の煙室に押し込むことになります。この製品が設計された当時は、DCC対応といってもサウンドまでは考えてなかったように思われます。Hornbyは自前でサウンドデコーダー(TTS Decoder)をリリースしていますが、サウンド対応する際にスペースに余裕のあるテンダーにDCCデコーダーを移設して、現在の設計になったのでしょう。

デコーダーの選択

8pin(NEM652)ソケットがあるわけですから、素直に8pinインタフェースのサウンドデコーダーを選んで、煙室に収まるスピーカーを選べば、サウンド化は可能です。

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その場合、煙室(黄矢印先)には

  • デコーダー本体
  • 8pinケーブル
  • スピーカー
  • Stay-Alive回路

を押し込むことになります。このうち意外と厄介なのが8pinケーブル。デコーダーに直付けされたケーブルは取り回しが難しく、毎度収めるのに苦労するところです。

仮にインタフェースをNext18に置き換えれば、煙室には

  • スピーカー
  • Stay-Alive回路

だけを納めればいいことになり、スペース面では圧倒的に有利となります。そこでお試しに、先日laisdccから購入したNext18インタフェースボードを、8pinソケットの位置に付けてみました。

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おぉ!これですよ、これ。8pinソケットにはご退場いただいて、インタフェースはNext18でいくことにしました。

デコーダーがテンダー搭載ではなく本機にあることは、確かにスペース面では不利ですが、Loco LampやFirebox Frickerなどの本機側に必要な電飾の配線実装を考えると、実は有利な面もあります。本機搭載のモデルでサウンド化だけではもったいない。合わせてFirebox Frickerや念願のLoco Lampを付けてみることにしました。

Next18への換装

まずはNext18への換装から始めます。インタフェースボードには、あらかじめスピーカー(紫)とStay-Alive用(青、白)の配線を引き出しだしておきます。

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次に8pinソケットから取り外した、線路(左右)とモーター(+、−)を取り付けます。

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この状態で、一旦動作チェック。

配線作業は、とにかく1ステップごとに動作確認をしながら進めます。これを怠ると、問題があったときにどこでミスをしたか、わからなくなってしまいます。面倒でも丁寧に確認していくことが、成功への近道です。

電飾の工作

次に電飾に取り掛かります。電飾を細工する際の重要課題は、電飾とデコーダー間の配線をどのように取り回すかです。今回は

  • Firebox Fricker
  • Loco Lamp

の2つを取り付けるのですが、電飾を取り付ける場所は、いずれもデコーダーが乗っているシャーシではなく、外装側となります。つまり、電飾からの配線をデコーダーインタフェースに直接接続してしまうと、シャーシから外装を自由に取り外せなくなってしまいます。その後のサウンド化の作業はもとより、後々のメンテナンスの際に大きな障害になりそうです。

もちろん巷の製品でも同じ状況になるわけですが、外装とシャーシの間に配線はありません。多くの場合、外装とシャーシそれぞれに電気的な接点が作られ、外装を嵌め込むと接点が接触して導通するような仕組みになっています。

だったら、自分もそれを真似ればいいんじゃ?ということで、外装に電飾を取り付けた上で、さらに接点を加工して取り付ける方針でいくことにしました。

Firebox Fricker編

製品によくあるFirebox Frickerの構造は、焚き口付近にスモークプレートが埋め込んであって、後ろからLEDを光らせる構造になっています。

しかしそんな細工をする素材もスペースもないので、焚き口のところに直接1608のチップLEDを載せて光らせることにしました(黄矢印)。LEDは、模型電子部品ショップMSR橙色の配線済みのものを使用。

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配線はそのまま裏に貫通させて、0.2mm厚の燐青銅板を短冊上に切り出して作った接点に半田付け。U字に折り曲げて両面テープで固定します。

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点灯試験。

ちなみにチカチカしているのは、そういう回路を使っているのではなく、単に電源に使ったパワーパックの出力を上げ下げしているだけです(笑)。

Loco Lamp

さてお次は、待望のLoco Lampです。DCC Conceptsから出ているLoco Lamp用LEDを使いたかったのですが、これがずっとOut of Stockのままで再販される気配がないので、在庫のあるBrake Van用LEDで代替することにしました(正直どう違うのかわかってない...)。こいつはWhite, Redのどちらも光るスグレモノなのですが、今回はWhiteのみを結線して使います。成形色は黒なので、あらかじめ白く塗装しました(写真右)。

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英国蒸機のLoco Lampは、取り付け位置と組み合わせによって列車の種別や積み荷を表すルールがあります。

