Network Rail PLPR車両の電飾

前回までのBrake Vanへのランプ取り付けの経験を踏まえて、もう1両電飾を施すことにしました。ターゲットとなる車両は、Network RailのPLPR(Plain Line Pattern Recognition)車両です。

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PLPR車両は、英国で鉄道設備の保守点検を行うNetwork Railが所有する線路の検測車です。Class 37のPush-Pull運行のネタにしようと思って購入したのですが、YouTubeで実際の運用を撮影した動画を見ていると、床下に特徴的な照明があることに気付きました(機関車を除く前から3両目がPLPR車両)。

 

ボギー台車付近に線路に対して垂直方向に「直線状の白い光」(カメラで線路を走査するための照明?)と、中程にオレンジ色の「カンテラ」(役割はよくわからない)が見えます。

模型への室内灯の組み込みは一般的ですが、このような床下の照明はあまり見かけません。なので、是非とも再現したいと挑戦してみることにしました。

部品の準備

電飾のためのLEDは、模型電子部品ショップMSRさんから取り寄せました。

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MSRさんは、以前JAMに出店されていたときに、小型電球を使った街灯を購入させていただいたことがあるのですが、今回も「こんな感じの電飾部品があったら」と思うものがそのままありました。LED部品のバリエーションが豊富なのと価格が手頃なので、おすすめのお店です。

さて、もちろんこのままでは取り付けられないので、部品を加工していきます。

まずは「直線状の白い光」ですが、これを再現するためには、照明の当たる範囲を真下に、しかも直線状に区切るスリットのようなものが必要です。そこでプラ板で写真にあるような覆いを作ってみました。

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そして赤矢印の部分に配線済みチップLEDを埋め込みます。このままでは目立つのとプラ板から光が透けてしまうので、サフを吹いたあとに黒く塗装を施しました。

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次にカンテラ。こちらは部品の段階でドーム形状になっているので、これをそのまま活かして、レンズ部分以外のクリアの部分についてサフを吹いたあとに黒く塗装。さらに車両の左右方向にうまく設置できるように2つの部品を接合して、配線を取り付けました。

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 Mk2分解

まずは車両の分解から。HornbyのMk2の分解は、Mk1よりもずっと簡単だと思います。まずはボギー台車をはずします。ねじ止めとかはされていないので、ツメの形状を考えて前後方向に少し押してから引っ張るとスルッとはずれます。

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つぎにボディを開けます。こちらもねじ止めなどはされていません。ドアステップのすぐ隣、赤矢印あたりにマイナスの精密ドライバなどを差し入れて、フレームを浮かせるように持ち上げます(写真右)。あとは隙間からボディーとフレームを引き剥がすようにすれば、素直にはずれます。

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本物のPLPR車両は、座席は取っ払われて検測機材が積み込まれていると思うのですが、この模型ではMk2 TSOのものをそのまま流用しているようでした。

ボギー台車の集電加工

集電は、Brake Vanのときに使ったDCC ConceptsのWiper Pickupを使います。もともとこのボギー台車向けにあつらえたかのようで、ねじ止めで固定可能で、車輪に対する集電板のあたり具合も良好です。

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配線はツメの隙間から引き出します。

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電飾の取り付け

先ほど準備した部品を床下に取り付けます。ゴム系接着剤でしっかり固定。見た目は全くキレイではないのですが、どうせ見えない部分なので、そこは割り切りです。フレームの真ん中に大きな金属ウエイトが載っているので、そこを避けた形で穴を開け、配線を室内に引き込みます。

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資料がないので、正直場所については動画からの推測と、見た目、加工のしやすさを優先しました。床下機器の位置もMk2 TSOの流用なので、本当は違うと思います...。

室内に出した配線を車端部まで引き回し、基板にハンダ付け。ちょうど隙間に収まりました。

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線路に載せて試験点灯。問題なさそうです。

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 ボディーを嵌めてレイアウト上でも試験。正確性はともかく、特徴的な床下照明の感じは出せたかなと思います。

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 Mk2は分解も簡単で、Wiper Pickupを使った集電もお手軽なので、一般車両の室内灯加工もやってみたいところです。

Brake VanへのLampの取り付け(その4)

DCC制御にしたGWR Toad Vanですが、アナログ回路のときに効いていたキャパシタによるFlicker Freeの仕組みがないので、チラつきが目立つようになってしまいました。

