腕木式信号機(その1)

さて次なるプロジェクトのお話です。直近の車庫改修が大工事だったこともあり、今回は少しお手軽なものということで、腕木式信号機(Semaphore Signal)を導入してみたいと思います。

腕木式信号機は、鉄道発祥の地イギリスで鉄道黎明期から使用され、幾度にわたる改良を重ねられ、いまも現役で使われている英国鉄道風景になくてはならない存在です。

いまのレイアウトにはTrain-Techの色灯式信号機(2灯式、3灯式)を導入していますが、腕木式信号機は当時設置の難易度から諦めたのでした。

上記過去ブログ記事にも書いていますが、OO Scaleで使える腕木式信号機Dapolからモーターで動作するものが製品化されており、バリエーションも豊富です。腕木が動くだけでなくLEDによる発光もサポートされており、仕様としては申し分ありません。

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またDCC制御に関しても、Train-TechからDapolの製品向けのDCC制御用モジュールが発売されていて、これを組み合わせることでDCC制御可能なLED付き可動腕木式信号機が出来上がるのです。これを買わないで何を買う?という感じですね。

ところが。

この製品、ウェブカタログを見てもわかるように、ベースボード下に埋め込む部分のサイズが異常に大きいのです。

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もちろんサーボモーターなど腕木を動作させる仕組みが入っていると思うのである程度は仕方ないと思うのですが、ベースボードの下にぶら下げるにはちょっと躊躇する大きさです。

またRMWebに投稿されていたマニュアルを見ると、設置の際に必要な穴の直径は15mm、ベースボードの厚みは1-22mmとなっていました。いまのレイアウトのベースボードの厚みは25mmあり、さらにその上に5mm厚のコルクを敷いているので、最低でも30mmの厚みが許容されていないと設置できません。また真偽のほどは不明ですが、上記にリンクしたRMWebのDapolの信号機に関するスレッドを読んでいくと、「すぐ動かなくなった」というような書き込みが散見されました。決して安い買い物ではないことを考えると、購入を思い留まるのに十分なインパクトがありました。

そこでDapolの信号機の導入は止め、別の方法を探ることにしました。

腕木式信号機を知る

「可動式」「完成品」という制約を取り払って検索してみると、PECOがRatioブランドで出しているキットが候補として挙がってきます。バリエーション展開も豊富で、信号機の種類だけでなく、Big Four時代の各会社ごとの特徴を再現したものとなっていて魅力的です。

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しかしこの中から一体どれを選べばよいのでしょう?

色灯式信号機では2灯式(Green/Red)、3灯式(Green/Yellow/Red)など、せいぜい信号の灯の数を選ぶぐらいだったのですが、腕木式信号機はそんな単純なものではなかったのです!(いまさら...)

腕木信号機には赤い腕木のHomeと黄色い腕木のDistantがあります。これらHome, Distantはそれぞれ単独でポストに付いているものもあれば、2つが組み合わさったものもあります。また腕木が縦に並んでいる場合もあれば、ブラケットと呼ばれる台に並んで付いているものもあります。

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様々な腕木式信号機

これが何を意味するのか?身近に腕木式信号機を見たことがない自分にとっては、全く未知の領域でした。レイアウトに導入する前に、まずは実際の腕木式信号機の運用を知りたい。イギリスのRail Booksという鉄道関連書籍の専門書店で腕木式信号機に関する適当な本を探していたところ、Great Western Study Groupという研究グループ(?)が出版した「GWR Signaling Practice」という本を見つけました。

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400ページに及ぶ大著で、Great Western Railwayで使用された様々な種類の信号機及信号所の設計、配置、運用について、膨大な写真を交えながら解説されています。まだまだここに書かれたすべてを理解するには至っていませんが、以下にレイアウトに腕木式信号機を導入するのに必要な程度の紹介をしたいと思います。

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Distant, HomeそしてStarting Signals

図は左から右へ一方向に運行される線路において、どのように信号機がおかれるかを示した最も単純な例です。

線路はBlock SectionとStation Limitsの区間に区切られます。Block Sectionはいわゆる閉塞区間で、原則としてこの区間に入れる列車は1編成のみです。

