Little Paddington Railway第1期工事(その3)

Tracks

Layout Planにてちらっと書きましたが、線路についてはKATOのHOユニトラックを使用しています。国内で入手可能なのは、あとはシノハラかエンドウぐらい。価格と在庫状況ではKATOのHOユニトラック一択です。DCCコントローラーもKATOを使う予定だったので、そこはあまり迷わずに決めました。

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ただ耐久性やバリエーションという意味ではPECO (https://www.peco-uk.com/)も魅力的です。特にHOユニトラックで出ていないカーブポイント、Yポイント、三分岐やDSSといった特殊分岐器を備えています。小さいレイアウトではポイントを入れられる場所が限られるので、それらが使える使えないはレイアウトのバリエーションに大きく影響します。PECOも通販の個人輸入で買えるので入手性という意味ではそこまで悪くないですが、足りなかったときに今日注文して明日届くという感じにはならないので、先々のお楽しみということで今回は見送りました。ただどんなものかは一度見てみたくて、試しにディスプレイ用としてPECOのストレート線路を買ってみました。

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PECOのSetrackはCODE 100です。KATOのHOユニトラック(こちらはCODE 83)と比べると、ジョイナーもしっかりしていて線路の車輪との接地面も幅広で安定感がありますね。スケールとしてはHOユニトラックが正しいのだと思いますが、次やり直すことがあればPECOも検討してみたいと思います。

(つづく)

Little Paddington Railway第1期工事(その2)

Baseboard

さて2400x1200のテーブルのようなものをどう作るか。このサイズはテーブルとしてはかなり大きな部類で、ダイニングテーブルでもなかなかこのサイズのものはお目にかかりません。ただ重量物を載せるわけではないので、架台に天板を載せるだけのシンプルな作りで十分です。

天板については部屋に置いたときの見た目も考慮して集成材を使うことにしました。幅が1200mmというサイズものはなかったので、幅方向に2分割して600x2400のものを2枚並べます。硬質で安いゴムの集成材で厚さは25mmのものをマルトクショップさん(https://shop.woodworks-marutoku.com/)で注文しました。

f:id:giovanni_ihatov:20180414095447j:plain塗装はワトコワックス(ダークウォルナット)を使って自前で。(左側が未塗装、右側が塗装中)刷毛で塗ってウェスで拭き取るだけなので、手間はかかりますが簡単で仕上がりも綺麗です。

f:id:giovanni_ihatov:20180414130811j:plain脚はIKEAのODDVALD (https://www.ikea.com/jp/ja/catalog/products/70361201/)を4つ用意。これを並べて天板を載せて完成です。

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唯一誤算だったのはこの天板がかなり重いこと。1枚23kgあります... 2階の部屋まで運ぶのは大変でしたが、ちょっとのことでは天板がズレないのでベースボードとしては上出来かと思います。

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(つづく)

Little Paddington Railway第1期工事(その1)

模型鉄道Little Paddington Railway第1期工事がひとまず完了したので、備忘録としてこれまでのあらすじを何回かに分けて書いていきます。

Layout Plan

鉄道模型を家の中のどこで走らせるか。

鉄道模型を始めるにあたって誰しも最初に考えることです。お座敷運転で遊ぶときだけ引っ張り出すならともかく、今回は固定レイアウトまではいかなくても敷きっぱなしにはしたかったので、場所を決めてやる必要がありました。使っていない部屋を鉄道模型部屋にしたり、屋根裏や床下(YouTubeで海外の例を見た)、はたまた押入れまで、ちょっとぐぐるといろんな例が見られれます。うちの場合は空いている部屋も押入れもないので、普段使っている部屋の一部を借りる形にしました。大掛かりな工事をするのもタイヘンですし、見てくれもそれなりには気を使いたいところ。まずは部屋の中にシンプルに長方形のテーブルのようなものを置いてその上にレイアウトを納める、というところから考え始めることにしました。

サイズの選定に関しては、もちろん置き場所による制限が支配的ですが、同時にある程度自由度があるレイアウトを組める大きさにしておく必要もあります。もう10cm大きければこんなレイアウトを組めるのに... みたいな状況はできれば避けたい。そこで事前にレイアウト検討をすることにしました。