Pick up 位置の調整

まずは集電の改善を行います。取り付けた集電板をよく見ると、車輪に当たる位置が車輪の内側に行き過ぎていることがわかりました(水色矢印)。車輪の内側はプラ製のスポークなので、これではうまく集電できません。そこで基板ごとずらして、集電板が車輪の最も外側の金属部分に当たるようにしました(黄緑矢印)。

 

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改修前(写真左)と改修後(写真右)

 Stay-Aliveの取り付け

Pick upの位置を調整することで集電性能は改善しましたが、まだポイントなど無電区間が長くなるところなどではチラつきが出てしまいます。これを完全になくすには、デコーダーにStay-Aliveの回路を取り付けるしかありません。

使用しているlais dcc 860015には特にStay-Aliveを取り付ける場所はありませんが、たぶん大丈夫だろうということでVF+とGNDに回路を取り付けてみました。

HornbyのTTSデコーダーではこれでうまくいったのですが... 変化がありません。調べていくと、PanGuシリーズ8600xxはStay-Alive非対応のようで、対応しているのはKangFuシリーズ8700xx。ただKangFuシリーズでは、まだNext18インタフェースのものが出ていないので、lais dccからの調達は諦めるしかありません。(ちなみにHattonsデコーダーでも結果は同じでした)

ちょうどYouChoosにサウンドデコーダーを発注する予定があったので、ZimoのStandard DecoderでNext 18インタフェースのものを取り寄せることにしました。ファンクションデコーダーもあったのですが、出力ファンクションは2系統あればよく値段も変わらないので、こちらの標準デコーダにしてみました。

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同じくYouChoosで売っているLifeLink回路を通じてキャパシタを接続します。キャパシタは場所に余裕があるので、大型の25V1000uFのものをつけてみました。

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また換装ついでに、今までF1, F2で操作していた点灯を、F0(点灯、消灯)と進行方向(パターン1、パターン2)で制御できるようにしました。

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いったいいくらかかるのか?

さて、このTail Lampの取り付けのコスト面はどうでしょうか?DCC Conceptsのランプを3個取り付ける場合の、ざっくりの概算は以下の通り。

  • Pick Up 2 個 ...  £2 (300円)
  • Lamp 3個 ... £9 (1,350円)
  • Fricker Free回路 ... 100円
  • Next18基板 ... $4(480円)
  • DCCデコーダー ... £17 (2550円)
  • Stay-Alive回路 ... £5(750円)

DCCデコーダー制御をしなければ1,750円、DCCデコーダー制御までやっちゃうと5,430円となりました(細かい部品代や送料は含まず)。これを高いと思うか、こんなもんかなと思うかはそのひと次第ですが、DCCデコーダーまで付けるのはちょっと割高な感じがしますね。

ともあれ、手持ちのBrake Van3台とも無事にTail Lampを取り付けることができたので、大変満足です。次は本丸の蒸機にいきたいですね。(おわり)

なぜ君は総理大臣になれないのか

今年の初めに「傾国」というタイトルで思いを書きつけてから半年。その間に、コロナの状況は目まぐるしく変化した。1ヶ月で緊急事態宣言の解除は無理だろうと書いたことは、その通りになった。1ヶ月延長して解除してみたものの、特に何の対策も講じていなかったので、再び感染が広がって再度の緊急事態宣言。東京五輪の日程を踏まえて(それ以外の根拠はない)、明日から(沖縄を除いて)解除されるのだけど、たぶんまた同じことが起きるはず。ワクチン接種が進んでいるイギリスですら、デルタ株の蔓延で再び新規患者が1日1万人を超える状況になっている。いわんや日本をや。わかってないはずがない。それがわかっていて判断が下されている。そういう国に、僕らは生きている。

でも今日話したいことは、そこではない。小川淳也という政治家、そして個人と社会の幸福の追求の話だ。

小川淳也という政治家

小川淳也という政治家を知ったのは、Pencroft氏の以下のブログ記事が始まり。

「なぜ君は総理大臣になれないのか」。ラノベのタイトル風でもあり、映画のタイトルとしてはなかなかインパクトがある。いまをときめく平井卓也デジタル改革担当大臣の地元である香川1区で、ジバン、カンバン、カバンなしの小川淳也衆議院議員の17年の闘争を記録したドキュメンタリー映画だ。

