ストラクチャー製作の続き、塗装・組み立て編です。
今回のストラクチャーにおける塗装のポイントは、以下の3点です。
- スレート積み表現
- レンガの色合い
- ドアなどの木部の色
本番の塗装の前に、テストピースを使って検討を進めました。
スレート積み表現
スレートは天然の石なので、どれひとつ同じ色にはなっておらず、積んだときに現れるモザイク状態をどう表現するかというところです。真面目にひとつひとつ塗り塗りしてもいいのですが、たぶん途中で飽きると思うので、ベース1色+アクセント1色の2色構成で考えることにしました。
ベース色は、XF-83ジャーマングレイで問題なし。アクセント色には、XF-80ロイヤルグレイを塗りましたが(写真左)、明るすぎたのでXF-53ニュートラルグレイに変更(写真右)。
またウェザリングとして、地面付近の苔蒸した感じを出すため、XF-25ライトシーグレイを薄く吹いてみましたが、これはいい感じ(写真左)。その上にMr.ウエザリングカラーのマルチブラックでウォッシングしてみましたが(写真右)、かえってうるさい感じになってしまうので、こちらは不採用としました。
レンガの色合い
レンガの色は難しい。
例えば明治村で撮ったレンガ建築物。レンガは工業製品ですが、同じ色合いで揃っている方が珍しく、スレートと同じくモザイク状態です。つまり、近寄って見ると個々のレンガの色というものは確かに存在するのですが、離れて見た場合には、それら異なる色のレンガの集合が作り出す色として認識されます。個々のレンガの組み合わせによって色が変わるため、これが正解の色というものはありません。
レイアウトにある既製のストラクチャーを見ても、色合いは少しずつ異なります。しかしどれもレンガとしては認識できます。
以前、東京駅の赤レンガを顔料に使った絵具が発売されて、話題になりました。これを使えばあるいは正解かもしれませんが、模型に使ったときにどう見えるかはまた別かもしれません。
東京駅の赤レンガを顔料に使ったアクリルガッシュで描いてみました。
— ターナー色彩【公式】🎨🖌🐄 (@TurnerColour_jp) 2020年8月8日
アクリルガッシュのバーントシェナーとジャパネスクカラーの棕櫚色も使っています。
こう見ると粒状感が全然違いますね。
本当に感慨深い絵具です。https://t.co/6izLa07Y1e pic.twitter.com/7grefW2lg3
今回メインで使っているタミヤアクリル塗料には、レンガ色そのものを表現した色はありません。つまり調色で目的の色を生み出す必要があり、試行錯誤が始まりました。
レンガというと赤茶色かな...ということで、まずはブラウン系を中心にXF-68 NATOブラウンをベースにしたもので試してみました(写真左)。確かにこの色で「レンガです」と言ってしまえなくもないのですが、圧倒的に赤色成分が足りない。もっと赤やオレンジっぽい色合いになるといいのですが、茶色が邪魔をしてなかなかいい色が出ません。
そこで、ブラウン系を混色のベースにすることを止め、もっと明るい色から始めることにしました。選んだのがXF-15フラットフレッシュ。フィギュアの肌を塗るためのいわゆる肌色なのですが、これにXF-3フラットイエローとH33あずき色(赤2号)を混色していくと、赤系、オレンジ系など、目的とするレンガの色に合わせることができます。最後にMr.ウェザリングカラーのマルチホワイトでウォッシングすると、きれいに目地の白が入って、なんとかレンガ塗装の手法が見出せました。
ドアなどの木部の色
木部の色に関しては、今回のレイアウトのテーマカラーであるFfestiniog Railway Prince & Princessのダークレッドを取り入れることにしました。
まず普通にXF-7フラットレッドで試してみます(写真左)。色は良いのですが、当然ながらちょっと明るすぎな印象です。次にクレオス水性ホビーカラーのH33あずき色(赤2号)を試してみました。光沢ありということも手伝って、イメージに近い色。Mr.ウェザリングカラー マルチブラックでウォッシングすると継ぎ目もいい感じに浮き出ます(写真右)。ちなみに黄色の点線から右側がXF-7フラットレッドのままウォッシングしたもので、テーマカラーをはっきり出すにはH33あずき色(赤2号)の方が良さそうです。
以上でテストピースでの検討が終わり、いよいよ本番です。
スレート作業場
まずは壁面のスレート積みから。ベース色を吹いてから、筆でランダムにアクセント色を入れていきます。
煙突もベース色を吹いたあとに、筆で色違いをランダムに。
Mr.ウェザリングカラー マルチホワイトでウォッシングのあとに、煤をエアブラシで入れました(XF-84ダークアイアン)。
組み立て後の全景。屋根はXF-53ニュートラルグレイを吹いたあとに、Mr.ウェザリングカラー マルチブラックでウォッシングしています。
石炭庫
基本的にはスレート作業場と同じです。スライドドアの金具部分は、XF-84ダークアイアンを使っています。
給水塔
タンク部分の白は、ガイアカラーのウォームホワイトを使用。給水パイプ、および壁面はMr.ウェザリングカラー ラストオレンジで少しウォッシングしています。
跨線橋
欄干の赤色ですが、最初はH20あずき色(赤2号)を吹いたのですが、重たい感じになってしまったので、敢えて明るいXF-7フラットレッドを採用しました。ブリッジの床はXF-57ハブ、階段および踊り場はXF-84ダークアイアンです。
信号所
今回一番苦労したやつ。壁面の白は、ガイアカラーのウォームホワイトを使用。
床面、部屋の壁はXF-57ハブを吹いてあります。屋根は固定せず、必要があれば内装を入れられるようにしてあります。
おまけ・トンネルポータル
レンガ塗装が気に入ったので、使用予定のトンネルポータル(トミーテック ジオコレ ジオラマ素材027 トンネルポータルB)をレンガ色に塗りました。もともとの製品(Nスケール)は切り石積みとしてモールディングが入っているのですが、OOスケールだとレンガとしてしまっても違和感ない感じになりました。
5月にストラクチャー制作に手をつけ始めて3ヶ月かかりましたが、ようやくレイアウトのほうに戻れそうです。