レイアウト検討に際しては、Macでほぼ唯一のレイアウトソフトであるRailModeller Pro/Express (http://www.railmodeller.com/)のお世話になりました。線路のライブラリも豊富で、今回使用予定のKATOのHOユニトラックも入っています。無償版のExpressはTrack Elementが50個という制限の範囲においてはほぼ有償版Proと機能差はなく、小さいレイアウトであれば十分使えます(最終的には有償版にアップグレードすることにはなりましたが)。線路の在庫管理やショッピングリスト(単価を入れると費用の計算もできる)も出してくれるので、どれぐらい費用がかかるかもわかる優れものです。

レイアウトとしては

  • エンドレス走行できる
  • 待避線を用いた行き違いができる
  • 最小曲線半径は2nd Radius(438mm)まで

の3点を要件としました。3つ目については2nd Radius(438mm)以上であれば、たいていのOO Scaleの車両は走行可能だからです。現実にはありえない急カーブなのですが、コンパクトなレイアウトでもきちんと走れるように設計されているのはありがたいことです。KATOのHOユニトラックだとR370のカーブを使わなければOKということになります。

まずは一畳(1800x900)の大きさから初めてあれこれ試行錯誤したのち、以下のようなパターンにたどり着きました。

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これでサイズは2000x1200です。部屋の空きスペースを考えてもこのぐらいが限界かな...と一旦決めかけたのですが、試しにこのレイアウトの形で床に線路を引いて待避線に列車(機関車+客車3両)を収めてみると、、、有効長が全然足りない。OO Scaleの一両あたりの長さの見積もりを間違えていたんですね。図面をいじっているときは250mm見当で考えていたのですが、実際には300mm+は必要でした。となると、1. 列車を短くする、2. 待避線の有効長を長くする、のどちらかしかありません。またもうひとつ気になる部分としては、エンドレス走行する際の直線部分も思っていたより短く、見栄えがイマイチということ。これも図面を見ていたときには気づかなかったところです。

そこで一旦サイズのことは忘れて、「これなら納得できるレイアウト」というのを実際に床に線路を引いてみて、そこからベースとするサイズを算出することにしました。結論としては2400x1200、つまり当初の想定よりも長辺方向に400mm伸ばせば、先ほどの問題についてそこそこ納得の行く解決が見出せそうとわかりました。もちろん大きいことに越したことはないのですが...その中でも最小を取る、というところです。

サイズを2400x1200とした上で図面にもどって再度検討を進めました。ちなみにこのサイズはほぼ8”(feet)x4”(feet)となり、OO Scaleのレイアウトとしても豊富にプランがあります。(Free Track Plans for your Model Railwayなど)

以下が最終のレイアウトプランです。

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当初は真ん中にリバースを入れる想定はなかったのですが、線路をひいていったらつながったという感じです。出入口が2箇所あることで機関車ヤードの使い勝手がよくなったのと、機関車の向きを変えることもできるので、最初に組むレイアウトとしては納得の行く形になりました。

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(つづく)

新海誠展にて。

先週の日曜日、国立新美術館で開催されている新海誠展に行ってきました。

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昨年末、小海町高原美術館で行われた「『君の名は。』展」の現地の空気感が新海作品のそのものように気持ちよく、また是非とも小海町で見たいと思っていたのですが、スケジュール的に行くことが叶わず、東京・六本木の国立新美術館での鑑賞となりました。とはいえ自然だけでなく都会の描写も新海作品のもう一つの魅力であり、また同美術館は「君の名は。」の舞台にもなっていることもあり、そこで見ることはまた違った楽しさがありました。

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当日は日曜日ということもあって、朝から大勢のひとで混雑していました。10時少し前に着いてチケットを買う列に20分ほど並んだあとようやく入場。会場内もかなりのひとでしたが、見るのに困るというほとでもなかったです。どちらかというと、隣で開催されていた安藤忠雄展目当てのひとの方が多かったみたいですね。

基本的に作品が時代順に展示されていましたが、順路を行きつ戻りつの鑑賞で、結局出口にたどり着いたのはお昼過の1時過ぎ。3時間弱かかりました。

昨年大ブレイクした「君の名は。」はそれ以前の作品で培われた様々な表現の集大成であることはよく言われることですが、今回の展示は「君の名は。」を出すためには「言の葉の庭」がなければならず、また「言の葉の庭」が出てくるには「星を追う子ども」が必要だったのだという試行錯誤の過程を強く意識させるものでした。