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構図としては理解しやすい。自分も地方の出身なので、地方の政治がどういう力学で動いているかは想像に難くない。国会議員であれ地方議員であれ、その地域の個人や企業と何らかの形でつながりがあり、言ってしまえばそれがすべて。思想信条や公約なんてまーぶっちゃけ関係ないのである。誰しもどこの誰かもわからんやつに投票するよりは、ちょっとでも知ってるひとに投票しようと思う。平井は祖父、父も大臣経験者という三代にわたる政治一家であり、典型的な世襲政治家だ。政治だけでなく、家族・親族が地元メディア(四国新聞RNC西日本放送)を経営してるとなれば、言ってしまえばお殿様みたいなものである。知らないやつはいない。一方の小川はというと、美容院のせがれで政治とはかすりもしない家の生まれ。東大法学部から自治省官僚と世間的にはエリートコースと言われる道を歩んではいるものの、無名。その上、政治未経験の若造に平井は圧倒的な壁だ。それでも2005年の初当選から、民主党民進党希望の党→無所属→立憲民主党と変遷を経て、当選5回(比例復活を含む)を重ねる衆議院議員を務めるに至る。

公開当時は同じく政治ドキュメンタリーの「はりぼて」が話題になっていて、自分も田端のミニシアターに観に行ったりしたのだけど、こちらはついに映画館で見ることは叶わなかった。先月になってようやくネット配信が始まったので、早速観てみた。

映画の中でも何度も触れられる「小川淳也は政治家に向いていないのではないか。」これが映画を見たひとが最初に抱く感想だと思う。政策を熱っぽく語る姿は志士のようでもあり、多くのひとが思う「政治家像」とかけ離れている。野心、腹黒さ、凄み。彼にはまったくその気がない。政治の最高峰ともいうべき国会議員ともなれば、あごで人を使うような尊大さがなければやっていかれない。そんなふうに思っていたのだけど、彼もまた立派な衆議院議員なのである。

彼のように、志を曲げることなく、自分や家族の身までも賭して何かをなそうと思うひとこそ、本来政治家になるべきではないか。つまり小川淳也は政治家に向いていないのではなく、向いてないと感じた自分たちの方に問題はないのか。

これは「はりぼて」でも同じで、政務活動費を懐に入れている政治家を許す有権者の存在があるからこそ、彼らは政治家でいられる。なぜ小川淳也は総理大臣になれないのか。それは彼の問題なのか。彼を総理大臣にできない自分たちの問題ではないのか。「この政治家のことをもっと知りたい。そして応援したい。」自分が政治家に対してそんな感情を抱いたのは、このときが初めてだった。

そしてつい先日、この映画を補完する形で一冊の本が刊行された。

本当に君は総理大臣になれないのか (講談社現代新書)

ノンフィクション作家の中原一歩の手を借りて、小川淳也の生い立ちや映画では描かれない官僚時代のエピソード、また具体的な彼の政策とそれをどう実現するのかを、インタビュー形式でまとめたものだ。

自分は彼の提唱する政策そのものよりも、彼が政治をどのように変えたいのかという部分に興味を惹かれた。「国民とともに政権公約を作成」では、このように説明されている。

党首が本気になって全国に出向いて、巷で市井の人々と討議しながら政権公約を一から練り上げるっていうのは、日本の歴史ではまだ例がないと思うんです。こうした、本当の意味での国民との徹底討議を経るというプロセス抜きにしてできあがった政権公約というのは、血肉になっていない気がするんです。

また「社会保障改革国民会議の公募・設置」の件では、このようなことが書かれている。

僕は全国民からの公募による、文字通りの国民会議を招集したいです。抽選でもいい。
そのときだいたい100人ずつぐらいの国民会議のグループを3つ作りたいんですよ。1つめのグループは1950年代の人口構成比率に合わせた100人。2つめのグループはいま現在の人口構成比率に合わせた100人。3つめは高齢化率がほぼ極限に達すると言われている2050年の人口構成比率に合わせた100人です。
3つのグループを作って、大きな会場にグループごとに集める。そうすることで、1950年代の国家、いまの国家、そして30年後の国家を可視化させる。そこでその3グループに徹底的に議論していただく。

彼の言葉の端々から感じられるのは、国民に対する絶対的な信頼だ。でもちょっと待てよ。そんなに彼が思うほど、自分たちはこの国のことを考えられるのだろうか。その重みに耐えきれないひともいるだろうし、そもそも背負いたくもないと思っているやつも山といるはずだ。社会の幸福よりも個人の幸福を追求したいと思うのが、人間の性なのではないか(たとえそれがリンクしていたとしても)。