Station Limitsは駅やヤードなどの区間となる部分で、この区間内には本来もっと複雑な配線や信号が存在します。そのStation Limitsに入る最初の停止信号機(Stop Signal)をHome Signalと呼び、最後の停止信号機をStarting Signalと呼びます。そしてこの例ではStarting Signalから次のHome SignalまでがBlock Sectionとなっています。

Home SingalとStaring Signalが停止信号機であるのに対し、その手前におかれる警戒信号機(Cautionary Signal)をDistant Signalと呼びます。信号機の置かれる場所が信号所から離れていることから、この名が付いています。

腕木式信号機が表す信号はDanger/OnもしくはAll Right/Offです。腕木が真横の状態がOnですが、Offについては腕木が上方に傾くタイプ(Upper Quadrant)と下方に傾くタイプ(Lower Quadrant)の2種類があります。イギリスではUpper Quadrantが主流ですが、Great Western Railwayの路線はLower Quadrantが使われていたようです。

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Upper QuadrantとLower Quadrant

また腕木の形は、停止信号機が四角い腕木を持つのに対して、警戒信号機は一端が燕尾形(Swallow Tailed)になっているのが特徴です。また色も停止信号機の赤色に対して警戒信号機は黄色で塗られています。

さてこの基本を踏まえて、バリエーションを見ていきます。

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左側はHomeとDistantが1つのポストに付いた例になります。これは次のHomeに対するDistantが、手前のHomeと近接しているときに同じポストにまとめて設置されます。

右側はブラケットに複数のHomeが並んでいる例になります。これはDirectional Signalといって、分岐の手前に設置されるもので、分岐のどちら側に進行するのかを示すものです。中央のHomeはMainへの進行を示し、左の少し低い位置にあるHomeが右のBranchへの進行を示します。

これはほんの序の口で、信号機の世界は沼... いや奥深いわけですが、それはまたの機会にするとして。以下の2種類の信号機をレイアウトに設置してみることにしました。

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いまのレイアウトの配線から選んだ... というよりは「なんとなくかっこいいから」という理由ですが(何のために調べたんだ...)、これを設置する場所については多少調べたことが役に立つはずです。

では次回から製作に入っていきます。

(つづく)

デイジー・マグノリアを巡って

劇場版「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、ヴァイオレットたちが生きたその後の時代から過去を振り返る形で、ヴァイオレットの物語が語られるという構造になっている。単に「ギルベルトとの再会」という主題に直接フォーカスするのではなく、シリーズのラストを飾る作品として「ヴァイオレットという女性の生涯」というフレームを持ってきたのは、個人的には良い挑戦だったと思う。
この語り部として出てくるのが、あの伝説の10話のヒロイン、アン・マグノリアの孫デイジーマグノリアである。冒頭、マグノリア家のお屋敷から物語は幕を開けるのだが、見覚えのあるその外観にファンならはっとしただろう。場面はアンが亡くなってお葬式が執り行われた後から始まる。デイジーはそのお屋敷の暖炉跡の上に置いてあった箱から、曽祖母にあたるクラーク・マグノリアが祖母アンに向けて書いた誕生日ごとの手紙を見つけ、その代筆の主であるヴァイオレットの足跡を辿る、という導入だ。このくだりは既にYouTubeで公開されているので何度でも見ることができるのだが、自分にはなぜデイジーがヴァイオレットの足跡を辿ろうとしたのかがどうにもわからないのである。


まずこのデイジーと祖母アンがどのような関係であったかがはっきりしない。デイジーと多忙な母の関係がうまく行っていないことは示されるのだが、デイジーが祖母アンとどのような関係であったかははっきりと示されない。デイジーは祖母アンのことを心配していたようだが、途中に挿入される祖母アン、デイジーの母、デイジーの三人が写った写真では、祖母とデイジーの母は仲良く収まる横で、デイジーは少し距離を置いてそっぽを向いているのである。そもそもこんな写真を飾るのかという気もするが、母との仲違いを強調したかったのだろうか。しかし祖母アンとデイジーの関係は捨て置かれたままである。両親が仕事に戻ったあと、テラスで母との仲違いの後悔を祖母アンに対して心情吐露する場面がある。ここで初めてアンが母より祖母に心を開けていたかもしれないことが示唆される。(余談だが、セリフでの心情吐露はあまりにも直接的で説明的になってしまっている。これより前のシーンでドールについての説明を思いっきりセリフでしてしまうのも非常に興醒めだった... そんなものはなくてもこの映画は成立すると思うのだが... 「リズと青い鳥」で見せた美しさはどこへ行ってしまったのだろう)