同じようなテーマの作品を反復的に作ることにより顧客のユーザー体験を向上させる手法は、ソフトウェアやネットワークサービスといった現代のプロダクトの開発に似ています。新海作品は、その圧倒的な映像美や音楽との調和という表面的な特徴だけでなく、むしろその制作プロセスが大きな特徴なのだと言えるかもしれません。

今回の展示で一番僕がよかったと思ったのは「言の葉の庭」の展示に掲出されていた2編の趣意書です。「『言の葉の庭』 - マーケティングについて」「『言の葉の庭』 - この作品について思うこと」と題された企画書(新海誠展図録 p.103)には、この作品の内容とねらい、誰にどう届けるべきかが明確に言語化されているのです。ある意味、作品制作の舞台裏・ネタバレであり、他の作品と何が違ってどうやって売っていくのかみたいなことがストレートに書かれています。これには2つの大きな前進が見られます。ひとつは作品の相対化。細田作品、宮崎作品、京アニ作品を例に挙げ、何が違いどこを目指すのかをはっきり示してあること、もうひとつは言語化を通じて作品に携わる多くのひとに正しく自身の意図を伝えようとしていることです。

ここに至る詳細について語る資料を持ち合わせていませんが、「言の葉の庭」前作の「星を追う子ども」の解説に書かれた「観客の反応から『今、観客は何を観たいのか、それと自分をどのようにリンクさせるのかを真剣に考えるきっかけとなった』」(新海誠展図録 p.71)という部分を受けて、この企画書2編が展示されていると推察するのが適当と思います。

僕個人の体験としてこの変化点で、「星を追う子ども」を観たときに「ああ新海さんもここで終わりかな」と思ったこと、そのあとの「言の葉の庭」で「こんなものが作れるなんて」という驚きがあったこと、それぞれがありました。そして、それはまったく偶然ではなく、作品の制作に関する前進があったからだと確認できたことが新しい発見でした。

制作環境の進化やツールの充実による表現技術の向上と、新海さん自身の作品(プロダクト)に対する向き合い方の前進による反復制作の行方がどうなるか、これからも見るのがとても楽しみです。

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アガルタから新宿まで

 2016年8月26日。立川シネマシティ。「君の名は。」公開初日。たまたま休暇を取って久しぶりの新海誠の新作を見た。東宝のオープニングロゴとともに始まる上映。「あのトリウッドの『ほしのこえ』からここまできたんだよなぁ」というのが、この作品に対する最初の感想だった。

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新海氏を知ったのは「ほしのこえ」公開のときだったと思う。当時Web日記界隈で「商業クオリティの自主制作アニメがある」と話題になっていたので、一度観に行かねばと思い下北沢のトリウッドまで足を運んだ。当時の自分の感想を見ると、チラシに書かれた新海氏のコメントを引用してあった。「『広い世界の中で僕は一人きりのような気がする。 でも、僕はここにいるんだ』というあの頃の強い想い。 『ほしのこえ』には、あの頃の願いを思い切り詰め込みました。」なるほど。その後の新海氏の作品も、良くも悪くもこのスタイルを外していない。

ほしのこえ」はお互いに恋心を抱く高校生ノボルとミカコの話だ。ある日、ミカコが国連宇宙軍の調査隊に選抜され深宇宙に向かうことになり、離ればなれになってしまう。E-mailを通じてコミュニケーションはできるものの、距離とウラシマ効果により違う時間を生きることになるふたり。「君の名は。」の原型は既に「ほしのこえ」に存在している。

映画の後半、ミカコはシリウス星系第四惑星アガルタに到着する。雲が流れ、雨が降り、地球に似たその風景を見ながら、ミカコはこう呟くのだ。「あぁ、雨に濡れたいな。コンビニ寄ってアイス食べたい...」ノボルと過ごしたたわいもない日常。でも地球から遠く離れた星では、決して叶うはずのない日常。