もし本気で彼がこのような方法論で政治を進めたいと思っているのであれば、そのようなひとたちを、どう巻き込んでいくつもりなのか、聞いてみたいと思っている。

 誰もが珠晶みたいにはなれないからね。

「君は王になったら、贅沢三昧ができるね。たくさんの下官が君の足元に身体を投げ出して礼拝する」
「ばかみたい。あたし、今までだってそりゃあ贅沢してきたわよ。立派な家だってあるし、利発で可愛いお嬢さんだって大切に大切にされてきたんだから」
「なのに、荒廃が許せないんだね。ーーーなぜ?」
珠晶は呆れ果てた顔をした。
「そんなの、あたしばっかりだいじょうぶなんじゃ、寝覚めが悪いからに決まってるじゃない」
「そう……」
「国が豊かになって、安全で、みんなが絹の着物を着て、美味しいものをお腹いっぱい食べてたら、あたし着替えたりご飯を食べたりするたびに、嫌な思いをせずにすむのよ。心おきなく贅沢のし放題よ」

小野不由美「図南の翼」より)

Brake VanへのLamp取り付け(その3)

さて、残りの2両についても順に進めていきます。まずHornbyのex-LMSから。

中央のTail Lampは、ブレーキホースとの干渉を避けるために少しオフセットされた位置に取り付けます。左右のTail Lampは柱の横にかける形です。どちらも取り付け金具がモールドされているので、それに合わせて貼り付けます。

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配線は、中央のTail Lampはピンバイスで穴を開けてそのまま床面をまっすぐ室内へ、左右については穴を開けずに柱に這わせる形で床面に下ろし、そこから室内に引き込みます。

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この状態で一旦試験点灯。使用した回路は1両目と同じです。

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次に電源を取る配線を床下から引き上げます。

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回路につないで、再びボディを被せてねじ止めすれば完成です。

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1両目と並べてパチリ。BachmannよりHornbyの方が作りがちゃちい... もとい簡素な分、加工もしやすい印象です。

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DCCによる制御

さて3両目、Oxford RailのGWR Toadですが、蒸機へのHead Lampの取り付けを見越して、後学のためにDCCによる制御に挑戦してみることにしました。

まずはLampの取り付けから。今回は3灯のTail Lampに加えて反対側にもう1つTail Lampを設置します。

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連結する向きに合わせて、どちら側のTail Lampを点灯させるかファンクションでオン/オフするわけですが、加えて赤灯、白灯を切り替えられるランプを使っているので、なんとかこの機能をうまく使いたい。Webの掲示板などを調べていたところ、白灯にした左右のランプ(Side Lamp)を前方方向(機関士)に対して使う用法があるようです。

  • 列車の終端位置を知らせる
  • 複数の線路がある場合、列車の入っている線路を知らせる

模型としてやる場合、ランプの向きを変えることはできませんが、連結する向きに合わせて赤灯、白灯切り替えることなら出来そうです。

そこで2つの点灯パターンを考えてみました。写真左が通常の3灯のTail Lamp、写真右が1灯のTail Lampに加えて2灯のSide Lampが前方に向けられているパターンです。

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こういう使われ方が正しいのかわからないですが、そこは模型故の制約として勘弁してもらうことにして、先に進みます。

抵抗を載せた配線を集約する基板を以下のように準備しました。左端の水色の囲みが、Common+を入力する場所、そして緑と紫の囲みが、それぞれDCCのAUX1, AUX2を接続する場所です。LEDへの配線はCommon+に陽極、点灯パターンに対応してAUX1もしくはAUX2に陰極を抵抗越しにそれぞれ接続します。

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一方、DCCデコーダーですが、今回はlaisdccから購入したNext18デコーダー(860015)とソケット基板(860031)を使いました。自作でDCCデコーダーを利用する場合、このソケット基板が非常に重要な部品です。

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裏面のパッドには以下の端子が引き出されています。十分な端子数です。

  • Rail L - 線路(L) )RailR
  • Rail R - 線路(R)
  • M+ - モーター(+)
  • M- - モーター(-)
  • FL - フロントライト
  • RL - リアライト
  • VF+ - Common+
  • F1 - AUX1
  • F2 - AUX2
  • F3 - AUX3
  • F4 - AUX4
  • LS - スピーカー(1)
  • LS - スピーカー(2)
  • GND - GND

利用する端子に対応するパッドから、配線を引き出します。

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床下の線路電源に配線をつなぎます。床下にもともと入っていたウェイト用金属板に穴を開ける術を持っていなかったので、代わりに板オモリを敷き詰めることにしました。

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こんなふうにNext18のソケットができました。ここだけみると美しい...。

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さらにこれに先ほどのLED接続用の回路をつなぎます。これでボディを嵌めれば完成... と思っていたら、トラブル発生。写真左側から室内に延びる配線が、❌の部分と干渉してしまうことがわかりました。