British Railways headlamp codes

今回は取り付けの簡便さと見た目重視で、バッファビーム上の左右に取り付ける形の"Express Passenger Train"の設定で進めます。

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まずランプ取り付けの突起モールドをカットします(黄矢印)。ピンバイスで床下方向に穴を開け、配線を通してからランプを瞬着で固定します。

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床下に回した配線の先に抵抗を取り付け、バッファビームの裏に収めます。

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さらにその先に、先ほどと同じ接点を半田付けして取り付け、両面テープで固定します。

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こちらも点灯試験。

ドイツの模型蒸機は大抵ランプが光っていて憧れだったのですが、ついに英国蒸機にランプを載せることができました!

シャーシへの接点取り付けと配線

続いてシャーシ側の配線と接点の工作を行います。

写真のようにF1 = Firebox Fricker, F2 = Loco Lampを割り当て、接点に向けて配線を伸ばします。Common+は3分配(Firebox Fricker, Loco Lamp, Stay-Alive)してあります(写真では白GNDに接続されていますが、これは間違い)。

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0.1mm厚の燐青銅板を切り出して接点を作成し配線の先に取り付け、それぞれ外装に取り付けた接点とコンタクトする位置に設置します。

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ここまできたら、外装を嵌め込んで走行試験。走行時の点灯に問題がないか、ショートが起きないかなどを十分に確認します。

試験には安価なlaisdccのデコーダーを使っています。トラブルでデコーダー損傷があっても金銭的被害が少なくて済むので、精神的被害も避けられます。

サウンド

最後にスピーカーとStay-Alive回路を取り付けます。あらかじめ配線を引き出しておいたので、取り付けは楽ちんでした。

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今回の作業の際に、TSKのツールクリッパーを導入してみたのですが、これはなかなかスグレモノでした。上の写真では、配線を半田付けする際に、部品を固定した木片をツールクリッパーで挟んで使っています。こうすることで、部品を自由な位置にもっていくことができ、作業効率が大幅に改善されます。まさに3本目の手として、工夫次第でいろいろ使い道はありそうです。

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完成!

ではいつものごとく、最後は動画でどうぞ。

たまたま買ったモデルが、テンダー式の大型蒸機でかつ本機側にデコーダーがあるという幸運に恵まれて、今年やりたいことの1つだった蒸機への電飾(特にLoco Lamp)が達成できました。燐青銅版を使って接点を作る経験値も得られたので、いろいろと応用できそうです。

こうなると、次はスモークに挑戦したいですねぇ。

Station Update 2021

先月はプロジェクトらしいプロジェクトもなく、ブログの更新がご無沙汰になっていました。少しだけですが、駅周りのアップデートをしましたので、まとめておきたいと思います。

Flower Beds

駅周りはレイアウトの中でも一番最初に作った部分で、これまでにもいろいろと手直しを入れてきました。昨年夏に行った改修はこちら。

今回は、春に作ったSignalBoxの花畑に触発される形で、ホームにも花壇を作って華やかにしてみることにしました。

こちらは駅舎のあるホーム向けの大型の花壇です。5mmのスチレンボードのベースに、NochやMini Naturの草花の素材を貼り付けています。

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島式のホーム向けには、両端のスロープに置く細長い花壇を作ってみました。こちらも5mmのスチレンボードのベースに、Mini Naturの草花の素材をアレンジして貼り付けています。

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草花の飾り付けが終わったら、スチレンボードが見えている部分を隠します。手前の大型花壇はMetcalfeの赤レンガ柄のペーパーを巻いて、レンガ造りの花壇に。

奥の細長い花壇は別アレンジにするべく、以前裏庭の囲いを作るために買ったScale Model SceneryのWooden Fancingの余りを利用して、木製の囲い型に。白く塗装し、長さを切り詰めて貼り付けました。

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素材に使ったWooden Fancing
レーザーカットのカードキットですが、非常に良く出来ています

Signboard

もう一つホーム上の小物として、掲示板の製作も行いました。掲示物は、GaugemasterのGWRの掲示用ボードと往年のGWR宣伝ポスターのシールを使います。

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このシールのサイズに合わせて掲示板を作っていきます。材料は、TAMIYAのプラ角棒(3mm, 5mm)とプラ板(1.2mm厚)。

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5mmのプラ角棒を土台にして、掲示板をそれっぽく造作します。土台を入れたのは掲示板を簡単に自立させるためですが、この部分を花壇に見せることで、不自然さをなくします。