ただ、もしデイジーが祖母アンと親密な関係を築いていたのであれば、手紙のことを知らないのはどうしてだろうか(母は知っている)。もし母との仲違いのことを祖母アンに相談していたのであれば、おそらくデイジーにも手紙のことを話していたように思う。
この関係性がはっきりしない状況は、その後手紙を読んだときの反応にも現れる。デイジーは祖母アンではなく、なぜか曽祖母クラークに共感して涙を流すのだ。正直これは唐突過ぎて面食らってしまった。その涙を補完するように10話の回想シーンが挿入されるが、あの手紙が感動的なのは手紙が書かれた状況の前提があるからなのであって、手紙の内容そのものは普遍的な母から子への愛情を示したもの以上でも以下でもない。デイジーはいま母親との関係がうまくいっていないのだから、祖母アンに対してうらやましいという気持ち起きても、曽祖母クラークへの感情移入して泣くというのはどうにもわからないのである。
やがてデイジーは箱に入っていた新聞の切り抜きを見つけ、ようやくヴァイオレットという人物にたどり着く。この劇場版の語り口を構成する物語の起点としては最も重要な場面だ。でもなぜかここで「ヴァイオレットという女性の生涯」に影を差す衝撃の事実が語られるのである。「18歳のときにそこを辞めて以降、彼女の記事を見ることはない」。つまりドールとしては彼女は大成することはなかったという事実だ。
もちろんこの映画を観に来た多くのファンは、このセリフの意味をギルベルトとの再会を果たしたことだと了解し、悪いことと捉えないのかもしれない。でもわざわざ語り部を引っ張り出してきたのは「ヴァイオレットという女性の生涯」を語るためではなかったのか。「ドール」という職業を通じて、武器であった彼女は「あい」を知り、自分自身を確立できたのではなかったのか。それだけではない。外伝では他者をも導く存在となったのではなかったのか。アニメシリーズではアイリスが結婚してからも仕事を続けるといい、それをエリカが新しい時代ね、と肯定的に語っていたのではなかったのか。何よりもヴァイオレットは「ドール」を愛していたのではなかったのか。もしギルベルトとの再会がドールとしての大きな飛躍を阻んだのであれば、ギルベルトと再会しないほうがマシだったのでは。そしてそんな彼女のことをデイジーはどうして追いかけようとしたのか。何も語られぬまま、この物語は始まるのである。
率直に言って、この冒頭の10分は物語に導かれるどころか、混乱を生み出しただけだった。少なくとも僕にとっては。

物語にifはないけれど

ヴァイオレットとギルベルトと再会を果たしたあと、物語は冒頭に連なるデイジーの話へと戻ってくる。普段伝えられなかった思いを手紙を通じて両親に伝えるというところで話は終わる。だとすれば、ヴァイオレットに辿り着くきっかけも手紙であったらよかったのかもしれない。
新聞の切り抜きをしていたように、アンはクラークの思いの向こうに手紙を代筆したヴァイオレットの存在を認識していた。だとすると、アンとヴァイオレットの間で何らかの手紙のやりとりがあったとしても不思議はない。例えばCH郵便社を去る前に、母クラークではなくヴァイオレット自身からの手紙として、アンに対して何らかの励ましの言葉が送られていたのなら。そしてその手紙をデイジーが読んだのなら。そしてそれが両親に対して素直に自分の気持ちを伝えようと思ったきっかけになったのなら。アン、ヴァイオレットそしてデイジーという三者が、時を超えて大きな円環の中に収まることができたのではないだろうか。そんな妄想を僕は止めることができない。

