‘Black 5’ with Steam Generator

HornbyからSteam Generatorを搭載した蒸機の製品化発表があったのは2022年初頭。それから3年の歳月を経て、ついに現物が手元に届きました!

R30225SS BR Stanier 5MT 'Black 5' 4-6-0 No.44726 with Steam Generator - ERA5

今回の製品はSteam Generatorが搭載されただけではなく、金型も一新されています。

前面のスモークボックスドアとバッファビーム上にはヘッドランプ、テンダー後方にも白赤いずれにも点灯するランプが搭載。

ファイアーボックスにはグローランプが仕込まれていて、火室内で燃える石炭をしっかりと表現。

機炭間接続の機構は、従来のコネクタ式に代えて最近Dapolでも採用されたプラグ式。

DCCは21pinインタフェースで、Hornbyが新しく開発したHM7000シリーズのTXS(Triplex Sound)デコーダーを搭載。テンダー内にスピーカーとともに収まっています。

また標準付属品として機関士、機関助手の人形も付いてくるという、まさに至れり尽くせり。

RRPは発表当初の£249.99から£319.99と3割近く上昇しましたが、最近ではDC版でも£200を超えてくる現状を考えると、この内容を考えればまずまず許容範囲かなという感じです。ちなみにKernow Rail Model Centreでの販売価格は、価格改定前にpre-orderをしていた場合は£287.99のところを£273.59となり、正味の支払いはVAT抜き£227.99 + 送料£30でした。

Steam Generatorを試す

というわけで、今回の目玉はなんといってもSteam Ganeratorです。独メルクリンなどでは以前からオイルを使用した発煙装置を組み込んだ模型が発売されていますし、最近では米ブロードウェイリミテッドからN ScaleのBig Boyにも同様の発煙装置を組み込んだものが発売されたりしています。

ただ今回Hornbyが採用したのは、それらのオイルベースの発煙剤を使用した発「煙」装置ではなく、TRS Trainsなどでも使われている超音波加湿器の原理を使用した蒸気発生装置です。Smoke Ganeratorと呼ばずに Steam Generator と呼ばれているのも、使用している装置の原理が異なることによるのですね。

自分は発煙剤を使用した発「煙」装置付きの模型を試したことがないので、体験としては比較できないのですが、考えられ得るいくつかのメリットがあると思います。

  • 加熱を伴わないので模型本体に対するダメージがない
  • 発煙剤ではなく水を使うので、取り扱いが簡単なうえ、入手性も良い
  • 煙や匂いがしないので室内で遊んでも問題ない

逆にデメリットと考えられるところもあります。

  • 水蒸気なので煙としては少し見えづらい
  • すぐに消えてしまう(これはメリットとも考えられるが)

個人的には所詮は水という扱いの良さというのが一番の魅力です。実際にどんなものかは映像を見てもらった方がよいかと思います。

思ったよりしっかり出る感じ🚂これはいいかも👍

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— じょばんに (@giovanni.naucon.org) January 11, 2025 at 4:05 PM

レイアウト上で走らせると、こんな感じに見えます。

Steam in action!

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— じょばんに (@giovanni.naucon.org) February 3, 2025 at 9:52 PM

もう少しほんのり出る感じなのかなと想像していたのですが、むしろ勢いよく出るし、DCCデコーダーによるサウンドとの同期もとてもいい感じです。駆動原理はスピーカーから音を鳴らすのと大差ないので、制御もしやすいと思われます。

実際の蒸機の煙突から出るものは水蒸気と煤煙の混合気なのでもっと煙然としていると思いますが、石炭が完全燃焼すると水蒸気だけが見えるようになるので、個人的にはSteam Generatorによる表現の方が合ってるようにも思いました。

蒸気を発生させるための水の補給は、前面のスモークボックスドアを開けて行います。ドアはマグネットで固定されているだけなので、開け閉めは簡単。矢印で示した箇所に付属品のピペットを差し込んで給水します。

タンクの容量は3ml。水の残量ゲージがあるわけではないので、途中で補給するとなるとどのぐらい入れればよいのかわからないのですが、入れすぎたとて所詮水なので、綿棒などで溢れた分を吸い取っておけばOKです。タンクを満タンにして連続して走らせた場合、感覚としては10分以上は余裕だが30分まではいかないぐらいです。展示会などで走らせる想定だとそれなりの頻度での補給が必要ですが、普段走らせる分には十分な容量と思います。

新金型の仕上がり

新金型の‘Black5’については、当初Sam's Trainsなどで新機構の機炭間接続のプラグの不良でまともに走行できないなどの悪評が出ていましたが、このSteam Generrator付きモデルではある程度改良されたのか、そのような不具合が出ることもなく非常にスムーズな走りで、強化されたディティールも相まって満足度は高いです。

うちのレイアウト走行時に先輪が脱輪しやすいという問題があったのですが、先輪にウェイトを組み込むことで解決できました。おそらくTension Lock Couplingをつけることでも同様の効果は期待できると思います。

最初にも挙げた通り、ランプや機炭間接続の改良、テンダー内のシュガーキューブスピーカー対応のエンクロージャーなど、後付けで苦労する部分を設計段階でしっかり取り込んでもらえているのはやはりうれしいですね。ただそこまでやっていて、なぜファイアーボックスのグローランプがDCCで一切制御できないようになっているのかは謎です。通電すると常時点灯しっぱなしになるという仕様です。アナログ対応との兼ね合いがあったのかもしれませんが、ここは唯一のマイナスポイントでした。

走らせる楽しみ

鉄道模型の楽しさは、なんといっても実際に走るその動きを楽しむところにあると思います。サウンドはその楽しみを一つ上に押し上げるものですが、今回のSteam Generatorはそれに加えて蒸機独特の躍動感を加えるもので、走らせていて本当に楽しいです。ここしばらく迷走気味のHornbyですが、英国鉄道模型メーカーの先陣を切ってSteam Generatorの搭載をしてくれたことに拍手を送りたいと思います。Well done!!

今日も蒸機で遊んでいます。出発時がいちばん映えるかも。

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— じょばんに (@giovanni.naucon.org) February 5, 2025 at 10:04 PM