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サフを吹いて花壇を塗装したところまで。

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雰囲気を出すために、掲示板上端にヒサシを追加しています。以前作ったScale Model SceneryのStation Signsのカードキットの余りを、素材として利用しました。このカードキットで使われているペーパーは、硬質ながらカッターでも素直に切れるので、細かい素材を作るのに向いています。

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掲示板の塗装はエアブラシで。TAMIYAのアクリル塗料XF-8ハルレッドをベースに、XF-2フラットホワイトを加え、XF-3フラットイエローとXF-8フラットレッドを少量足して、やや明るくなるように調色しました。

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掲示板とポスターのシールを貼り付け、Mini Naturの草花を植えれば出来上がり。

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こちらは駅舎の壁に貼り付ける用。こちらもカードキットの余りで製作してます。

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Decoration

今回作った小物は、いずれも基本的にポン置きできるものですが、島式ホーム用に作った花壇は思いのほか高さが出てしまったので、ホームの一部を切り取って花壇埋め込むことにしました。スタイロフォームで作っているからできる現場合わせ芸。

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駅舎ホームの花壇たち。

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駅舎のポスター。

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島式ホームの掲示板。

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跨線橋脇にも。

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ちょっとした変化ですが、レイアウトの中に置いた瞬間に生き生きとしてくるのは本当に面白いです。こうやって毎年少しずつアップデートを重ねていけるのは、長年かけて作るレイアウトならではの醍醐味。また来年が楽しみです。

余談

GaugemasterのGWR掲示板シールに、下写真赤矢印の柄のものが入っていて、「これはいったい何だろうね?」というツイートをしたら、Shedly Yardのひとが教えてくれました。

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「ポスターを剥がした跡」... なるほど!

(Gaugemasterのひとが「いいね!」してたのできっと正解(笑))

「竜とそばかすの姫」に関するメモ

「竜とそばかすの姫」を観た。

とはいえ、楽しみに観に行ったというよりは、ブログなどに書かれた感想を読み漁るうちに、本編を見ずにそれにコメントをするのは気が引けるのでとりあえず観ておくか、という体である。

細田作品は「時をかける少女」あたりからずっと観てきていて、「バケモノの子」までは特に引っ掛かりもなく楽しく観ていたのであるが、「未来のミライ」で完全なる拒否反応を起こして今に至る。自分としても、この「竜とそばかすの姫」でダメだったら、たぶんもう細田作品は合わないんだろうな、と思いながらの鑑賞であった。

結果は... 1ミリもいいとは思えないまま、エンドロールが流れた。

よく書かれているストーリーのアラに関しては、期待していなかった分、正直それほど気にならなかった。それよりも、登場人物の中で共感できるやつが誰一人としていなかったことの方が致命傷だった。全員が気持ち悪いのである。

母親を事故で亡くして、大好きな歌を歌えなくなった「すず」。どうして母は、娘である自分を差し置いて、見ず知らずの少女を助けるために命を投げ出してしまったのか。トラウマになるには十分な過去ではあるが、それは過去の話なのである。物語が描かれるのは、それから10年ほどの歳月が経ったところだ。もちろんいくら歳月が流れようとも決して癒されない悲しみというものもある。でも彼女の周りには、父親もいれば、親友と呼べる女友達も、幼なじみの男友達もいる。母が所属していた(?)合唱サークルのおばさんたちも、きっとずっとすずを見守っていたに違いない。

もしこれが、両親とも死んでしまったとか、おまけに施設にでも送られて、自分の胸中を語る相手がいないまま過ごしてきたというのなら、まだわかる。でもすずにの周りには、彼女のその悲しみを共有し、救いの手を差し伸べられる潤沢なリソースが揃っているのである。にもかかわらず、彼女はまだワダカマリを抱えたまま高校生になっている。これはどう考えても何かがおかしい。

特に一番彼女と悲しみを分かち合う存在になるはずの父親の描かれ方は、じつにひどい。もはや明確な悪意を持って描かれているとしか思えない冷たさである。彼も最愛のひとを亡くし、家族を守ることを半ば放棄しかかっているという設定なのであれば、真っ先に救われるべきはすずではなく、その父親の方なのではないかと思うぐらいだ。

いずれにしても、母親が亡くなってから10年以上経ってもなお、すずがワダカマリを抱えたままになっているのは、もはや彼女の生活する環境は彼女を救うに値しなかった、という明確なメッセージではないか。Uは単なるキッカケだ。少女よ、故郷を捨てよ、都会に出よう。それこそ、彼女が本当の姿を取り戻す道なのである。

もしこの映画のラストが、家に帰ってきてよかったね的な終わり方ではなく、あの兄弟と駆け落ちまがいのことをして、一度は児相に踏み込まれて故郷に送り返されるも、一念発起、猛勉強の後に無事東京の大学に進学を果たし、兄弟とすずの3人で新しい生活を始めるとかだったら、まだ納得できたかもしれない。そんな妄想だけが、残った。

(あれ、なんかそんな映画をどっかで観たような...)

