英鉄模型雑誌

英国型の鉄道模型を始めるにあたっての情報は、ほとんどWebで集めました。Hornby, BachmannといったメーカーやHattonsのような大手リセラーのウェブサイトはもちろんのこと、英国の鉄道模型EnthusiastがYouTubeにアップロードする膨大なビデオクリップは鉄道模型が「動く」ものであるだけに非常に助けられました(沼に引きずり込まれたとも言えますが...)。特に個人チャネルの

あたりは、具体的なレイアウトの作り方だけでなく、鉄道模型の楽しみ方のお手本として参考にさせてもらっています。

ただWebでの情報集めは検索ベースになるので、どうしても自分のお気に入り(OO Scale、GWR主体)に偏る傾向があります。英国の鉄道模型コミュニティではどういうひとがどんなことをやっているのか、そのカルチャーをもっと俯瞰的に見たい。そのために英国の鉄道模型雑誌を購読してみることにしました。

一口に英国の鉄道模型雑誌(月刊誌)と言っても当然一誌ではなく、複数の会社から出版されているので、まず自分に合う雑誌を探す必要があります。これが国内のものであれば書店店頭で中身を見て比較して...ということができるのですが、もちろんそこらで売ってるわけはないので、海外通販してくれるメジャーな3誌を順にお試し購入してみました。

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※価格はいずれも日本までPrint Versionを発送する場合の送料込み

各誌内容に大きな差があるわけではないのですが、HORNBY MAGAZINEはどちらかというと新製品の車両レビューが主体、残り2誌はレイアウト製作レビューが主体という感じでした。

特によかった記事を2つほどピックアップ。1つはHORNBY MAGAZINE November 2018より、N ScaleでWCMLをfeatureした巨大なレイアウトを作っておられる方の記事。

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英国ではOO Scaleがメインストリームなわけですが、こうしてN Scaleできっちりレイアウトを仕上げていらしゃる方もいるのに幅広さを感じます。確かに大きな駅構内を再現するにはOO Scaleよりも場所の面で有利です。別の記事で「N Scaleの品質が近年とても向上したので...」ともあったので、目的に合わせてN Scaleを選択するということがあるのでしょう。

もう1つはRailway Modeller March 2019より、昨年英国Channel 5のテレビ番組として放映された「The Great Model Railway Challenge」の優勝チーム「Aberdeen Model Railway Club」のファイナルでのレイアウト製作のドキュメンタリー記事。

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Blade RunnerとReady Player Oneから着想を得た近未来SFをFeatureした空中を走る鉄道模型には「こんなのもアリなんだ」と強い印象に残っています。

またこうした記事の他にも、巻頭、巻末にある広告ページもまた面白いです。Webではあまり見つけられない英国内の小さなお店やクラブ、イベントの案内などカルチャーを感じるにはもってこいです。

例えば切符コレクトショップの広告。

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O Scale mk1 coachの広告(日本の真鍮製16番ぐらいのお値段で買える)。

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もちろん小さな広告も。

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Railway Modellerでは巻末ページに広告のお店がどこにあるか地図でわかるようになっていました。これは非常にいいアイディアだと思います。

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個人的にはどの雑誌も好奇心を満たしてくれるには十分なのですが、どちらかというとレイアウト製作の方が興味があるので、BRMとRailway Modellerを比較して自分にあっているRailway Modellerの方を定期購読することにしました。Webで登録すると、早速PECO Publishingから「登録ありがとう」の手紙が。

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もちろんメールでも返信は来ているわけですが、こうして実際に手紙として受け取るとなんだかうれしいですね。また面白そうな記事があったら取り上げたいと思います。

Little Paddington Railway 第3期工事(その1)

Track Update

昨年3月から進めてきたレイアウト製作も後半戦です。ここしばらくの作業をまずは線路周りから。

ポイント交換

周回線路上にあったKATOのユニトラックのポイント。HornbyのMk3客車と相性が悪いようで、ポイントが転換位置で通過する際にしばしば複線ドリフト状態が発生するようになりました。本来トングレールに乗るべき車輪が、ストックレールとトングレールの隙間にフランジが入ってしまうおかげでそのまま直進側に進んでしまうことが起きていました。スロースピードだと問題が起きにくいのですが、スピードを上げると顕著になります。

