OO9レイアウト製作記・第3回「ストラクチャーの製作(その1)」

前回から2ヶ月ほど経ってしまいましたが、OO9レイアウト製作記の3回目です。ここからしばらくは、レイアウト上に置くストラクチャーの製作の話が続きます。

レイアウト全体のテーマ

さて「とりあえず走らせたい」で作り始めたレイアウト。線路を敷くための設計図は作ったものの、情景はほとんど何も考えてませんでした。

要素は単線周回と待避線、引き込み線が2本という構成。待避線や引き込み線があるあたりを駅にしたり、機関庫にしたりという感じにはできそうです。ただ駅や機関庫は既にメインレイアウトでも作っているので、せっかくのOO-9なのでもう少し違う要素を取り入れたいところ。YouTubeをぐるぐるしていると、Hornby MagazineのMikeとRichardが作ったOO-9レイアウトが、とてもいい感じでした。

手元にはスレートワゴンもあるので、Walesのスレート運搬の情景をベースに製作を進めてみることにしました。

テーマが決まったところで、全体設計を... といきたいところですが。既に線路は敷いてしまっているので、これに合わせる形で情景を作り込んでいくことになります。まだまだレイアウト製作経験が足りず、思い通りに設計図を引くことができない(設計図から仕上がりを想像できない)ので、先に情景作りのベースとして欠かせないストラクチャーを製作し、それを実際にレイアウト上に置いて見ながら全体の設計を考えていく、というメインレイアウトでやった方法と同じ手法を取ることにしました。

クラッチビルドに挑戦

OOレイアウトのLlancot Railwayに置いているストラクチャーは、HornbyやBachmannのレジン製完成品か、Metcalfeのカードキットを使っています。いくつかはプラキットのものも使っていますが、塗装を含めて手間もかかりますし、いずれの場合もレイアウトに合うちょうどいいものを見つけるのも一苦労です。

(写真左)使用ストラクチャーの一部 (写真右)Metcalfeのカードキット
製作したプラキット例

今回はレイアウトサイズが小さく、町の情景を作り込んだりすることもないので、必要なストラクチャーの数は限られます。そこで、以前から試してみたかったスクラッチビルドに挑戦してみることにしました。

とは言うものの、英国型レイアウトに合った建物を再現できるほど、知識があるわけではありません。そこは素直に先人の知恵をお借りするということで、上記動画でも使っていたBachmannのOO-9向けストラクチャーを下敷きに製作してみます。

参考にしたBachmann Branch-lineの2021カタログ

クラッチビルドのための素材には、PECOがWill Kitsブランドで出しているプラスチックシートを使います。1パックに76mm x 132mmの長方形のシートが4枚入っており、スレート積みや煉瓦積み、あるいは材木や金属といった材質に合わせたモールディングが施されています。このシートをカットし組み合わせて、壁や屋根を作り、建物にしていくというものです。

窓枠や建物周りの装飾(煙突や樋など)についても、同じくWill Kitsが出しているパーツを利用します(SS46 Building Details Pack A, SS86 Windows, Doors, Gates & Porch)。

スレート作業場

まずはメインとなるスレート作業場です。設計図代わりに、プラスチックシートと同じ大きさにカットしたボール紙で組んでみます。これで必要な部品の数、形、サイズを決めるとともに、組んだときの全体の大きさの感じをつかみます。

問題なければ、このボール紙を型紙としてSSMP232 Slate Wallingのシートに切断箇所を写しとって、デザインナイフで切断します。

シート同士を接合させる箇所は、接合角度に合わせてヤスリで整えます。

屋根は、カットした2枚のシートを、傾斜に合わせてRoof Ridgeで接合します。また屋根には1箇所、小さな煙突を作って載せます。

母屋に続いて納戸、煙突と進みます。納屋の扉はSSMP201 Wood Plankingのシートを使いました。

煙突は下部をスレート積み、上部を煉瓦積みとして、上部煉瓦積みはSSMP212 Brickwork Plain Bondのシートを使い、若干テーパー(上に向かってすぼまっていく)を付けてみました。また最上部にはレンガによる飾り縁を施してあります。

最後に、建物の外にあるスレート積み出し口の塀を作って、塗装前の工程完了です。

石炭庫

もうひとつ、石炭庫を作ってみました。こちらも同じようにボール紙で作成したのちに、SSMP232 Slate Wallingのシートをカットして組み上げます。

扉はスライド式の大きな扉とするため、Scale Model ScenaryのカードキットLX341-OO Small Sliding Industrial Doorsを貼り付けることにしました。

給水塔

給水塔については、給水タンク部分のデザインがスクラッチでは難しいため、Will Kits SS34 Water Towerをベースに、キット付属の石積みの建物ではなくスレート積みとすべく、SSMP232 Slate Wallingのシートで作り替えました。


また給水塔の高さも、OO-9の機関車のサイズに合わせて、キットの設計サイズよりも少し低めになるようにしました。

跨線橋

跨線橋は一番悩んだところですが、結果的に3つの部品の組み合わせで表現することにしました。

まずScale Model ScenaryのカードキットLX026-OO Small Foot BridgeとLX245-OO Steel Staircases / Fire Escapesで階段と橋の部分を作り、それらを支える柱を、SSMP232 Slate WallingとSSMP222 Chequer Plateのシートで作りました。

信号所

こちらはスクラッチビルドではなく、純粋にキット組み。PECO LK-201 Highland Railway Signal Boxです。こちらカードキットではなく、レーザーカットした素材が薄い木材となっており(Wooden Kit)、壁面がカードキットよりも深いモールディングによって表現されています。この風合いを損わずに塗装できるといいのですが。

レイアウトに置いてみる

というわけで、出来上がったものをバラバラとレイアウト場に置いてみました(場所はまだ最終ではない)。

ちょっとまばらな印象も受けますが、ここから地形を整えて樹木なども植えていくことを考えると、当初の目的である「実際にレイアウト上に置いて見ながら全体の設計を考えていく」には必要十分な数は揃ったかなと思います。

次は塗装、そのあと最終組み立てへと進みます。

(つづく)