今回は地形造成のお話です。
山を作る
レイアウト上に山を作るときに使う素材で、最初に思いつくのはスタイロフォームです。実際にLlancont Railwayのレイアウトでは、厚みのあるスタイロフォームを重ねて切り通しを作りました。
今回は切り通しではなく、周回線路の一部を覆う山となるので、線路を通すトンネル部分を作ったり、メンテ用にトンネル内にアクセスする仕組みが必要(例えば山そのものを取り外せるようにするとか)など、スタイロフォームで組み上げていくにしても、それなりに工夫が要りそうです。また山全体のボリュームもあるので、積み上げたスタイロフォームから最終的な山の形状を切り出していく作業も、そこそこ大変になりそう。スチロールカッターを導入しないといけないかもしれません。
そこで新しい試みとして、KATOのジオラマ造形シートを使ってみることにしました。
分厚いアルミ箔(写真左)に起毛生地(写真中・右)を貼り合わせたもので、斜面や崖など作りたい地形に合わせて、シートを折り曲げたり凹凸を作ることができます。造形シート単体でも自立可能ですが、ベースボード上に造形シートを固定する何らかの支えを作り、その上に目的の形にした造形シートを載せることで、広い範囲の地形を一気に構築することが可能です。造形シートを固定したあとは、表面に石膏を塗って下地を作り、その上にさらに装飾を重ねていくことができます。
手はじめに、ベースボード端、山の断ち切り部分にあたる壁をスチレンボードで作ります。この壁で造形シートを支えることになるので、5mmのスチレンボードを2枚貼り重ねて強度を出しました。
この壁を支えとして、ざっくり造形シートを置くと以下のような感じです。
造形シートの幅が460mmなので、奥側の斜面の部分(A)と手前のしっぽのように伸びている部分(B)の2分割の構成で進めることにしました。また引き込み線奥に、別途堤(C)を配置します。
奥側(A)については、造形シートの下にトンネルの空間を作るため、断ち切り壁の内側を黒く塗り、黒色のカラーボードで遮光用の壁を手前にも立て(写真左)、同じボードで天井も蓋をしました(写真右)。
そして断ち切りの壁それぞれに、トンネル内メンテ用の点検口を設けて、手が入れられるようにしました。
手前側(B)については、しっぽの形に切り出したスタイロフォームを造形シート固定用の土台として使い、その上にスチレンボードを立てて造形シートの膨らみ部分を支える構造としました。
また堤(C)も同じように、スタイロフォームと造形シートの組み合わせで作りました。
以下、全景です。
そして今週末のレイアウト進捗。ジオラマ造形シートを使った地形造成。 pic.twitter.com/4wTvi7hbvb
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2022年10月10日
崖面を作る
さて山が出来上がったところで、崖にあたる部分を石膏で作ります。KATOから出ているWoodland Scenicsのシリコンモールドと、軽量石膏を使いました。
石膏溶き→流し込み→硬化→取り外しをだいたい1時間サイクルで回して作っていきます。
半日かけて5回繰り返し、いい感じの崖面たちが出来上がりました。
1週間放置して乾燥させたのち、造形シートで作った山に合わせて配置を考えます。
どの崖面をどの位置に使うかをマーキングして、その後の工程に備えます。
石膏による下地造作
いよいよ造形シート表面にジオラマ用石膏を塗り、軽量石膏で作った崖を貼り合わせて、全体の下地を作っていきます。
んでもって、山肌に石膏塗り塗りしながら固定しました。 pic.twitter.com/hg7oJwg2Hj
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2022年10月29日
ジオラマ用石膏が固まるタイミングの見極めが難しく、突然固まり始めるので若干苦労しました。一度に大量の石膏を溶くと、塗り終わる前に固まってしまうので、小分けに溶いては塗り、溶いては塗りの作業が必要で、大きな面を塗るのにはやや時間がかかります。造形シートは強度もあるので、大きな面はプラスタークロスを使って表面を仕上げ、崖面を貼り付けるところだけジオラマ用石膏を使うのが、石膏の節約にもなり賢いやり方かもしれません。
塗装
また1週間放置して乾燥させたのちに塗装です。山の斜面に関してはパウダーやスタティックグラスを撒くので下地塗装でOKですが、崖の部分に関しては完成に近い状態に持っていく必要があります。
今回使用した塗料はリキテックスのアクリル絵具ソフトタイプです。選んだ色はなるべく少ない色数ということで、パーチメント、ニュートラルグレー5、ローシエンナの3色。最終的にはこのうち前2色を使いました。
余った崖面の石膏でテスト。まずはパーチメントを全面に塗ります。
そのあと、気持ち多めの水で希釈したニュートラルグレー5を塗り、乾く前に筆で拭き取りを入れます。
灰色は全体のトーンを落とすので、使うのが難しいと思っている色のひとつです。灰色を入れず、ベージュや茶系の壁面とすることも考えたのですが、スレート採石がテーマの今回のレイアウトとしては灰色系を基調としたいので、この塗り方でやってみることにしました。
結局テスト塗装通りに施工。まずは下地塗り。 pic.twitter.com/niMy1HlvZ1
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2022年11月6日
斜面については、いつも使っているKATO(Woodland Scenics)のアンダーコートアースを塗っています。続いて灰色を入れます。
乾燥後、岩肌塗り。 pic.twitter.com/Na3hyQUMcq
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2022年11月6日
若干灰色が強すぎたかなーという気もしているのですが、ここらは全体のトーンを見ながら調整していくことになると思います。
おまけ・道具編
今回の作業でお役立ちだった道具のご紹介です。
- TAKEDA スチロールのり(写真左)
スタイロフォームやスチレンボードなどを接着するための接着剤。基本的には木工用ボンドと同じポリ酢酸ビニルが使われているのですが、木工用ボンドが水溶されているのに対して、こちらはメタノールベースで、水分を吸わないような素材に適していると思われます。伸びもあり、接着までの時間も短く、非常に重宝しました。 - 100円ショップで売っている製菓用ヘラ(写真右)
石膏を扱うときの必需品。これ一本で撹拌、塗布から整形までなんでもできるスグレモノでした。