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他の車両は問題なく通過できているので、ストックレールとトングレールの密着に問題があるわけではないと思うのですが、ユニトラックのポイントはスプリングポイントでトングレールが完全には固定されていないので、フランジがトングレールにあたるとトングレールが動いて密着が離れてしまう可能性はありそうです。

ちょうどホビーセンターカトーでも入手可能になったこともあり、PECOのポイントへ交換することにしました。

下が作業前の状態。右側のポイントを交換します。

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まずはバラストを濡らして柔らかくし、既設のポイントを掘り起こします。

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PECOのポイントはStrack(Code 100)ST-240。2nd Rarius(R=438mm)の右開きポイントです。

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KATOのポイントに比べてポイントの直線部分が短いので、余っているユニトラックの直線線路を適当な長さに切って調整しはめ込みます。

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コルクで道床をひきバラストを撒きなおします。

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以前はおっかなびっくり作業していたレールへの加工(非選択化、長さの調整)も、最近は躊躇なく行えるようなりました。ユニトラックですら「長さが合わなければ適当な長さに切って使えばいいじゃないの」という感覚に。異なるメーカ(KATO⇔PECO)、異なるコード(Code 83⇔Code 100)の接続も問題なくできてます。

ただ固定式レイアウトで切った貼ったをするならそもそも全部PECOにしたほうが簡単だったなぁとは思います...やってみないとわからないことはいっぱいありますね。

小さな貨物ヤード

さて周回線路内、車庫からリバース線を挟んで反対側には線路は敷かずに駅前広場とちょっとした町を作ろうと思っていました。ただこの狭いレイアウト、リアリティは二の次なのでどうせなら目いっぱい線路を敷いてみようと小さな貨物ヤードを作ることにしました。

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まずは先ほど掘り起こしたポイントの直線部分を切り詰めて

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レイアウト中央を横切るリバース線に組み込んで貨物ヤードへの入り口を作ります。

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その先はPECOの線路。ここでは是非とも使ってみたかった

  • フレキシブル線路 (SL-100)
  • Y字ポイント (ST-247)

を組み入れました。

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 ストラクチャーとしてはHornbyから出た屋根付きの貨物ホーム

 

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と、Oxford RailのGoods Shedを導入(予定)。

 

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Goods Shedは昨年から製品リストには載っているのですが、一向に発売される気配がないので、ひとまずWeb Siteにあったfootprintと同じ大きさの紙を用意して線路の位置決めだけを行いました。

 

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ポイント以外はすべてフレキシブルレールをカットして使用。だいたい直線でフレキシブルレールが必要なほどの微妙なカーブはないのですが、レイアウトに合わせて長さを自由に切って使っていけるので、ぴったり収まるし経済的です。なんでこれをもっと早く知らなかったのだー、とまた一つ学びがありました。

その名の通り「小さな」貨物ヤードで、各線ともShunterと2軸貨車が2, 3両程度入るスペースしかないですが、うちのレイアウトで長大な貨物列車を走らせることはないので、これはこれで情景的には面白くなるかなと思います。

(つづく)

Little Paddington Railway - 2018まとめ

何をどこでどれだけ買ったのか

2018年3月1日に開業したLittle Paddington Railway。鉄道模型を始めて(正確に言うと何十年ぶりかに再開して)まだ1年も満たないですが、年末ということで会計の振り返りなど。

買ったものはその都度Google Sheetに記録しているので、ここまでの集計を出してみました。まずはカテゴリ別(金額ベース)。

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LPR CY2018 カテゴリ別

最初の年なので、ベースボードを準備するところから始めて線路やストラクチャー、コントローラなどの制御機器など車両以外のものに結構支出した気がするのですが、結果的には金額ベースだと6割近くが車両に。車両は結構単価が高くても買っちゃうところがあります(汗。しかしレイアウト作りも楽しいので、バランスを考えながら投資したいところです。