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隙間に押し込んでいけるかなとあれこれ試して、なんとかボディを嵌めるところまでできたのですが... 試験点灯させるとそのランプが点かない。あれれと再びボディを開けてみると、無残にもポリウレタン配線が引きちぎれていました...(;_;)

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しかたないので、あまりのランプに交換して作業再開。穴開けの位置を干渉しない位置(赤矢印)に変更して、配線の引き回し方も大きく変更(黄矢印)... 最初からこうすればヨカッタ。

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というわけで、最終状態。

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動作確認は動画でどうぞ。

本来であれば走行動画も載せたいところですが、実は問題があり... その話はこの次で。

(つづく)

Brake VanへのLamp取り付け(その2)

DCC Conceptsの部品届く

Hattonsに注文していたDCC Conceptsの部品が届きました。

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左から

  • Wiper Pickup DCF-WP12 (12個入り)£12.08
  • Shunting Lamp DML-LLBSL(6個入り)£18.33
  • Guard Van Lamp DML-LLBRW (6個入り)£17.92

です(価格はVAT抜き)。ちなみに、その上に写っているのはHornby R6980 GWR Siphonという牛乳運搬車ですが、今回の工作には何の関係もありません(^^;。

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Wiper Pickup(写真左)とShunting Lamp(写真右)

Wiper Pickupは、小さな基板上に集電用のシューを取り付けた部品で、シューを車輪の内側から押し当てて使用します。OO/HO ScaleのBack-to-Back(車輪の内側の間隔)14.5mmに合わせて作られていますが、シューの長さ的には、EMやP4でもおそらく利用可能と思われます。

Lampについては、Shunting LampとGuard Van Lampの2種類を買ってみました。ウェブサイト上ではその違いがよくわからなかったので、とりあえず1セットずつ買ってみたのですが、実物を見てもやっぱりちがいがよくわかりませんでした(^^;。

作りは非常に精巧で、小さなワイヤーで作られた把手はちゃんと動かすことができ、フックに引っ掛けてぶら下げるような使い方もできます(実用上は難しいかもしれませんが)。この中に極小のLEDが埋め込まれ、0.1mm径より少し細いポリウレタン線(説明書に記載はないが、ハンダで溶けると書いてあるのでおそらく)が3本結線され、底面から伸びています。

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3本の線は長い順に

  • 共通陽極
  • 赤灯用陰極
  • 白灯用陰極

となっていました。今回の用途だと、赤灯固定で白灯に切り替えて使う必要はないので、必要な色だけを結線して使うこともできます。

Lampの塗装

Lampの成形色は黒で、説明書には白く塗装するように書かれているのですが、ウェブサイトの写真などをみていると、白のものもあれば黒のものも、また緑や赤のものもあるようです。おそらく年代やリージョンでそれぞれ特徴があると思うのですが、見た目重視で半分を白に塗装して、半分はそのまま黒で使うことにしてみました(いつも時代考証をすっ飛ばすやり方ですんません...)。

エアブラシで塗装するために、レンズ部分にBlu Tackを付けてマスキングします。説明書では、マスキングなどは気にせず全体を塗装して、あとでレンズ部分の塗装をやすりで削ればよろし、的なことが書いてあったのですが、その通り受け取っていいのか悩んだ挙句に、念のためマスキングすることにしました。

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塗装前(写真左)と塗装後(写真右)

乾燥したらマスキングをはずして、レンズの周りの黒く残った部分を筆塗りで補修して完成です。

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Brake Vanの分解

部品の準備は整ったので、Brake Vanの分解から作業を始めます。対象のBrake Vanは、Llancot Railwayに所属する以下の3両です。

  • Bachmann Branchline 37-528D BR 20T Brake Van BR Grey (Early)
  • Hornby R6909 BR (ex LMS) 20T Brake Van M731456
  • Oxford Rail OR76TOB001 4-wheel 'Toad' brake van 17831 in GWR grey - Paddington
Bachmann Branchline 37-528D BR 20T Brake Van BR Grey (Early)

f:id:giovanni_ihatov:20210522131612j:plainまずボディと台枠にまたがって取り付けられている手摺類をはずします(赤矢印)。

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前後の手摺も黄色矢印の部分ではずせるはずなのですが、どうにもうまくいきません。ついには、こんなトラブルに...。

