アガルタから新宿まで

 2016年8月26日。立川シネマシティ。「君の名は。」公開初日。たまたま休暇を取って久しぶりの新海誠の新作を見た。東宝のオープニングロゴとともに始まる上映。「あのトリウッドの『ほしのこえ』からここまできたんだよなぁ」というのが、この作品に対する最初の感想だった。

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新海氏を知ったのは「ほしのこえ」公開のときだったと思う。当時Web日記界隈で「商業クオリティの自主制作アニメがある」と話題になっていたので、一度観に行かねばと思い下北沢のトリウッドまで足を運んだ。当時の自分の感想を見ると、チラシに書かれた新海氏のコメントを引用してあった。「『広い世界の中で僕は一人きりのような気がする。 でも、僕はここにいるんだ』というあの頃の強い想い。 『ほしのこえ』には、あの頃の願いを思い切り詰め込みました。」なるほど。その後の新海氏の作品も、良くも悪くもこのスタイルを外していない。

ほしのこえ」はお互いに恋心を抱く高校生ノボルとミカコの話だ。ある日、ミカコが国連宇宙軍の調査隊に選抜され深宇宙に向かうことになり、離ればなれになってしまう。E-mailを通じてコミュニケーションはできるものの、距離とウラシマ効果により違う時間を生きることになるふたり。「君の名は。」の原型は既に「ほしのこえ」に存在している。

映画の後半、ミカコはシリウス星系第四惑星アガルタに到着する。雲が流れ、雨が降り、地球に似たその風景を見ながら、ミカコはこう呟くのだ。「あぁ、雨に濡れたいな。コンビニ寄ってアイス食べたい...」ノボルと過ごしたたわいもない日常。でも地球から遠く離れた星では、決して叶うはずのない日常。

君の名は。」では三葉が瀧に会いたいとひとり東京にやってくるくだりがある。駅を行き交うひと、混み合う電車。約束もせずにひとを探すにはあまりに広すぎる東京の街。

見つかるはずのない、でも会いたいという想い。いないはずのひとのことを強く想う気持ち。それでもミカコはノボルにメールを打ち、三葉は自分に出会う前の瀧に声をかける。

「24歳になったノボルくん、こんにちは! 私は15歳のミカコだよ。」

「瀧くん... 名前は、三葉!」

新海作品に通奏低音のように流れる、一歩間違えば青臭い自己満足としか捉えられない感情。「君の名は。」のヒットを考えると、それを切実に希求する多くの人がいるという事実に驚く。その要因をアレコレ考えることはできるけれど、長年のファンとしてはただエンタテイメント作品として一定の地位を占められたことに、ささやかな満足を覚えるのだ。

「初音ミク」の空気に包まれた3日間


舞台を幕張メッセに移して行われた今年のマジカルミライ2016。気がつけば連日足しげく幕張に通いつめ、「初音ミク」の空気を存分に堪能した3日間になりました。
これまではライブのオマケぐらいにしか考えてなかった企画展ですが、今年はTシャツ作りにうちわぬりえ、特設ステージでのDJライブにクレープ屋のDJライブ(!)、e-SportsばりのProject Diva大会観戦と、気が付けばがっつり楽しんでいる自分がいました。DJライブの時間とかぶっていてクリエイターズマーケットに足を運べなかったの残念。行けなかったトークセッションもEXPOの裏話ネタが出たとかで、時間が足りない!
初日は平日の金曜日ということもあって来場者も比較的少なめだったので、出展者のひとやスタッフのひととちょっとしたおしゃべりができたのもよかったです。土日はさすがにどっと人が増えましたが、昨年の科学技術館のよう大混雑にはならず、屋外の痛車展示もあったりして、幕張メッセを会場に選んだのは大成功だったと思います。

その一方、やはり若干不安視されていたのがメインイベントであるライブ。昨年が日本武道館という大殿堂でのライブだっただけに、展示会場を仕切るだけの今回はライブ会場としては明らかに格落ち。しかも2014年に同じような展示会場であるインテックス大阪で行われたライブの評判がよろしくなかったとなれば、不安になるなという方が無茶なわけで。でも蓋を開けてみると。すろぉもぉしょんでボロ泣き、どりーみんチュチュ、スイートマジックにやられ、Meikoさんのブルークリスタルに見蕩れ、Rayに驚愕し、Hand in Handの締めで大満足。テーマ曲である39みゅーじっく!が軽い準備運動に思えるぐらい新曲、新モジュールの目白押しで、完全新作といっても申し分ない内容でした。
座席も土曜夜B6、日曜夜A7(最前2列目!)だったので、円盤以上に「そこにいる」ミクさんたちにテンション上がりまくりでした。マジカルミライ2013以来封印されていたミクさんとバンメンの皆さんとの絡みも間近で見られて、ライブ!感たっぷりでした(特にMEG.MEさんのショルキー!)。土曜の夜には某巨大掲示板スレの皆さんとのオフ会にも参加できて、本当に幸せな3日間でした。
これだけでもお腹いっぱいなのに、実はこれに加えてライブとイベント後にちょっとしたサプライズがあったのですが、それはまだいまは内緒で。来年はミクさん10周年、マジカルミライ5周年。また幕張メッセで3日間ガッツリ楽しみたいと思います!