さて次に購入先別(金額ベース)。

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LPR CY2018 購入先別

予想通りHattons Model Railwayとその他大勢という感じでした。中古を含めて国内で英国型を置いている店は限られるので、今後もHattonsにお願いすることは続きそうです。

ホビーセンターカトー東京もレイアウト用品(Woodland ScenicsやNOCH)の取り扱いが充実したりPECOの線路を置くようになったりと、ちょっとしたものを買える場所として引き続き期待しています。

過去10年ぐらいの変遷が見られるようになると何か歴史が見えたりするかもしれません。記録は引き続き続けたいと思います。

最後に今年の記録をビデオクリップにまとめましたので、お時間があれば御覧ください。それではよいお年を。

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Little Paddington Railway 第2期工事(その8)

Railway Yard

第2期工事の最後は周回線路内のヤードの整備です。

既にある赤レンガのEngine Shedに加えて、いくつかの小物を追加しました。

Hornby R8632 Low level signal box - Skaledale range
小さめのSignal Box。

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Hornby R8587 Coal Stage - Skaledale Railside range
Engine Shedがあるので、給炭設備を。でも実際これで給炭するのは大変そう。

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Bachmann 44-0064 GWR Parachute water tower
そして給水設備も。

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配線は決まっていたので、小物の配置を決めます。Engine Shedの位置から考えて、向かって右側をEngine Yard、左側をCoach Yardという区分けにしてみました。

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そして盛大にバラスト撒き。線路はユニトラックなのでバラストを撒く必要がないので、バラストや定着用のボンドが入らないように幅広のマスキングテープ(黄色)でマスクしておきます。

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バラスト撒きが終わったら植栽作業。TAMIYAの情景テクスチャーペイント 土 ダークアースで下地を作り、

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茶色ブレンドのターフを撒いて、

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その上に木とクラスターフォーリッジで飾り付けをします。

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Engine Shedの横奥も同様に木を植えました。

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ちなみに下地に使った情景テクスチャーペイント。真っ平らな地面に多少の凹凸感が出るかなと思っていたのですが、思った以上に泥そのものなのでその点は期待はずれ。凹凸自体はプラスターや紙粘土でちゃんと造作しないといけないです(だとするとそこにアンダーコートで着色すればいいじゃんって話になる)。

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なので、Yardの末端部分はテクスチャーペイントは使わずコルクの上に直接茶色ブレンド、緑色ブレンドのターフを撒いて、コースターフで飾り付けしました。

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小物も収まるところに収まりました。

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Coach YardにはHatton’sに中古で出ていたナゾのYard Lampを立ててあります。(ちゃんと点灯します)

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全景。

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車両を入れて完成。こじんまりとはしていますが、車庫らしくなりました。

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ベースボードの上にユニトラックを組み上げただけの第1期工事から、第2期工事では複線化からのPECOトラックの導入、擁壁とトンネルの構築、信号、照明の組み込み、レイアウト固定化とお山の製作と自分でも思いもよらぬ方向に進んできました。初めてであるが故に「こーすればよかったー」みたいなことが山ほどありますが、もちろんまだ終わりではないので、次なるチャレンジをしてみたいと思います。

(ここまで)

Little Panddington Railway 第2期工事(その7)

Land Forming

今回は固定式レイアウトのもう一つの醍醐味、地形造成についてです。

基本的にレイアウトは平らなベースボードに構築していくものですが、山や川など起伏のある地形を作ることでレイアウトを立体的に見せることができ、視覚的な楽しさを加えることができます。起伏に合わせた配線によって生み出される勾配、トンネル、橋などのレイアウトシーンは、固定式レイアウトに欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

Little Paddington Railwayのレイアウトにも何らかの起伏を取り込みたかったのですが、スペースの制約から線路に起伏を付けることは諦め、線路と線路の間に多少の起伏を持たせる方向で検討しました。ちょうどヤードと周回線路の間が空間的に空いていた(黄色の斜線部)ので、ここに視覚的な間仕切りにもするべく堀割風の堤を作ることにしました。

