今年最初のプロジェクト、IORI工房さんの「ハ1005」製作の2回目です。前回は車体、屋根、床板・足回りの組み立てまでを行いました。今回は塗装を進めます。
エアブラシ導入
これまでストラクチャーキットの塗装は、お手軽さから水性アクリル塗料による筆塗りでやってきました。細かいところを塗るのは問題なくとも、大きな面積を均質に塗るのはやはり難しく、どうしても筆による塗りムラが生じてしまいます。ムラなく塗るためには重ね塗りが必要ですが、今度は塗膜の厚さが問題になります。ストラクチャーでは多少のムラも風合いとして見られなくもなかったのですが、車両に関しては、やはりきちんと仕上げたい。となると、エアブラシによる塗装を視野に入れる必要があります。
エアブラシは塗装ツールとしては一般的なものですが、匂いや換気の問題など塗装環境も含めた準備が必要で、用具も決して安価なものではありません。そもそも初心者の自分に使いこなせるのか?ちょうど以下の雑誌2誌で特集をしていたので、まずは情報収集をしました。
「モデルグラフィックス 2020年12月号」シュ~と吹く!エアブラシ
一般模型雑誌ということもあって、すでにエアブラシをある程度使っているひと向けに再度情報をまとめるというものでした。ノウハウ的な内容が多いので、エアブラシを一通り使ってみたあとで見返してみるといい感じ。
「RM MODEL 2021年1月号」塗装ツール&テクニック2021
塗装方法、塗料の種類、塗装前の処理、マスキングのやり方など、エアブラシも含めた塗装全般のことが網羅的に書かれていて、勉強になりました。鉄道模型雑誌なので、塗装対象としては当然、鉄道車両やレイアウトが想定されているのもよかったです。
このほか、パソ通時代からの友人うぃ氏 (@KawaharaYoui)にもアドバイスをいただき、用具を選定しました。やたらと高価なものは不要としても、簡易的なものであとで買い替えを迷うよりは、ずっと使えるものを選ぶという方向です(はんだごてで失敗している...)。
- コンプレッサー、ハンドピースなどエアブラシ本体
→GSIクレオス Mr.リニアコンプレッサー L5/エアブラシセット PS321 - 塗装ブース
→タミヤ スプレーワーク ペインティングブースII ツインファン 74534
かかった費用は合わせて5万円弱でした。なんとか予算ぎりぎり。
設置場所ですが、ワークベンチ横に窓があるので、作業時はここから排気できるように新たにキャスター付きのサイドテーブルを製作。天板は5.5mmシナベニヤを載せただけですが、汚れもするだろうということで割り切りました。
塗料その他の用具
エアブラシと塗装ブースだけで塗装が始められるわけもなく、塗料をはじめとするその他もろもろの用具も準備しました。
まず塗料については、以下の5色をアクリルラッカー塗料で揃えました。
- 屋根 - ガイアカラー鉄道模型用1007ダークグレー
- 車体 - ガイアカラー鉄道模型用1010ぶどう色1号
- 床板・足回り - ガイアカラー鉄道模型用1011黒
- 等級帯 - MrカラーC108キャラクターレッド
- 車内内側 - MrカラーC44タン
その他買ったもの一覧。
- うすめ液 - クレオス「Mrカラーうすめ液」「Mrカラーレベリングうすめ液」
前者は主に洗浄用で、後者はエアブラシ希釈用。 - サーフェイサー・プライマー - タミヤ「スーパーサーフェイサー」
- 塗料皿 - クレオス「Mr塗料皿」
- 攪拌スティック - タミヤ「調色スティック」
- 計量スプーン - クレオス「Mrスプーンアンドスティック」
塗料の計量にスポイトで吸い出すとスポイトの洗浄がタイヘンなので、塗料はこちらで計量し、うすめ液をスポイトで計量する方式としました。 - 支持棒 - クレオス「 Mr.ネコの手 持ち手棒 ミニクリップ」
割りばしとかでも代用できそうですが、まずは専用品を試してみます。 - 粘着ラバー - 「Blu・Tack」
支持棒のクリップで挟めないときに使う固定用に。コクヨの「ひっつき虫」をずっと使っていましたが、海外では「Blu・Tack」が多いこともあり、今回はお試しで。 - マスキングテープ - アイズプロジェクト「ミクロンマスキングテープ 2.0mm」
等級帯のマスキング用。 - 塗装・乾燥ベース - アイリスオーヤマ「猫のつめとぎ」
専用品よりでかくて安いので。ホームセンターで入手。 - 防毒マスク - 興研 面体「サカヰ式G-7」吸収缶「KGC-10型-03 有機ガス用」
吸収缶は消耗品なので、近所のホームセンターで入手可能なものにしました。 - 手袋
近所のドラッグストアに売っている薄手のものを。 - ぺんてる「筆ペン 金の穂」
把手金具塗装用。
というわけで、実にいろいろなものがいるものだなと思った次第。次回以降は塗料やうすめ液などの消耗品が中心になると思いますが、やっぱり物入りであることにはかわりないですね。
塗装テスト
さて準備が整ったところで、いよいよエアブラシ塗装の始動です。いきなり車両を塗って取り返しがつかないことになるとアレなので、まずは部品の紙片をテストピースとして、練習から始めます。
エアブラシ塗装の前に、下地処理としてスーパーサーフェイサーを吹きます。缶スプレーは圧のコントロールができないので、ベランダでも吹いたサーフェイサーが盛大に舞い上がりがちだっのですが、塗装ブースだと見事に吸い込んでくれました。室内作業で問題なし。これだけでも買った価値があるというものです。
そして次にエアブラシに塗料を入れ、コンプレッサーをスイッチオン。
ついに。めっちゃぎこちないですが😅 pic.twitter.com/XYjuVXEqqo
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2021年1月30日
第一歩を踏み出しました!