これ以上進めるのは無理と判断し、仕方なくはずすのはあきらめて、残りの手摺については組み立て時に再接着する前提で、赤バツの部分でカットしました。

続いてボディと台枠の間にマイナスの精密ドライバーを差し入れ、ボディ部分を台枠から浮かせるようにはずします(ねじ止めなどはされていない)。

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基本的に室内はがらんどうで、外からも見えにくいため、回路を押し込むには好都合です。

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Hornby R6909 BR (ex LMS) 20T Brake Van M731456

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こちらの分解は簡単でした。車体をひっくり返し、赤矢印の穴にあるネジ4本をはずすだけです。

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室内は外からほとんど見えないのですが、ブレーキハンドルとストーブが造作されていました。

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Oxford Rail OR76TOB001 4-wheel 'Toad' brake van 17831 in GWR grey - Paddington

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車体をひっくり返して車輪をはずしたあと、赤矢印の部分に嵌め込まれているフレームをはずします。

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次に連結器をNEMポケットごと取り外し、隠れていたネジをはずします(赤矢印)。反対側も同様に作業すると、ボディと台枠がはずれます。

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こちらも室内はほぼがらんどうなので、回路の設置場所には困らないでしょう。

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というわけで、3両ともなんとか分解完了。細かいパーツは少なく構造も単純なので、分解難易度は総じて低めでした。初めての改造にはもってこいですね。

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Wiper Pickupの取り付け

Lampを取り付けたい逸る気持ちを抑えて、先に集電装置であるWiper Pickupを取り付けます。車輪の裏面に集電シューがうまく当たる位置を探して、基板を台枠にゴム系接着剤で固定します。

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台枠は3両とも作りが違うので、設置場所に難儀するかなと思ったのですが、意外とどれも素直に取り付けることができました。

取り付けたあとはテスターで導通確認。金属車輪であればまず問題ないと思うのですが、Bachmannの車輪だけ塗装(?)の影響か導通しなかったので、集電シューが当たる部分をヤスリで削って対応しました。

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ヤスリ前(写真左)とヤスリ後(写真右)

あとは車輪がうまく回るように、シューの曲げ角度をいじって押し当て圧を調整してあげれば完了です。

Lampの取り付け

さてお待ちかねのLampの取り付けへと進みます。最初のターゲットに選んだのは、BachmannのBR 20T Brake Van。というのも、以下のYouTube動画に作例と詳しい作業手順が紹介されていたので、まずはこれを真似てみようというわけです。

このモデルでは写真(赤矢印)のようにLampの取り付けフックが表現されているので、この3箇所にLampを取り付けていくことになります。

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まずはセンターから。0.5mmのピンバイスで赤点線矢印の方向に穴を貫通させ、ポリウレタン線を通します。その後、瞬間接着剤でLampを固定します。

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両サイドのLampも同様に柱に穴あけを行い、ポリウレタン線を通した後にLampを固定します。

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通したポリウレタン線は、そのまま壁または柱に這わせて床面まで下ろし、室内に引き込みます。固定は瞬間接着剤を使用。一度接着すると、はずすのか困難なので慎重に。

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前回の報告で作成した基板にLED用の抵抗を載せ、ポリウレタン線の陽極、陰極を接続する端点を作ります。LEDに付属の抵抗は10K, 30K, 50KΩの3種類ありましたが、昼間照明でもはっきり見えて、夜間照明でもまぶしくない30KΩを採用しました。

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それぞれの端点にはんだで接合し、点灯試験。良好のようです。

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仕上げ

ここまでくればあとはラストスパート。Wiper Pickupからの集電を室内に引き込み、先ほどの基板の線路電源の入力端点にはんだ付けします。ここでも再び点灯テスト。問題なさそうです。

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嵌め込み前の最終状態。基板裏面は念のためアセテートテープで絶縁し、ポリウレタン線のあまりや基板を室内に放り込みます。

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台枠にボディを嵌め込めば完成です。

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では、試運転の様子を動画でどうぞ。

V字型3灯のテールランプはなかなか印象的で、止まっていても雰囲気があります。

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まずはひとつ完成。残りの2両に続きます。(つづく)







 

Brake VanへのLamp取り付け(その1)

今回から新しいプロジェクト「Brake VanへのLamp取り付け」を始めたいと思いますが、その前に前回の貨車のウェザリングのおまけの報告から。

HornbyのYGB 'Seacow' Bogie Ballast HopperのEWS Liveryへの施工です。

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加工前(Vannila)の状態

 足回り、外回りともに、XF-9 ハルレッドをベースに、XF-1 フラットブラックを少量混ぜたものを吹いています。下地の色がEWS塗装独特の美しい赤茶色なのですが、茶色でも赤系統のハルレッドをベースすることで、その色合いを過度に落とすことなく汚しを入れられることがわかりました。このあたりもう少し研究が必要ですが、エアブラシで重ね塗りする場合、同じような煤けた感じを出すにしても、下地の色で調色を変えていく必要がありそうです。