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現実にはこういう地形は想像できませんが、周回線路自体がすでに現実にはあり得ないのでそこはレイアウトとしての見えを優先しました。

さて、堤を作るとしてその作り方ですが、世の中には実に様々な方法が転がっています。王道を試してみたいと思い、スタイロフォームとプラスタークロスを使う方法でやってみました。

まずは堤を作る部分を折り込み広告を使って型取りします。

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型紙をスタイロフォームに当て、適当な大きさに分割して切り出します。

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この上に二段目の型取りをして再びスタイロフォームを切り出します。

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さらに三段目、四段目と繰り返して、四段構成の階段状の堤が出来上がりました。

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ここからある程度斜面の形になるように角を削ぎ落します。

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幾分それっぽい斜面が見えるところまでできました。

さて、このままスタイロフォームを完全な形に仕上げて直接塗装する方法もあるのですが、そこまでやるとなるとスタイロフォームを削りまくらなくてはいけません。そこでスタイロフォームはあくまで土台と位置づけ、この上にプラスタークロスを使って地形を仕上げることにしました。

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プラスタークロスは網目状の布に石膏をまぶしたものです。水で濡らして立体物に貼り付けることで、立体物の表面を形成し、石膏仕上げにすることができます。感覚としては水溶きの糊を付けた新聞紙を立体物の骨組みの上から貼り付けて表面を仕上げる、あれと同じです。ただ仕上がりが石膏なので、軽くて丈夫ですし、その後の塗装でも発色がよいことが期待されます。

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プラスタークロスを貼る前に、階段状になっている斜面部分を紙テープで補強します。

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そしてこの上にプラスタークロスを貼りけます。だいたい20cm x 20cmぐらい、正方形になるような大きさで切断し、ある程度重なるように貼りつつ全体を覆います。作業自体は簡単ですが、とにかく石膏が飛び散るのでビニールシートの上で作業するのが無難でしょう。今回のように後からレイアウトに設置できる場合はともかく、レイアウト上で直接扱うのは結構大変かもしれません。

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一晩置くと、表面は完全に硬化して石膏の風合いがある立体物が出来上がります。起伏が単調だったりへこみがあったりする部分を、一部紙粘土を盛って修正作業を行いました。

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完全に乾いたら塗装。まずはKATO(というかWoodland Scenics)のアンダーコート・アースを全体に塗ります。

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乾燥したら、次にいつもの木工用ボンド水溶液をハケでぬりつつ、魔法の粉・KATOターフ緑色ブレンドを惜しげもなくふりかけます。(惜しげもなく、というところが重要

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振りかけ終わったら、さらに上から先ほどの木工用ボンド水溶液を霧吹きで吹きかけて乾燥させます。

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さていよいよレイアウトに配置。緑色が映えていい感じです。

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堤と地面の境目部分はコースターフを貼り付けて目立たない感じにしました。

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上から見るとどうってことないのですが、地面のレベルで見るとやっぱりいいですね。

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このあと堤をフォーリッジや樹木で装飾する予定ですが、ラベンダーやアザミなど草花も使いたいので一旦このままにしておきます。

以下はおまけ。まず音が聞こえて、やがてぱっと列車が顔を出すのがなんともいいですね。

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長々続けてきた第2期工事も次回ヤード編で最終回です。(つづく)

Little Paddington Railway第2期工事(その6)

Sound Installation

今回は音についてのお話です。

長らく離れていた鉄道模型を再開しようとした理由のひとつに「車両からリアルな音が鳴らせるようになった」ことがあります。

DCCによるデジタル化の恩恵の一つと言えますが、コマンドで発車ベルや警笛を鳴らせるのみならず、車両の速度変化に合わせてドラフト音、エンジン音やのモーター音、またブレーキ音やポイント通過時に発生するフランジ音まで様々な音を鳴らすことができます。音によりともすれば眺めることが多い鉄道模型運転の楽しみが格段に広がったと思いました。走っていなくてもアイドリング音が鳴るので、走行時だけでなく停車時の駅の情景を楽しむこともできるのも魅力でしょう。

