L&YR Class 5

Hattons Genesis Coachの発売に合わせて「Pre-groupingの蒸機を用意しなくちゃ」と思って目を付けたのが、BachmannのL&YR Class 5。2-4-2という軸配置も面白く、Pre-orderになっていたL&YR lined black liveryをKMRCに注文したのが2020年11月でした。

それから1年と半年余り。Hattons Genesis Coachは順調に遅れ、L&YR Class 5も何の音沙汰もなかったのですが、結局蒸機の方が先に到着することになりました。

外観

月日が流れている間に、価格は上がるわ、円安が進むわで、当初のお買い得感は失われましたが、すっきりした足回り、低い屋根のキャブと円窓、大きな蒸気ドームと細い煙突など、Era2ならではの独特のフォルムは、温かみを感じさせるものです。

キャブ内も細かく再現、塗り分けがされていて、開口部が大きい分、見栄えがします。

バッファはSprung Bufferではないのですが、ごっつい感じの形状で、これまたいいアクセントになっています。

分解

アナログでの動作確認が終わったところで、DCCサウンド化のために分解して、中の様子を確認します。ネジをはずすとボディ(写真左)とシャーシ(写真右)に分かれます。

DCCソケットはバンカーの中に設置されていました。6pin(NEM 651)です。

煙室を見ると、しっかりと重りで埋められています。確かにサイズに比して十分な重さになっているのですが、煙室部分をDCCサウンド化のためのコンポーネント(例えばスピーカー)のスペースにすることは難しそうです。

まずは走行用デコーダーをつけて、レイアウトで走行試験です。6pinのデコーダーは持ち合わせがなかったので、KMRCで扱っていたBachmannのデコーダーを一緒に送ってもらいました。中身はZimo製。アナログ用基板と差し替えます(DCC化完了!)。

集電が動輪の2軸しかないので、正直期待はしていなかったのですが、カーブポイントなど引っかかりそうな箇所も問題なく走行でき、走行性能は非常に優秀でした。ダイキャストシャーシに加えて、きちんと重りを積んであるのがよいのかもしれません。

この状態で十分に慣らし走行(Running in)を行います。最近のDCCサウンド化のやり方としては、サウンドデコーダーをいきなり積むのではなく、まず走行用デコーダーでレイアウトのあちこちを走らせて、癖のようなものを見ます。集電に問題がある場合もあれば、そもそもカーブがうまく回れず脱線してしまうとか、後進に問題があるとか、サウンド以外の粗方の問題はこの段階で洗い出して、対策を練ります。こうすることで、サウンドデコーダーを積んだときに、サウンドデコーダー起因の問題にフォーカスすることができます。

今回のL&YR Class 5の場合は、この段階ではほぼ問題がなかったので、特にいじることなく、DCCサウンド化検討に進みます。

DCCサウンド化検討

さてDCCサウンド化ですが、特にスペースに制限のあるタンク式蒸機の場合には

の3つをどこに収めるかが、一番頭を悩ますところです。DCCソケットが用意されているといっても、標準的な走行用デコーダーを収めるスペースしか考えられていないので、スピーカーとキャパシタは当然入りません。大抵は煙室をうまく使うのですが、今回はそこも重りで埋まっているので、煙室の重りを取るか、他の場所を探すかする必要があります。

テスト走行で見た限り、この重りの効果は十分に感じられたので、これはいじらずに比較的広いキャブスペースを使う方向で考えます。

キャブ屋根は、バンカー下の赤矢印のネジ(写真左)をはずすことで、簡単に取り外すことができました(写真右)。しばしばキャブ屋根の取り外し方法がわからず、苦労することも多いのですが、親切設計で助かります。

バンカー内の高さ方向のスペースは12mm。6pinソケットは基板に据え付けられていて、このソケットをそのまま活かすのであれば、高さの余裕は少なく、やはりデコーダを収める以上のことは難しそう。一方でキャブは十分な余裕があるので、標準的な15x11のSugarCubeスピーカーを置けそうです。キャパシタは、テスト走行の結果からうまくいけばナシでもいけそうですし、必要であればキャブに載せることにします。

方針が決まったところで、サウンドデコーダーとスピーカーをYouChoosに発注。L&Y R Class 5のサウンドは無かったので、代替としてL&Y Class 27 3Fのものを、デコーダーは6pinコネクタ付きワイヤ接続のZimo MS490F、スピーカーはYouChoosオリジナルの15x11のSugarCube 1W/8ohmに7mmの蒲鉾型エンクロージャーが付いたもの(SCURVE7)を選択しました。

組み込み

今回初めて使うことになったZimoのMSデコーダーについて少し。

Zimoは3年前から順次プロダクトラインナップを更新し、MXシリーズからMSシリーズに置き換わりました。従来より高音質化(16bitサウンド)、大容量メモリ(128MBit)、小型化が進んだ、ESUで言うとLokSound v5世代に相当するものです。

また自分から見た大きな進化は、MXシリーズでは比較的大きなデコーダーにしかなかったStay-Alive用の回路が、MSシリーズでは小さいデコーダーにも組み込まれていることです。以下の説明書にある通り、“Cap+(on underside)”と書かれた端子(赤丸印)を使うことで、1000μFまでのキャパシタを追加回路なしに接続できます(赤下線)。これは、スペース制限があり、かつ安定走行のためにStay-Alive機能が要求されるタンク式蒸機にとっては大きなメリットです。今まではStay-Alive用回路基板+キャパシタを収めなくてはいけなかったところが、キャパシタのみで済むわけで、スペースはもとより、配線も減り、収納場所の自由度が格段に上がります。

まずはテスト走行から。やはりキャパシタなしでは低速時にストールして止まってしまう現象が見られたので、一番小さい470μFのものを接続して対応します。

そしてパッケージング。デコーダーを縦に置くことでキャパシタのスペースができそうなので、キャパシタも合わせてバンカー内に収めました。

スピーカーはキャブ中央に配置し、両サイドに運転士さんを置くことで、外目には目立たないようにします。ポージングは若干変ですが、そこは目をつむるということで...。

ここからは組み立て。まずバンカー部分だけをはめまてみます。確かにこの時点では、キャブ内にある黒いデカいものはなんだろうという感じではありますが...

屋根をはめると... そんなには目立たない感じになったと思います。思ってください(笑)。

というわけで、最後はいつものように動画でどうぞ。

Hattons Genesis CoachのL&Y liveryは、Batch 2でDue DateはTBC。2024年ぐらいには届くことを願っています(^^;。