等級帯の塗り分けもテストしてみます。まずは等級帯の色である赤をざっくり塗ります。
乾燥後、マスキングテープをして、車体の色であるぶどう色1号を重ねます。
ふたたび乾燥後、マスキングテープを外してみます...
等級帯塗り分けテストの結果。 pic.twitter.com/ddFk8f0nMn
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2021年1月31日
きれいな赤帯が現れました。成功です!塗分け手順はこれでよさそうです。
今回は基本的にべたっと塗ればよいので、エアブラシの操作自体には初心者でもできるレベル。スプレーと違って塗料の出方が非常に細かいので厚塗りの心配もなく、重ね塗りでもきれいに仕上がるのはさすが。このキレイさは筆塗りをやっていたころには到達できなかったものです。ただ色変えの度に洗浄して使わないといけないので、そこがやや面倒といえば面倒。手順をよく考えないと塗料も無駄になってしまいます。段取りがすべてですね。
塗装本番
いよいよ本番。手順は以下の通り。
- 全体にサーフェーサーを吹く
- 車内を塗る
- 窓にマスキングをして等級帯の赤を塗る
- 屋根、床板・足回りを塗る
- 等級帯のマスキングをして、車体を塗る
最後にマスキングをはがします。
やりました✌️✌️✌️ pic.twitter.com/uYbgQYR9LG
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2021年2月6日
把手金具のあたりに若干塗料が回り込んでいますが、初回の出来としては申し分ありません。買ってよかった、エアブラシ!!
続いて金の穂で把手金具を塗っていきます。
把手金具の金色を入れました。金の穂、使いやすいです☺️ pic.twitter.com/8Hj2rq8Tdn
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2021年2月7日
同じシリーズで銀の穂もあり、金属の色差しをちょいちょいやるには最高のペンです。
デカール貼り
さて塗装の最後は、仕上げのデカール貼りです。
今回のキットには親切に必要なデカールセットが付いてくるのですが、これの貼り方がいまいちわからない... またまたIORIさんにDMして要領をお聞きする(何度もありがとうございます)。いざ挑戦。
アレアレ?ちゃんと貼ったつもりでも、フィルムがちょっと浮いているように見える?肉眼ではそこまで目立たないのですが、こうして寄って写真を撮ると「いかにも貼りました」というような感じに見えます。デカールってこんなもんだっけ、とつぶやいていたら、西シマ(@nishishiman)さんからアドバイスが。
デカールとパーツとの段差は消せないですけど、デカール軟化剤を使うと端の浮き上がりなどが目立ちにくくなります!https://t.co/kciPtnsS5Z
— 西シマ🎤 (@nishishiman) 2021年2月8日
なるほど。デカール貼りをアシストするものがあるのは知っていましたが、今回は平面に貼るので特に要らないかな、と思っていたのでした。さっそくヨドバシから取り寄せて2両目でリベンジです。
見違えるほどよく、また貼るのも簡単になりました!使い方は簡単で、
- 貼りたいところにマークフィットを少し塗る
- その上にデカールを置く
- 置いたデカールの端に綿棒を近づけ、少しずつマークフィットを吸収しながら位置決めをしていく
- 位置が決まったら上から綿棒で軽く押さえる
- 上からマークフィットを少し塗る
- 再び上から綿棒で軽く押さえる
という感じです。特に3のところがポイントで、マークフィットを使うと、このときに表面にうまく密着してくれるようです。
今回はここまで。次回は最終回。最終組み立てとテスト走行になります。
(つづく)