英国のメーカーであるHornbyからは、レイアウトの留置線などに置いて環境音を鳴らすため貨車にサウンドを組み込んだものが出ていて、鉄道模型で音を楽しむことが普通になってきているという印象を受けます。

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まだ本格的に始める前にメディカルアートさんで蒸気機関車サウンドデモを見せていただいたのですが、実際に聞くとかなりの迫力で「やるならサウンド付きで!」と心に決めました。

音を鳴らすのにはいくつかの方法があります。

  1. メーカーでDCCサウンドデコーダーがあらかじめ装着された車両(DCC Sound Fitted)を購入する
  2. 売店(英国の車両であればHatton's, Olivia Trainsなど)でDCCサウンドデコーダーを付けてもらった車両を購入する
  3. DCCサウンドデコーダーを別途購入して自分で取り付ける

どれも仕上がりには大きな差異はないですが、1. が価格的には一番安上がりで済みます。ただし当然メーカーがDCCサウンド付きで出しているものは種類が限られるので、自分が欲しい形式のものがあるとは限りません。

2. は1. に比べて割高となりますが、主な機関車、気動車(DMU, DEMU)や電車(EMU)まで車両がDCC対応(DCC Ready)しているものであればほぼ対応してくれています。

3. は2. を自分でやるということになるので 2. に比べれば手間賃の分割安となります。

ちなみにDCCでないと音がならないのかというとそんなことはなくて、DCCサウンドデコーダーがアナログ運転に対応してればアナログでも走行時の音を鳴らすことができます。ただしDCC車両を走行可能なパワーパック(PWM制御でないもの)が必要です。またコマンドによる音(警笛など)を鳴らすことはできませんし、DCCデコーダーの動作に一定の電圧が必要となるため、低速での走行や音については割り切りが必要です。個人的にはオマケ機能ぐらいに考えておいたほうがいいと思います。

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 DCCサウンドデコーダーはESUなどのDCCデコーダーのメーカーが出していますが、あくまでデコーダーのみで音のデータは付属していません。つまり音データは別途用意する必要があります。

英国の車両であればHornbyがいくつかの形式向けに音付きのサウンドデコーダー(TTS Soundシリーズ)を販売しています。

またOlivia Trainsは膨大な形式向けの音のライブラリ保有しており、それらの音データをインストールした状態のサウンドデコーダーを販売しています。(Hatton'sはOlivia Trainsのサウンドデコーダーを使用している模様)

英国の車両に関してはOlivia Trainsのおかげでサウンド付きで楽しめる環境が整っていると言っても過言ではないでしょう。

最初に導入した蒸気機関車のClass 45xxとディーゼル機関車のClass 37については、2. の方法(Hatton'sでDCCサウンドオプションを付けて購入)だったのですが、この度導入したClass 47およびClass 221 Voyagerは3. の方法で挑戦してみました。

Vi Trains Class 47 InterCity Livery + Hornby R8103 TTS Sound Decoder - Class 47

まずはClass 47。Vi TrainsというイタリアのメーカーのものでDCC Ready(8pin)です。なんか箱がかっこいい。

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美しく収まっています。左手に見えるのは付属パーツ。最初の状態ではバッファも付いていません。仕上げは自分でやってね、というところでしょうか。そのための解説書も付いてます。確かにこれからボディを開け閉めしたりすることを考えると、一通りいじった後に付属パーツをつけられるようになっているというのは理に叶っているようにも思います。

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かわいいお顔。INTERCITYとスワローロゴがかっこいいです。いろんな塗装の中ではデザインとしてはこのInterCtiy Swallow Liveryが一番好き。

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一方DCCサウンドデコーダーはHornbyのClass 47のものを使いました。

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中身はこんな感じで、DCCサウンドデコーダーと28mmの丸型スピーカー、ガスケットが付いています。接続端子は8pinなので、未加工で接続できるはず。