劇場版「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」感想

原作の完結編が期待をはるかに上回る出来だったので、原作とは違う結末を辿るであろう劇場版も大いなる期待を抱いていたのですが、正直感想を書くのがこんなに大変になるとは思いもしませんでした。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、もちろんヴァイオレットと戦争で苦楽を共にした上官ギルベルトとの恋物語の側面が強いわけですが、この作品のタイトルがずばり主人公であるヴァイオレットの名前そのものであるように、本質的には彼女の人生譚であろうと思います。人の感情がわからなかった彼女が、上官が遺した最後の言葉の意味を知りたいという極めてパーソナルな理由で代筆業(ドール)という職業に就き、そこで出会った様々な人々の思いを手紙の代筆を通して感じることで、彼女自身の人格が再生されていくという面白い構造をもったお話なのです。

しかしこの劇場版を作ったひとたちは、どうしてもヴァイオレットを守るべき可憐な存在として描き、その願いを成就する恋物語が作りたかったように思えてなりません。もちろんアニメシリーズを通して「あいしてる」という言葉が一貫したテーマであり、それに対して答えを出す結末が必然であったということは否定しません。そして事実彼女はまだ幼い。劇中、夜分ホッジンズがヴァイオレットの部屋を尋ねるシーンでは、彼女はいつもの戦闘服(ドール衣装)ではなく寝具を身に纏っていました。その姿はとても大人と渡り合って仕事をできる存在ではないように見えました。

しかしながら彼女が積み上げた代筆を通して人の思いを汲み取るという優れた才能は、いったいどこに昇華されたのか。冒頭のデイジーマグノリアが発した「18歳で郵便社を辞めてそれ以降、彼女の記事を見ることはない」というセリフで、僕の頭は真っ白になってしまったのです。彼女はCH郵便社でのドールの仕事、ホッジンズ、ベネディクト、カトレア、エリカ、アイリスらの仲間たち、そしてライデンシャフトリヒの街も「あいしていた」と思うのです。彼女がそのような決断をするに至った理由が知りたい...でも残念ながら僕はその理由を作品の中に見つけることはできませんでした。劇中でユリスの危篤の報に触れて今すぐ帰らねばと言い出し、ギルベルト会えなくとも「お声も聞けて、それだけで私は十分です」といったところだけが、彼女らしさを感じられる一幕でした。

僕はヴァイオレット・エヴァーガーデンが大好きなのです。自分の歳も両親の記憶もなく、孤児となり幼い日々を戦場で過ごし、やっと拾われた最愛の上官とは生き別れ、それでも彼女は生きようとし、与えられた仕事に場所を見つけ、そしてやがてひとを生かす存在になっていく。そんな彼女はしなやかな強さにぞっこんなのです。もちろん彼女の弱さもたくさんあり、ギルベルトこそがその中心であるわけなのですが... だからこそただの「あいしている」ではなく、ギルベルトもヴァイオレットの強さを感じて彼女の人生を肯定してあげるような何かがあったら、ずいぶん印象も違ったように思います。

純粋に映画としても、デイジーマグノリアがどうしてヴァオレットに興味を持ち、彼女を追いかけようとしたのかの動機付けが弱くて、物語のナレーションをさせるためだけに出てきたような存在になってしまっているのが大変残念でした。

ごめんなさい。こんなこと書きたくなったんだ... 本当は。そんな感想であったとしても、作品を世に出すことに尽力された皆さんには感謝でいっぱいです。とにかく観られてよかった。それだけは間違いないです。ありがとうございました。

【閑話】レイアウトサイズ

Twitterでレイアウトサイズの話が出ていたので、少し書き留めてみたいと思います。

そもそも鉄道模型を始めた目的の一つが固定レイアウトを作ることだったので、レイアウトのサイズは最重要事項でした。長期間家の一部を占有することになるので、大きすぎて家族の生活に支障が出ては困る、さりとてあまりに小さいサイズだと結局やりたいことができなくて飽きてしまう、このバランスをどう取るか。