内側はバラスト積載ということで、茶色系ではなく灰色系に。今回は、XF-57 バフに少しXF-1 フラットブラックを混ぜたものを使いました。灰色っぽい感じを出すのに灰色を使ってはいけないというのは勝手に得た知見で、個人的にはXF-57 バフやXF-55 デッキタンがおすすめです。

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では、本題に入りたいと思います。まずはこのツイートから。

Signal Boxがいい感じで出来たのをいいことに、夜景撮影プロジェクトなるものを始めてみたのですが、肝心の列車に灯りが入っていないと全然サマにならないのです(当たり前ですが。客車は、今年後半にやってくるHattonsのGenesis Coachを全て室内灯付きにしてあるのでそれで賄うとして、問題は蒸機の方。手持ちの蒸機でHead LampやCab Lampがあるものはないので、夜景で走らせると完全に幽霊蒸機になってしまいます。2, 3機でもいいので、Head LampやCab Lampを入れたい。これが今回のプロジェクトのきっかけであり、またゴールでもあります。

まずはBrake Vanから

Lamp形状をしたLEDはDCC Conceptsから発売されているのですが、あいにく蒸機用のものは売り切れ。

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TornadoのHead Lampの加工をやっていらっしゃった西シマさんに聞いてみると、

と、LampモールドにLEDを埋め込む方法を教えてもらったのですが、LEDの埋め込みが結構大変なのはSeamaphore Signalをやったときに経験済みなので、ここは再生産を待って、その間に在庫のあるBrake VanのTail Lampで練習をして見ることにしました。

Brake VanにTail Lampを載せるには、Tail Lamp本体の他に

  1. 集電シュー
  2. 線路電源(DC, DCC)からLED電源を取り出す何か

が必要となります。

1については、DCC Conceptsから車輪にシューを押してて電源を取る部品が発売されているので、そちらを使うことにしました。

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2については、DCCで制御したいならDCCデコーダー一択ですが、簡単な回路を組むことでDCC, DCの電源からLED用の電源を取り出すこともできます。後学のためにも一度自分で回路を組んでみることにしました。

回路図はこのへん(www.railwayscenics.com)を参考にしつつ、以下の部品で組んでみました(それぞれ秋月電子へのリンクを入れてます)。

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抵抗付きLEDで動作確認。DC, DCCの電源それぞれで、特に問題なく動作しました。このサイズであればBrake VanのCabに入れるには十分でしょう。

残りの部品が届いたら、Brake Vanへの組み込みに取り掛かりたいと思います。

(つづく)

HUO Coal Hopper Wagonのウェザリング

昨年秋に導入した、初のAccurascale製品 HUO Coal Hopper Wagon。

記事の中で

課題はウェザリングをどうする?というところなのですが、まずは走らせて追々考えてみたいと思います。

と書いていましたが、半年以上を経て、このGW休暇の課題として、ついにその「追々考える」に取り組んでみることにしました。

ウェザリングのやり方検討

貨車のウェザリングは、昨年末に中古のCoal Wagonで一度お試しをしています。出来は決して悪くなかったのですが、やはりいくつか課題も見えました。

このときは、塗料に「Mr.ウェザリングカラー」を使用したのですが、こいつはあくまで地色に汚しを入れるためのものであって、地色自体を隠蔽するような効果は限定的。逆に地色が濃過ぎると、汚しの効果が出にくくなります。また筆塗りの痕もばっちり残ってしまうので、塗ったままに自然な感じを出すのはなかなかの技量を要求されます。拭き取りができるので、基本的には塗ったり拭いたりの繰り返しで、テクスチャを整えていくことになります。

HUO Coal Hopper Wagonは地色が白っぽい灰色なので、ウェザリングで入れたテクスチャが非常に目立つことが予想され、たとえ調整可能であっても、筆跡が残る可能性のあるようなやり方はなるべく避けたいところです。

となると別の方法を模索する必要があるのですが、なんといっても年初に導入したエアブラシという強力な武器があるので、これを生かさない手はありません。先ほどのウェザリング練習をした貨車に、さらにエアブラシを使った効果を試してみたのがこちら。

