トラムウェイ8620形蒸機にSmile Sound Decoderを載せる

ラムウェイから8620形蒸機が出たのは昨年9月のこと。

しばらくはサウンドなしで走らせていたわけですが、Smile Sound Decoderが蒸機サウンドに対応したのに合わせて、8620形のオープンサウンドデータとともに載せてみました。

デコーダーの搭載

メーカーからは公式にアナウンスされていませんが、トラムウェイの8620形蒸機はDCCに対応しています。テンダー内にNEM652(8pin)のソケットが用意されていて、Head Lightが前照灯に、AUX1が運転室の照明に結線されています。

Smile Sound DecoderのインタフェースはMTC21もしくはNext18になるので、今回はMTC21 - NEM652の変換ケーブルを使って載せることにしました。

まずは変換ケーブルのMTC21コネクタ基板のパッドに、スピーカー(ESU 15x11mm Sugar Cube Speaker)とキャパシタ(25V, 220μF)をはんだ付けします。

動作確認のあと、スピーカーやMTC基板のパッドにアセテートテープを貼って絶縁しておきます。テンダー内は十分なスペースがあるので、収納には困りませんでした。

こうして出来たMTC21コネクタにデコーダーを挿して、石炭モールドの蓋をすれば搭載完了です。

サウンドデータの書き込み

Smile Sound Decoderへのサウンドデータの書き込みには

が必要です。Open Sound DataのページからSmile Sound Decoder向けの「鉄道省/JNR 8620 蒸気機関車」のデータをダウンロードし、DSSPで開きます。

サウンドファイルを開いたところ

配布されているデータには、音源データとともに既に必要なサウンドフローが含まれているため、基本的には何もせずそのまま書き込むだけで使うことができます。

USBライターにデコーダーを挿してPCに接続したら、DSSP上の書き込みボタンを押すと書き込みが始まります。待つことしばし、終了の表示が出たら、USBライターをPCから取り外してからデコーダーを取り外します。

サウンドフローを書いてみる

自分はLoksoundのサウンドデータ作成ツールであるLokProgrammerを使ったことがなく、サウンドデータ作成ツールを使うのはこれが初めて。自由にカスタマイズできるところがオープンサウンドデータのいいところですので、少しサウンドフローをいじってみることにしました。

ラムウェイの8620形蒸機は前照灯のほかに、運転室にも照明が点くようになっています。運転室の照明はAUX1に接続されているので、まずは手始めにファンクションキーでこの照明を操作できるようなフローを追加してみました。

F18で運転室の照明のオンオフをする

スクリプトベースの記述なので、慣れているひとにはやさしいのではないかと思います。

テストフロー

DSSPでサウンドフローを記述することはできますが、テストは実際にデコーダーに書き込んで動作させる必要があります。Smile Sound Decoderは車両に載せたままの書き込みはできないので、一旦取り外してUSBライターで書き込みます。

  1. DSSPでフローを更新
  2. USBライターでデコーダーに書き込み
  3. ESUデコーダーテスターでテスト
  4. 車両でテスト

2→3→4はデコーダーを載せ替えながら行うことになります。載せ替えの手間はともかく、MTC21のコネクタは、頻繁に抜き差しすることを想定して設計されてるとは言い難いので、やや難儀なところです。Next18コネクタはパチ留めなっているので、付けるのも外すのも大した力は要らないのですが、MTC21コネクタはモノによっては非常に外しづらいものもあります。USBライターからの取り外しは、治具が売られているのでそれを使うのもありでしょう。

LED表示で状態遷移を可視化

サウンドフローをテストしていると、実際にいまどこが実行されているのか知りたくなることがあります。プログラムを組む場合は、例えばデバッグプリントを仕掛けることで、実行中のプログラムの状態を知ることができますが、デコーダーから出力できるものといえば、音かファンクション出力ぐらいです。

ESUデコーダーテスターにはAUX1 - AUX6の出力に対応したLEDがあり、今回AUX1しか使わないのをいいことに、AUX2-AUX6を使ってサウンドフローの状態遷移を可視化してみました。

蒸機のサウンドフローは、ドラフト音を速度に合わせて切り替えるように組まれているのですが、その音の切り替わりや減速時の動作などをみるのにちょうどよいです。

というわけで

最終的にはカスタマイズした部分は以下の通り。

  • 蒸気・時間調整 走行開始時=1000 最高速度時=100 に変更
  • 減速時また減速後の定速時に spd が 80 以下でドラフト音をカットする
    • 再加速時は即時ドラフト音を再開
  • 後進時にも前照灯を点灯させる

減速時でもそのままドラフト音が鳴り続けるのですが、音量を小さくするとか何かもう少しうまく差し替えられるといいかもしれません。

あとバグと思われる部分も修正しました。

  • F1でサウンド(HISS音)が停止しないことがある問題の修正
  • F11でカーブフランジ音をオフにしても、停止状態になるまで反映されない問題の修正

最後に、いつものように動画をどうぞ。