そのときの検討については

Little Paddington Railway第1期工事(その1) - これまでのあらすじ。

に書かれているので、そちらを見ていただくとして。いま改めて振り返ってみると、当時に欠けていた視点があることに気づきました。

レイアウトを作り始める前は、どんな線路が引けるか、どんな運転パターンで遊べるかが中心で、もちろんそれはいまでもそうだと思うのですが、長期間使っていく場合に避けて通れないのがメンテナンス。修理や掃除、改修がしやすいかどうかは、地味だけど同じぐらい重要です。重要なのです(大事なことなので二度言いました)。

メンテナンスという視点でレイアウトサイズを考えると、

  • レイアウトのあらゆるところに作業のための手が届くか
  • レイアウトの周りに十分なスペースがあるか

が検討ポイントとして加わってきます。

Llancot Railywayの場合、実は特にそれを考えていなかったのですが... 結果オーライでなんとかクリアできていると思います。

以下がレイアウトが置いてある場所の見取り図(単位はmm)。部屋の一部のスペースをレイアウトとして使っているので、いわゆる「レイアウト部屋」にはなっていません。

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Borderより上が使えるスペースですが、左には物入れへの入り口があったり、右には通路があったりで、壁寄せできるのは窓がある1面のみ。レイアウト周りには人が通れるスペースを確保しなくてはいけない状況でした。図だけ見ていると、もう少しベースボードを大きくできたんじゃ?とも思うのですが、800mmのスペースはちょうどよいサイズ感だと思っています。必要なときには、ここに作業台を置いて作業することもできます。

また図のように壁寄せした状態だと、当然手が届かない場所が出てきます。身長差もありますが、だいたいベースボードの端から600mmぐらいが苦もなく手を伸ばせる範囲で、それ以上はキツイ作業になりがちです。当初は固定の架台に載せてあるだけで移動不可だったのですが、キャスター付きの台に載せ替えて、窓側に近いエリアの作業をするときは、レイアウト全体を手前に引きずり出して裏に回って作業できるようにしました。

窓側からのアングルで撮影したい場合にも同様に引きずり出しています。

これらはなかなか作ってみるまで気づきにくいところではあるのですが、レイアウトサイズや設置場所を決める際の参考にしていただけますと幸いです。 

 

車庫改修プロジェクト(その6)

車庫改修プロジェクトの最終回です。落穂拾いも含めて少し。

 プラ板、プラ棒での工作

その2で紹介した給油所および車庫の土台枠以外にも、いくつかのものをプラ板、プラ棒で工作しました。

ひとつが車庫内の通路。2mm角棒と0.3mm厚のプラ板で製作しました。

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ペーパーで作るよりも耐久性があり、塗装もプラキットと同じ手順で行えるので、個人的には満足のいく仕上がりになりました。

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また小さな階段も、2mmの角棒と1.2mm厚のプラ板の組み合わせで製作してみました。

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このサイズになると精度良くカットしないとなかなかうまく組みあがらないのが難点。スジボリ堂さんのRPカッターはこの悩みを解消する道具で、直々におすすめいただきました。

まだこの程度の工作ですが、プラは素材も安いですし、加工、作り直しも簡単で、レイアウトに合わせて作れるのは魅力的です。出来合いのプラキットと組み合わせるだけでなく、慣れてくればテクスチャのついたプラ板を組み合わせて、簡単な建物をフルスクラッチできるようになるはず。今後もいろいろとチャレンジしていきたい領域です。

戦い終わって日が暮れて

というわけで、ほぼ4ヶ月かかってなんとかゴールにたどり着けました。

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設計図と完成写真
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ビフォーアフター

次なるプロジェクトも温めているのですが、春先から工事続きだったので、しばらくはだらっと楽しみたいと思います(^^;。(おわり)

車庫改修プロジェクト(その5)

予告通り、今回は照明のお話です。

一昨年から始めたレイアウト製作では、建物の類には極力照明を入れるようにしているのですが、車庫エリアに関して建物は小さな車庫とSignal Boxだけ。留置線に関しては一部にヤード照明を入れていましたが、夜景を撮ると真っ暗という感じでした(赤点線枠部分)。 

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夜の闇、影も情景としては大事な要素で、なにもレイアウトを隅々まで明るく照らす必要は全くないと思います。ただ、せめて夜間車庫で作業するひとが困らない程度には照明を入れていこうと思い、今回の改修に合わせて照明を追加することにしました。