IORI工房 ハ1005 への室内灯の組み込み

電飾シリーズをさらにもう一つ。年初に製作したIORI工房のペーパーキット ハ1005 にHornbyのMAGLIGHTを室内灯として組み込んでみました。

Hornby MAGLIGHTとは

Hornby MAGLIGHTとは、Hornby 2021 Rangeの4 & 6 Wheel Coaches用の室内灯キットです。4 & 6 Wheel Coachesは、室内灯付きと室内灯なしの2バージョンがありますが、室内灯なしのものにも後から室内灯を組み込めるように、室内灯キットがMAGLIGHTとして別売されました。

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パッケージの中には、上から順に、室内灯をオンオフするための磁石、電池ボックス - 基板 - テープLEDが配線されたキット本体、基板をボディに止めるためのネジ、ボタン電池(CR2032)が入っています。

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キット本体(写真左)と基板部分(写真右)

MAGLIGHTの特徴としては、車輪集電ではなくボタン電池(CR2032)を電源とした上で、リードスイッチを使った磁石によるオンオフが行えることです。これにより、車両への加工を最小限にして、室内灯を組み込むことができます。

ちなみに磁石によるオンオフは、このような動作になります。

今回はこのキットを利用して、ハ1005に室内灯を組み込んでみることにしました。

電池収納および室内製作

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さて生贄組み込み対象となるハ1005は、写真の通り室内はがらんどうで、先ほどの室内灯キットを収めるだけであれば、何の問題もありません。ただ当然のことながら、室内灯で室内表現が全くない状態がはっきり見えてしまいますし、大きなボタン電池ケースも目立ちます。

そこで、ある程度の室内表現(座席など)を行うと同時に、ボタン電池ケースを覆い隠せるようなものを自作してみることにしました。

しかしハ1005の車内がいったいどうなっていたのか... Twitterでつぶやいていたら、IORIさんが助け舟を出してくれました。

イメージはできたのですが、手元にはレーザーカッターも3Dプリンタもないので、プラ棒とプラ板、あとは真鍮線で出来る範囲にうまく落とし込む必要があります... 設計図も書かずに、ダメもとで作り始めることにしました。

まずは電池ケースを覆い隠せるような台を3mmの角プラ棒(2段重ね)と1.2mm厚プラ板で作ります。

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この底上げした平面を座面として、座席になるように不要な部分をくり抜きます。背もたれになる部分は、2mmの角プラ棒を0.5mmの真鍮線で支える構造としました。

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一旦ボディにはめてみて、窓越しに見た目を確認します。色を塗れば、IORIさんに教えていただいた、加悦鉄道のハ4995の室内に似た雰囲気になりそうです。

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塗装は、座席にあたるところはMr カラーのC7ブラウン、それ以外の部分は室内の壁と同じC44タンを使って塗り分けました。座席は本当はもう少し落ち着いた色だと思うのですが、明るめの色にした方が室内造作がはっきりと目立つだろうという理由で、この色にしています。

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もう一度、ボディをはめて確認。試しにフィギュアも置いてみました。なかなかいい感じです。

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組み立て

部品が出来たところで、組み立ててみます。

まずはMAGLIGHTのLEDテープをボディサイズに合うように6灯分→4灯分に短縮し、さらに真ん中の2灯分はアセテートテープでマスキングします。(実車の天井ランプは2つしかないので)

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次に、LEDテープを天井に、基板は妻面の壁面に固定します。固定は後のメンテナンスも考えて、全てBlack Tackを使いました。基板には、上からマスキングテープを貼って目立たないようにします。

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さきほど塗装した座席パーツに電池ケースを固定して、さらにボディに固定します。フレームをネジ止めすれば、無事組み立て完了です!

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 完成動画はこちらから。

ちなみに費用とか

MAGLIGHTはHattons価格で1つ£9.16(VAT抜き)なので、決して安いとは言えませんが、オールインワンでかつ加工のしやすさから考えると、十分価値はあると思います。また3Vの電源が取れるので、応用の範囲はいろいろとありそうです(本当はこの基板を自作できれば一番いいんですけどね...)。