ベッキーさんシリーズ妄想

2冊を通して読んでいろいろと思いを巡らせる。

特に英子の父、花村氏。ベッキーさんの身元からするに、これを娘のシャプロン兼運転手として引き合わせたところを見るとなかなかの人物といえよう。別宮先生とは友人のような台詞があり、英子がベッキーさんに英語を教えた話で笑ったところから、英国滞在中に何らかの関係があったのかも。形上は雇い入れたことになっているがが、実際は匿ったというのが本当のところだろう。別宮先生から自分に何かあったときにはというような話が交わされていてもおかしくない。また息子(英子の兄)に対して、本来であればとっくに会社の仕事をやらせていてもおかしくないのに、大学院へ行かせているのは当然わけありだろう。

こう考えると3冊目がすんなりとこれまでと似たような展開になるとは思えない。特にベッキーさんの身元が英子にも割れてしまったので、これまでどおりの穏やかな関係は望むべくもないか。さらに舞台となっている時代が時代だけにどうしても暗い想像になってしまう。

ただ北村薫の作品は、そういう暗さを背負っていても根底には絶対的な生への肯定がある。「幻の橋」で「死なないでください。」と言った英子。「秋の花」で「救うことはできる。そして、救わなければならない、と思います。」と語る円紫さん。待ち遠しいです。