以下は計画概要図です。オレンジで印をつけたあたりに計7箇所照明を配置して、薄いオレンジで囲んだ範囲をカバーする想定です。

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Viessmannの照明

これはよく言われていることですが、英国で鉄道模型を楽しむ人たちは、あまりレイアウトの夜景や夜間走行を楽しむという前提がないようです(もちろんやっているひとはいるが多くはない)。したがって、英国の鉄道模型メーカーから出る車両に室内灯オプションは少ないですし、レイアウトに使用するような照明のストラクチャーもほとんど出ていません。仕方ないので、今まではJAMなどのイベントで出展されているお店で、英国型レイアウトでも使えそうな照明ストラクチャーを見繕ってきたました。たださすがに今回のような車庫やヤードで使えそうなものはなく、ここは鉄道模型大国ドイツのメーカーのものを物色することにしました。

取り寄せたものは、以前の記事「Modellbahnshop-lippeでお買い物」にある通り、Viessmannのものです。LED照明の完成品で価格も1つ€10-20あたりと非常にお手頃です。以下、場所ごとに使用したパーツと仕上がりを紹介していきたいと思います。

まずは給油所。その2で少し触れていますが、屋根の下には別途蛍光灯型照明を組み込んでおり、前後に2つ全体を照らすヤード照明を配置しました。形としては現代的なT字型。色も電球色ではなく、屋根下照明と同じ白色を選びました。

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次に整備プラトフォーム。ここは給油所と同じT字型でもよかったのですが「スポットライト型のヤード照明を使ってみたい!」という理由だけで、一端にスポットライト型照明を配置して全体を照らすようにしてみました。スポットライトの角度は上下であれば稼動させて調整できるようになっています。整備プラットフォームがちょうど収まるぐらいの範囲に、照明の位置とスポットライトの角度を調整しました。

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蒸機区画ですが、以前留置線に使っていたBELI-BECOの照明を車庫の前後に持ってきました。LEDではなく電球なので、柔らかい光が特徴です。

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また車庫の外の給炭線にも照明を2つ。こちらはBELI-BECOの照明の形に合わせて、少しレトロな感じのする形のものを選びました。照明色も電球色です。LEDの電球色はそれでもかなり色温度の高いものが多いのですが、VissmannのLEDはちゃんと色温度が低く設定されていて、本物の電球であるBELI-BECOの照明と並べて使っても違和感がないです。優秀だと思います。

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設置に関して。今回使用したViessmannの照明は、すべて6mmΦの穴に照明のベースを差し込むように設計されているので、6mmΦのビットを使ってベースボードに穴に開け、緩みなく設置することができました。またスポットライトを除いては「Kontakt-stecksockel」という脱着ソケットの仕組みが備わっていて、写真にあるようにベースと上部の照明ストラクチャーが分離できるようになっています。設置時には上部の照明ストラクチャーをはずしてベースだけの状態で進めることができるので、誤って照明を破損してしまうような心配がありません。また万が一照明が壊れてしまった場合でも、ベースはそのままで上部の照明ストラクチャーだけを交換することができます。これも非常に優れた設計だと思いました。

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配線について。最初に導入した照明がわき役黒ちゃんから購入したこともあって、各照明への電源供給は写真にあるようなコネクターとプラグアレイを使用しています。プラグアレイは電源電圧ごとに分けて用意(DC9V, 12V, 18Vの3系統)してあり、Viessmannの照明は18Vに接続しています。

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照明の配線が増えたので、どのコネクタがどの照明につながっているかわかるようにテプラでタグ付けしてみました。が、カオスな絵面なのは間違い無いですね... この狭いレイアウトでも20箇所以上に供給していることになります。車庫に照明を入れると、貨物ヤードや踏切などにも追加したくなり... さらにカオス度が増しそうです。

最後に全景。今回ちょっとこだわったのは照明色です。左のディーゼル区画は白色系、右の蒸機区画は電球色でまとめてみました。どちらの色も味があり、それぞれの良さがあります。コンクリート基調のディーゼル区画とレンガ基調の蒸機区画、それぞれが映えるように構成してみました。

