HUO Coal Hopper Wagonのウェザリング

昨年秋に導入した、初のAccurascale製品 HUO Coal Hopper Wagon。

記事の中で

課題はウェザリングをどうする?というところなのですが、まずは走らせて追々考えてみたいと思います。

と書いていましたが、半年以上を経て、このGW休暇の課題として、ついにその「追々考える」に取り組んでみることにしました。

ウェザリングのやり方検討

貨車のウェザリングは、昨年末に中古のCoal Wagonで一度お試しをしています。出来は決して悪くなかったのですが、やはりいくつか課題も見えました。

このときは、塗料に「Mr.ウェザリングカラー」を使用したのですが、こいつはあくまで地色に汚しを入れるためのものであって、地色自体を隠蔽するような効果は限定的。逆に地色が濃過ぎると、汚しの効果が出にくくなります。また筆塗りの痕もばっちり残ってしまうので、塗ったままに自然な感じを出すのはなかなかの技量を要求されます。拭き取りができるので、基本的には塗ったり拭いたりの繰り返しで、テクスチャを整えていくことになります。

HUO Coal Hopper Wagonは地色が白っぽい灰色なので、ウェザリングで入れたテクスチャが非常に目立つことが予想され、たとえ調整可能であっても、筆跡が残る可能性のあるようなやり方はなるべく避けたいところです。

となると別の方法を模索する必要があるのですが、なんといっても年初に導入したエアブラシという強力な武器があるので、これを生かさない手はありません。先ほどのウェザリング練習をした貨車に、さらにエアブラシを使った効果を試してみたのがこちら。

さすがの仕上がりといったところです。まずは足回りを中心にエアブラシによる塗装を入れ、さらにプラスアルファを考えるという路線がよさそうです。

あとは何かお手本になるものがないかと、実車の写真を中心にウェブサイトやYouTubeなどをあさっていたのですが、この模型を作っているメーカーAccurascaleのサイトのブログ記事に、HUO Coal Hopper Wagonのウェザリングが取り上げられていました。

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ウェザリングの程度もライトな感じで、自分としては好みの仕上がりです。よって、こちらの記事を参考に作業を進めることにしました。

作業開始

貨車本体から石炭と車輪をはずし準備ができたら、まずはエアブラシによる足回りの汚しを入れていきます。

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使用する塗料はタミヤのアクリル塗料XF-10フラットブラウンです。塗料:うすめ液を1:2ぐらいで希釈して吹いていきます。

続いて、Hopperのハコを支える柱や枠にスミ入れをする要領で筆塗りをします。これも同じくXF-10フラットブラウンを使います。

スミ入れをしたあとに、塗装ハゲによるサビ表現として、ごく適当に点々と塗料をあちこちにのせていきます。スミ入れをしたときに想定以上にはみ出してしまったり、筆先が思わず別の場所にあたってしまったりしたところも、この塗装ハゲとしてごまかし... もとい、利用しています。

作業のポイントとしては、多少のはみ出しは目をつむって(どうせそんなに気にならない)手早くやることです。時間が経つとどんどん塗料が乾燥してしまうので、次第に塗料の伸びが悪くなったり、穂先に十分塗料がのらなかったりと、作業効率が落ちていきます。そうなると何をしてもうまくいかないので、その場合は一旦筆をうすめ液で洗ってきれいにして、塗料も新しくするのが肝要です。塗料はケチらない、これです。

動画にあるように、最初は普通の細筆を使って作業していたのですが、さすがに数をこなすのが厳しいので、新しくタミヤモデリングブラシを買ってみました。いろんな筆を使ったことがあるわけではないので比較はできませんが、軸部分が太く筆ペンを持つような感じで使えるので、ひとまず期待には応えてくれたかなと思います。

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さてスミ入れ・サビ表現が終わったところで、仕上げとしてうすめ液を使った滲みを入れていきます。先ほど塗料をのせた部分に、うすめ液を含ませた筆で若干擦ってあげると、塗った塗料の一部が溶け出して、雨でサビが流れたような表現を加えることができます。このとき筆は常に上から下に動かすようにします。

 ここまでの仕上がりは以下の写真の通りです。近づいて見るといかにも色を塗ったふうなのですが、ちょっと離れるだけで塗装ハゲやサビに見えるので、面白いですね。

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続いて内側。外側に色が漏れないように、ボール紙でカバーを作ります。右写真のように、カバーをはめ込んだ状態にして吹いていきます。

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使用する塗料は、タミヤのアクリル塗料XF-10フラットブラウンとXF-1フラットブラックを3:2ぐらいで混ぜたもの。塗料とうすめ液は1:2ぐらいの割合で混ぜます。

 内側を吹いたあとの仕上がりはこんな感じです。

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塗装前と塗装後を比較してみます。Accurascaleの貨車はもともと造形が細かいのが特長ですが、ウェザリングを入れることでグッと石炭貨車っぽくなりました。

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貨車は全部で12両。同じ工程を残りの11両にも行います... が、両数をこなすのはそこそこ根気のいる作業でした(全工程で1両/1時間ペース)。

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では、走行動画をどうぞ!

ウェザリングの楽しみ方

ウェザリングを入れるか入れないかは人それぞれ好みがあると思います。特に機関車は、ピカピカの状態で走らせたいこともあれば、少しくたびれた感じの方が趣がある場合もあり、一概にどちらがいいというのは言えないでしょう。シーンによって、ウェザリングを入れたり消したりすることはできないので、なかなか悩ましいところです。

Llancot Railwayでは、貨物については基本的にすべてウェザリングを入れる方針でやっています。貨物は洗車されることはほとんどないでしょうし、長期間使用されるものも多いでしょうから、多少の汚れがある方が自然で、重厚感や趣もあってよいものです。これまではウェザリング済みの製品を選んで買っていましたが、自分でウェザリングを入れられるようになることで、選択肢が広がるとともに、新しい楽しみ方が増えるようにも思います。

2021Q3にAccurascaleからリリース予定のMDO/MDV 21t Mineral Wagonを15両導入予定で、どんなふうにウェザリングを入れるか、いまから妄想を巡らせています。次なる目標は蒸機のウェザリングかな... まだまだ楽しみは続きます。