さすがの仕上がりといったところです。まずは足回りを中心にエアブラシによる塗装を入れ、さらにプラスアルファを考えるという路線がよさそうです。

あとは何かお手本になるものがないかと、実車の写真を中心にウェブサイトやYouTubeなどをあさっていたのですが、この模型を作っているメーカーAccurascaleのサイトのブログ記事に、HUO Coal Hopper Wagonのウェザリングが取り上げられていました。

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ウェザリングの程度もライトな感じで、自分としては好みの仕上がりです。よって、こちらの記事を参考に作業を進めることにしました。

作業開始

貨車本体から石炭と車輪をはずし準備ができたら、まずはエアブラシによる足回りの汚しを入れていきます。

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使用する塗料はタミヤのアクリル塗料XF-10フラットブラウンです。塗料:うすめ液を1:2ぐらいで希釈して吹いていきます。

続いて、Hopperのハコを支える柱や枠にスミ入れをする要領で筆塗りをします。これも同じくXF-10フラットブラウンを使います。

スミ入れをしたあとに、塗装ハゲによるサビ表現として、ごく適当に点々と塗料をあちこちにのせていきます。スミ入れをしたときに想定以上にはみ出してしまったり、筆先が思わず別の場所にあたってしまったりしたところも、この塗装ハゲとしてごまかし... もとい、利用しています。

作業のポイントとしては、多少のはみ出しは目をつむって(どうせそんなに気にならない)手早くやることです。時間が経つとどんどん塗料が乾燥してしまうので、次第に塗料の伸びが悪くなったり、穂先に十分塗料がのらなかったりと、作業効率が落ちていきます。そうなると何をしてもうまくいかないので、その場合は一旦筆をうすめ液で洗ってきれいにして、塗料も新しくするのが肝要です。塗料はケチらない、これです。

動画にあるように、最初は普通の細筆を使って作業していたのですが、さすがに数をこなすのが厳しいので、新しくタミヤモデリングブラシを買ってみました。いろんな筆を使ったことがあるわけではないので比較はできませんが、軸部分が太く筆ペンを持つような感じで使えるので、ひとまず期待には応えてくれたかなと思います。

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さてスミ入れ・サビ表現が終わったところで、仕上げとしてうすめ液を使った滲みを入れていきます。先ほど塗料をのせた部分に、うすめ液を含ませた筆で若干擦ってあげると、塗った塗料の一部が溶け出して、雨でサビが流れたような表現を加えることができます。このとき筆は常に上から下に動かすようにします。

 ここまでの仕上がりは以下の写真の通りです。近づいて見るといかにも色を塗ったふうなのですが、ちょっと離れるだけで塗装ハゲやサビに見えるので、面白いですね。

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続いて内側。外側に色が漏れないように、ボール紙でカバーを作ります。右写真のように、カバーをはめ込んだ状態にして吹いていきます。

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使用する塗料は、タミヤのアクリル塗料XF-10フラットブラウンとXF-1フラットブラックを3:2ぐらいで混ぜたもの。塗料とうすめ液は1:2ぐらいの割合で混ぜます。

 内側を吹いたあとの仕上がりはこんな感じです。

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塗装前と塗装後を比較してみます。Accurascaleの貨車はもともと造形が細かいのが特長ですが、ウェザリングを入れることでグッと石炭貨車っぽくなりました。

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貨車は全部で12両。同じ工程を残りの11両にも行います... が、両数をこなすのはそこそこ根気のいる作業でした(全工程で1両/1時間ペース)。

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では、走行動画をどうぞ!

ウェザリングの楽しみ方

ウェザリングを入れるか入れないかは人それぞれ好みがあると思います。特に機関車は、ピカピカの状態で走らせたいこともあれば、少しくたびれた感じの方が趣がある場合もあり、一概にどちらがいいというのは言えないでしょう。シーンによって、ウェザリングを入れたり消したりすることはできないので、なかなか悩ましいところです。

Llancot Railwayでは、貨物については基本的にすべてウェザリングを入れる方針でやっています。貨物は洗車されることはほとんどないでしょうし、長期間使用されるものも多いでしょうから、多少の汚れがある方が自然で、重厚感や趣もあってよいものです。これまではウェザリング済みの製品を選んで買っていましたが、自分でウェザリングを入れられるようになることで、選択肢が広がるとともに、新しい楽しみ方が増えるようにも思います。

2021Q3にAccurascaleからリリース予定のMDO/MDV 21t Mineral Wagonを15両導入予定で、どんなふうにウェザリングを入れるか、いまから妄想を巡らせています。次なる目標は蒸機のウェザリングかな... まだまだ楽しみは続きます。