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 長々と続けてきた車庫改修プロジェクトの報告も、次回が最終回となります。触れてなかった細かい改修とともにまとめをしてみる予定です。(つづく)

 

車庫改修プロジェクト(その4)

さてストラクチャーたちが出来上がったので、その4からはレイアウトに戻って仕上げを進めていきます。 

夏草萌ゆる車庫

本物の車庫(主に英国の)を真似るとするならば、線路はもとよりその他の場所もオイルに汚れた黒々とした地面が続いている、という感じにするべきところですが、ここは保存鉄道Llancot Railwayの車庫。一般の見学者も受け入れているという設定なので、親しみやすい明るい雰囲気を目指すことにしました。特に今回改修したDiesel Depotの区画は、Static Grassを使って思いっきり夏草萌ゆる感じにしたいと思います。

もともとバラストが敷き詰めてあった線路と線路の間は、バラストを完全に撤去し敷き詰めた5mm厚のコルクが見えている状態です。地面の高さはこのままで問題ないので、このコルクの上に下地を作ります。

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コルク地の状態

ストラクチャーの土台をマスキングテープで保護したあと、地面にあたるところにWoodland ScenicsのFine Turf (Earth)をざっくり隙間なく撒きます。このあとStatic Grassで覆ってしまうので、多少のムラは気にしなくてもよいですが、隙間があると目立つのでとにかく隙間なく埋めます。どうせStatic Grassで隠れるなら下地は必要?と思うところですが、この下地を作って置くことで、仕上がり時のフサフサ具合がよくなるように思います。(※個人の感想です)

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Fine Turf (Earth) を撒いたあと

下地が完全に乾燥するまで1日待ったあと、いよいよStatic Grass撒きの開始です。自分が使っているのはWar World ScenicsOEM品であるPECO PSG-3 Pro Grass Precision Applicator。大きな面積を撒くのでなければ、このサイズでも十分。電源も9V角型電池なので、入手性、可搬性も問題ありません。糊はホビーセンターカトー東京で売っていた草はら糊(NochのOEM品?)、Static GrassはPECO PSG-402 4mm Summer Grassを選びました。 

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袋から取り出した直後のStatic Grassは固まってしまっていることが多いので、十分にほぐしたあとにApplicatorに詰めます。

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次にあらかじめStatic Grassを撒く範囲の境界をマスキングテープで覆います。こうすることで正確な範囲に撒けると同時に、飛び散った余分なStatic Grassを回収しやすくもなります。草はら糊を下地の上に塗ったあと、Applicatorを一生懸命フリフリします。余計に撒いてもあとで吸い取ればいいので、とりあえず下地が見えなくなるぐらいまで撒いてしまいます。

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Static Grassを撒いた直後

糊が乾燥するまで2, 3時間待ったあと、ハンディクリーナーで余分なStatic Grassを吸い取ります。このお掃除が仕上げに影響するので、Static Grass撒きにはハンディクリーナーも必需品です。吸い取ったStatic Grassは再利用できるので、ゴミと混ざらないようにできれば専用のものを用意できるといいでしょう。

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こちらが仕上がりの状況です。そこそこ草が立っているのが見て取れると思います。

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追加工事として、車庫中央に移設したSignal Boxに、工事のため一時撤去していた木立を寄り添わせました。

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建物と樹木をうまく組み合わせることで、立体感とお互いのスケール感を出すことができます。自分のお気に入りのデザインです。またSignal Box建物の周りを花で飾ってありますが、建物の裾にあたる部分を植物等で隠す覆うというのも、自分がよくやるごまかし好きなデザインですね。 

最後にストラクチャーを置いてみた全景。ようやく車庫らしい雰囲気になってきました。

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(2020.9.5追記)

今回大きく手をいれない蒸気区画については、Static Grassを使うのではなく今まで通りFine Turf + Coase Trufを使っての緑化としています。アクセントにNoch 7027 Grass Tufts XL Meadow(左写真)を使ってところどころ草地を入れました。

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Static Grassを撒いたところに比べて少し荒れた感じが出ていると思います。

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次回は照明のお話をしたいと思います。(つづく)