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まずはボディーを開けます。特にねじ止めはされていないので、両脇各3箇所のプラスチックのツメを外せば簡単に取れます。

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内部はダイキャストのシャーシが大半を占めており、中央にモーター、その上に基板。シンプルな作りです。購入したものは中古品でしたが、HornbyのDCCデコーダーが付いていました。

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これをソケットから取り外して、先ほどのサウンドデコーダーをソケットに挿します。

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このまま一旦試運転。

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 やってみると拍子抜けするほど簡単でした。DCC Readyであればソケットの抜き差しだけで済むので、特別な技術は必要なさそうです(ソケット挿入にピンの向きだけ注意)。

これで完成...のはずでしたが、スピーカーがエンクロージャー無しなので、いまいちディーゼルっぽい迫力に欠ける感じです。YouTubeでいろいろ見ているとやはり同じことを思っているひとがいるらしく、低音が出るスピーカーに換装するビデオを見つけました。

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「じゃあやってみる?」ということで、UKのRoads and Railsというところから件のスピーカーMega Bass Speakerを取り寄せてみました。結構小さな店のようですが、1週間ほどで到着。

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まずはもとのスピーカーを外します。 

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Mega Bass Speakerの端子の先端を剥いて、サウンドデコーダーのコードと接続します。

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最初はスピーカーを2つ付けるつもりでしたが、どうも電流容量の上限にあたってデコーダーがリセットされてしまうので、結局1つにしました。

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さて、こいつをボディーに納めなくてはいけないのですが、スピーカーの角がボディの天井にあたってうまく閉まらない... ちょっと角をやすりで削って、なんとか無事収まりました。

 

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さて試運転。

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キマシタ!コレ、コレですよ。このやかましさ。スピーカーを変えるだけでここまで音が変わるとは驚きでした。

Road and Railsではいろいろなタイプのスピーカーを売っているので、用途やサイズに合わせて選べばよさそうです(下記ビデオ参照)。

youtu.be

Bachmann Class 221 Voyager Cross Country Livery + Olivia Trains Class 220/221 Sound (ESU LokSound v4) 

さて次はBachmann Class 221 Voyagerです。こいつは8年ほど前の製品の中古品ですが、DCC Readyではありません。Hatton'sでもDCCサウンド付きのオプションは選べず、ひとまずDCCデコーダー付き(サウンドなし)で購入しました。

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Class 221向けのサウンドデコーダーはOlivia Trainsから購入しました。なんだかんだで到着まで10日間ほど。ESUのLokSound v4です。

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紙切れみたいなのwにサウンド機能リストが書かれています。入っているものはホントにこれだけです。

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さてモーター車である中間車にサウンドデコーダーを搭載することにします。両端の4本のネジを外してからボディ両脇各3箇所のプラスチックのツメを外します。真ん中にフライホイール付きのモーター、その上にHatton'sのDCCデコーダーが載っています。

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さすがにソケットはなく、デコーダーのリード線がはんだで直接集電のリード線とモーターに接続されています。

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まずはこれを取り外し。 

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代わってサウンドデコーダーをつけるため、まずは8 pinソケットを付けます。モデルランド田中さんから仕入れたもの。

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ここにサウンドデコーダを接続します。

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スピーカーは下向きにしてボディの天井につけて収めます。これで試運転。

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スピーカーは上向きより下向きの方が台車の隙間あたりから音が外に出やすいみたいです。以下おまけ動画。ディーゼルっていいですね。

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今回はここまでです。このClass 221 Voyagerは、そもそもサウンドデコーダーを取り付けるまでにいろいろトラブルがあったのですが、それはまたの機会に。

(つづく) 

Little Paddington Railway第2期工事(その5)

Ballasting

今回は固定式レイアウトの真骨頂、バラスト撒きです。ここまでは基本的に置きレイアウトで、いつでも自由に線路を引き直したり撤収したりできましたが、これをやってしまうともう後に戻れません。それ故に楽しみな作業でもあります。

使用したバラストはWoodland Scenicsの

  • Medium Buff(中目・淡黄色)
  • Medium Dark Brown(中目・濃茶色)

