前回の記事「本年最終(?)のお買い物」で紹介したCoal Wagonに、ウェザリングと石炭積載をやってみました。
石炭パーツの製作
Open Wagonにバラ積みの積荷を加工する方法はいくつかあると思います。
先日公開されたHattonsの動画「Using the Hattons Wagon Load kits」では、貨車に直接石炭を模した粒を流し込む方法でした。小型の貨車であれば、この方法が手軽でしょう。
一方で、以下の写真にあるAccurascaleのパーツのように、底上げした板の上にバラ積みの積荷を盛る方法もあります。この場合、底上げした分だけ積荷が少なくて済むうえに、積荷の脱着が可能となります。特に大型の貨車には有用な方法です。
今回の生贄貨車は2軸の小型貨車ですので、前者の方法でも適用可能と思いますが、失敗した場合や気分が変わった場合も見据えて、あえて脱着可能な後者の方法にて製作することにしました。
まずは底上げのための板を準備します。ちょうど表面が黒塗りのスチレンボードの端材があったので、これを内寸に合わせて切り出します。
実際にはめるとこんな感じでぴったり収まるようにします。
さてこれに積荷である石炭を盛っていきます。石炭は以前にホビーセンターカトー東京で買ったWoodland ScenicsのLump Coal B93を使用しました。これ一袋で600円ぐらい。
最初にプラダンの端材を使って囲いを作ります。
底面に木工用ボンド水溶液(+ほんのちょっと洗剤)を塗って、石炭を撒いていきます。
盛る形はAccurascaleのパーツを真似て中心をやや高めにして端に行くほど低いお山の形にしました。基本的には撒いたままあまりいじらない方が自然な感じがすると思います。
ある程度盛れたら、木工用ボンド水溶液をスポイトで染み込ませて固めます。このとき、少し霧吹きか何かで石炭を湿らせてからボンドを垂らすと、うまく染み込んでくれるようです。5両分作って乾燥を待ちます。
貨車本体のウェザリング
さて乾燥を待つ間に貨車本体のウェザリングに取り掛かります。
用意したのはMr.ウェザリングカラーのグランドブラウン。Mr.ウェザリングカラーは、これまでストラクチャのテクスチャを強調したり、トーンをつけるのに使ってきましたが、車両に対して塗るのは初めて。色はマルチブラックと迷いましたが、やりたいのはあくまで汚しでスミ入れではないので、広く塗っても見た印象が柔らかくなるブラウンを選択しました。
合わせてドライブラシ用の筆も準備して、いざ開始。
といっても何かお手本があるわけではないので、基本的には試行錯誤です。幸いMr.ウェザリングカラーは拭き取りが簡単にできるので、ちょっと塗ってみて、イメージとちがったら拭き取ってやり直す、の繰り返しです。1両目でなんとなく感じを掴んだところで、2両目からは以下のようなやり方で進めました。
まずはこれが素の状態。
まずはMr.ウェザリングカラーをそのまま使うのではなく、専用のうすめ液で少し溶いたもので下地の汚しを入れていきます。この段階ではあまり細かいところは気にせずに、全面に満遍なく表面にブラシを擦り付ける感じでガシガシ塗っていきます。このとき筆の運びは必ず上下方向になるようにします。すると筆跡も上下方向に付くので、汚れが雨などで垂れたような印象を与えることができます。
次にMr.ウェザリングカラーを薄めずにそのまま筆にとって、一旦ペーパーなどで塗料を落とし、ドライブラシの要領で凹凸がある部分(金具やエッジ部分)を中心に擦っていきます。すると色が薄い平面部分に対して凸凹している部分に濃い色が入り、汚しに表情が出てきます。このテクスチャの付け方がお好みの部分ではあるのですが、自分はこの方法がお手軽だと思いました。
続いて足回り。こちらは地色が黒なので、Mr.ウェザリングカラーでは色が十分に出ません。そこでアクリル塗料を使いました。色は錆色表現の基本となるタミヤカラーXF-10フラットブラウン。
こちらもドライブラシの要領で足回りに擦り付けていきます。
ただ写真をみてもわかると思うのですが、非常に目立たない(笑)。近づけばわかるかな?程度で、遠目に見るとほとんど汚れが視認できません。やはり足回りを汚すにはエアブラシできっちり着色する必要があると思った次第です。
ともあれ、こんな感じで生まれ変わりました。
石炭の積み込み
さて石炭のほうはというと、やはり冬場はなかなか乾燥が進みません。ドライヤーで強制乾燥させて、囲みを外します。出来上がりはまずまずといったところでしょうか。
底上げするために、スチレンボードの端材を切り出して貨車の中に置き...
その上に作った特製石炭プレートを載せて...
いや、これは盛りすぎ。底上げのスチレンボードを2枚重ねてたので、1枚に減らします。
む。よさそうです。残りも同じように据付けて完成!
もちろん出来上がったらレイアウトでお披露目を。
試運転。 pic.twitter.com/VlqXGRKBKp
— じょばんに (@Giovanni_Ihatov) 2020年12月6日
貨車の加工は初めてだったのですが、なかなか満足の行く仕上がりになりました。腕木式信号機の組み立てでだいぶ消耗したので、工作からはしばらく遠ざかっていたのですが、やはりモノを作って出来上がっていくのは楽しいですね。
完成品に手を入れるのは、失敗したときのリスクを考えるとなかなかビギナーには手を出しづらいのですが、今回£25という安価でまとまった貨車が手に入ったのは僥倖でした。貨車や客車などは、新古、中古でいろいろと掘り出し物が出るので、今後もこういうチャレンジのための車両も買っていければと思います。