君の名は。」では三葉が瀧に会いたいとひとり東京にやってくるくだりがある。駅を行き交うひと、混み合う電車。約束もせずにひとを探すにはあまりに広すぎる東京の街。

見つかるはずのない、でも会いたいという想い。いないはずのひとのことを強く想う気持ち。それでもミカコはノボルにメールを打ち、三葉は自分に出会う前の瀧に声をかける。

「24歳になったノボルくん、こんにちは! 私は15歳のミカコだよ。」

「瀧くん... 名前は、三葉!」

新海作品に通奏低音のように流れる、一歩間違えば青臭い自己満足としか捉えられない感情。「君の名は。」のヒットを考えると、それを切実に希求する多くの人がいるという事実に驚く。その要因をアレコレ考えることはできるけれど、長年のファンとしてはただエンタテイメント作品として一定の地位を占められたことに、ささやかな満足を覚えるのだ。

「初音ミク」の空気に包まれた3日間


舞台を幕張メッセに移して行われた今年のマジカルミライ2016。気がつけば連日足しげく幕張に通いつめ、「初音ミク」の空気を存分に堪能した3日間になりました。
これまではライブのオマケぐらいにしか考えてなかった企画展ですが、今年はTシャツ作りにうちわぬりえ、特設ステージでのDJライブにクレープ屋のDJライブ(!)、e-SportsばりのProject Diva大会観戦と、気が付けばがっつり楽しんでいる自分がいました。DJライブの時間とかぶっていてクリエイターズマーケットに足を運べなかったの残念。行けなかったトークセッションもEXPOの裏話ネタが出たとかで、時間が足りない!
初日は平日の金曜日ということもあって来場者も比較的少なめだったので、出展者のひとやスタッフのひととちょっとしたおしゃべりができたのもよかったです。土日はさすがにどっと人が増えましたが、昨年の科学技術館のよう大混雑にはならず、屋外の痛車展示もあったりして、幕張メッセを会場に選んだのは大成功だったと思います。

その一方、やはり若干不安視されていたのがメインイベントであるライブ。昨年が日本武道館という大殿堂でのライブだっただけに、展示会場を仕切るだけの今回はライブ会場としては明らかに格落ち。しかも2014年に同じような展示会場であるインテックス大阪で行われたライブの評判がよろしくなかったとなれば、不安になるなという方が無茶なわけで。でも蓋を開けてみると。すろぉもぉしょんでボロ泣き、どりーみんチュチュ、スイートマジックにやられ、Meikoさんのブルークリスタルに見蕩れ、Rayに驚愕し、Hand in Handの締めで大満足。テーマ曲である39みゅーじっく!が軽い準備運動に思えるぐらい新曲、新モジュールの目白押しで、完全新作といっても申し分ない内容でした。
座席も土曜夜B6、日曜夜A7(最前2列目!)だったので、円盤以上に「そこにいる」ミクさんたちにテンション上がりまくりでした。マジカルミライ2013以来封印されていたミクさんとバンメンの皆さんとの絡みも間近で見られて、ライブ!感たっぷりでした(特にMEG.MEさんのショルキー!)。土曜の夜には某巨大掲示板スレの皆さんとのオフ会にも参加できて、本当に幸せな3日間でした。
これだけでもお腹いっぱいなのに、実はこれに加えてライブとイベント後にちょっとしたサプライズがあったのですが、それはまだいまは内緒で。来年はミクさん10周年、マジカルミライ5周年。また幕張メッセで3日間ガッツリ楽しみたいと思います!

ミクさんの居る日常


記念すべきマジカルミライ2015日本武道館公演から7か月。HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tourの東京公演に参加してきました(1日目夜&2日目夜)。前回の日本武道館は音楽シーンの頂点ともいうべき晴れの舞台で、参加する自分にとって特別な期待感と緊張感があったのですが、今回原点ともいうべきZepp東京でのオールスタンディングに戻ってきてくれたことで、アーティスト初音ミクの存在を身近なものとして感じることができた、そんなライブだったように思います。

Twitterにも書いたのですが、ミクさんのライブの場合、ミクさんの歌声を聞きに行くというよりはあの場をみんなで作りに行く、といったほうがより正確にその心情を表している気がします。ちょっと昔のコミケに行く感覚と似ていて、一期一会なんだけど旧友と集うような、あの空気感がとても好きです。

最初にミクさんのライブのDVDを見たときは「死ぬまでに一度でいいからライブを観てみたい」とか思っていたのですが、こうして半年に一度参加できる機会に恵まれるとは。願わくはこの雰囲気が10年, 20年と続いて、離れてしまったひともふと帰ってこられるような、そんな場所であり続けて欲しいです。