の2種類です。色の選択はいろいろ悩んだのですが、実際にありそうかどうかというよりは単に好みとして灰色っぽくはしたくなかったので、その中で明るめのものと暗めのものを選んでみました。

 

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まずは駅周辺から。駅構内の線路はKATOのユニトラックを使っているので、線路の間は撒かずに脇を中心に撒いていきます。地面の高さをユニトラックの道床分だけかさ上げするため、線路と線路の間にはあらかじめコルクを敷いておきます。

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撒き方としてはいろいろあると思いますが、駅周辺は既に設置してあるストラクチャーの間の比較的狭いところに撒いていくことになるので、100均で売っているドレッシングボトルに詰めてみました。

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ボンドについては、教科書通り木工用ボンドを適当(塗りやすい程度)に水で薄めたものに中性洗剤(食器用洗剤)を少し入れたものを作ります。

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まずは筆を使って撒きたい箇所にボンドを塗ります。そしておもむろにバラストを撒いていきます。

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下地が隠れる程度にどんどん撒いて、筆を使って均していきます。写真にあるような大きめの刷毛があると作業しやすいです。

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まだこの状態ではバラストは吹けば飛ぶ状態なので、ここから定着作業です。これがバラスト撒きの中でもっとも特徴的な作業だと思います。用意したのは霧吹きボトルと滴下ボトル。霧吹きボトルには中性洗剤を少しいれた水、滴下ボトルには、先ほど下地に塗ったボンド(木工用ボンド+水+中性洗剤)をもう少し薄めたものを入れます。

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まず霧吹きでバラストを十分湿らせてから、滴下ボトルでボンドを落としていきます。ドバッとボンドを落とすとバラストが流れてしまうので、手加減が必要です。

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駅周辺が済んだら、次は周回線路の方へ。こちらはPECOの線路を使っているので線路の間も埋めていきます。

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ポイント可動部まで撒くと動かなくなってしまうので、マスクしておきます。Blu Tack(コクヨの「ひっつき虫」)を使いました。

f:id:giovanni_ihatov:20180819124411j:plainどんどん進めます。完全に土木工事です。

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バラストを撒くとすごく「レイアウト」っぽくなるので、最初は感動して作業も進むのですが、基本的には単純作業の繰り返しなので、一気にやろうとしないことをオススメします。

Bushes

さてバラストを撒いたあと、線路と線路の間に少し緑を入れてみることにします。

草木関連のレイアウト素材はいろいろ種類があるので、正直どれを使ったらいいかよくわからないのですが、たくさん入っていて使い出がありそうという理由で

の2種類を試してみることにしました。

ターフはレイアウトのど定番である「なんとなく草が生えてる地面」を表現できる粉状の素材ですが、HO/OOのスケール感から考えると「地面を色付けできるもの」と考えるのが良さそうです。

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一方フォーリッジクラスターは着色されたスポンジの塊で、適当な大きさにちぎって使うことで、下草から茂み、樹木の葉、樹木そのものまで、立体物を表現するいろんなものに使える便利な素材と言えます。

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単調にならないように、いずれも色違いのものを用意しました。

あらかじめバラストを撒かないでおいた場所に、先ほど使った木工用ボンドを塗ってフォーリッジクラスターを置き、バラストとの境界はターフを撒いて下草を表現しつつ自然な感じに見えるようにします。

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バラストを撒いた箇所でも、ターフを撒いた上に木工用ボンドを塗った小さめのフォーリッジクラスターを置くことで茂みを作りました。

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バラスト同様に草木を配置することで、一気にレイアウト感が増します!

これまで鉄道模型の楽しさと言えば車両を眺めたり走らせたりすることで、線路やストラクチャーはあくまでその舞台装置でしかなかったのですが、こうしてレイアウト作成に足を突っ込むとレイアウトそのものを作る楽しさが加わって、「なぜこれをいままでやってこなかったのだろう」という感じですね。しかも巨大。長い道のりはまだ始まったばかりです。

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(つづく)