ミクさんの居る日常


記念すべきマジカルミライ2015日本武道館公演から7か月。HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tourの東京公演に参加してきました(1日目夜&2日目夜)。前回の日本武道館は音楽シーンの頂点ともいうべき晴れの舞台で、参加する自分にとって特別な期待感と緊張感があったのですが、今回原点ともいうべきZepp東京でのオールスタンディングに戻ってきてくれたことで、アーティスト初音ミクの存在を身近なものとして感じることができた、そんなライブだったように思います。

Twitterにも書いたのですが、ミクさんのライブの場合、ミクさんの歌声を聞きに行くというよりはあの場をみんなで作りに行く、といったほうがより正確にその心情を表している気がします。ちょっと昔のコミケに行く感覚と似ていて、一期一会なんだけど旧友と集うような、あの空気感がとても好きです。

最初にミクさんのライブのDVDを見たときは「死ぬまでに一度でいいからライブを観てみたい」とか思っていたのですが、こうして半年に一度参加できる機会に恵まれるとは。願わくはこの雰囲気が10年, 20年と続いて、離れてしまったひともふと帰ってこられるような、そんな場所であり続けて欲しいです。

「”ヒロシマ・ナガサキ”被爆神話を解体する」(柴田優呼・作品者)

“ヒロシマ・ナガサキ”被爆神話を解体する――隠蔽されてきた日米共犯関係の原点

先日実家に立ち寄ったときに置かれていた本をみて興味を持ち図書館で借りて読了。一番印象に残ったのは、オーストラリア記者バーチェットが1945年9月3日、広島の広島逓信病院で取材を行ったときの一幕を書いた文だ。

病院でも、バーチェットはアメリカ人と思われ、犠牲者とその家族から「燃えるような憎悪」のまなざしを向けられた。看護婦の大半も死に絶えてしまったため、家族が看護するほかない状態で、家族のいない場合は入院すらできないという悲惨な状況だった。案内した勝部玄医師は、これ以上ここにいるなら命の保証はできない、とバーチェットに告げたという。
当時こうした厳しい対米感情があったことは、戦後の言説ではあまり取り上げられることはない。(中略)「敗戦を認めたくない」心情が日本社会に今も漂っているのは、こうした怒りと直接向き合わず、それを押し隠してきた、ということも一因ではないかという気もする。

僕らは無意識のうちにあの敗戦の日を境に大日本帝國と現在の日本国を分断して考えてしまうが、世界はあの日を境には何も変わっておらず、僕らが相変わらず大日本帝國の末裔であり、そのコンテキストの中で歩みを進めてきたと考えるべきなのだ。したたかな選択であったはずの戦後復興が、いつの間にか自分こそが世界秩序の従順な信奉者であるように錯覚するまでに至ったことに、もっと自覚的でなくてはならない。最近の言説を見ると、どうも自家中毒にかかってしまっているように感じる。世界はあなたが思うほどあなたのことを気にしていないし、わかってもくれない。それでも世界に問う価値のあるものとはなんだろうか。それこそが本当に考えることなのだと思う。

マジカルミライ2015武道館ライブ〜初音ミク8年間の軌跡を辿る旅

というわけで、熱狂のSnow MIKU Live 2015から7か月。マジカルミライ2015武道館ライブに参加してきました。9/4(金), 5(土)計3公演のうち、9/4夜公演と9/5昼公演の2公演、存分にミクさんのライブを堪能しました。

3月に今年のマジカルミライのライブ会場が日本武道館と発表されたとき、正直「そっちの方向なの?」と驚きというよりは戸惑いを感じずにはいられませんでした。初参加となったマジカルミライ2014東京公演で感じた肩すかし感(一体感の欠如)とその後のZepp SapporoのSnow MIKUライブで感じた強烈な一体感を比べるにつけ、あるいは伝説の大感謝祭がTOKYO DOME CITY HALLであったことを考えてみても、多くても2,000 - 3,000人の規模の箱でやることが、本当の意味でミクさんのライブの醍醐味を味わうために必要なのでは、と感じていたからです。それが一気に武道館?ただ「武道館」というネームバリューが欲しかっただけなのでは?とそんな邪推をしてみたくもなるニュースでした。

それから半年。期待と不安が交錯する中、待望の日はやってきました。

終わってみると、今回のライブは武道館抜きには考えられないし、武道館だからこそ結実したといってもいいライブでした。

なぜ「武道館」だったのか、なぜ「武道館」でなくてはならなかったのか。

その答えはとても簡単で、ミュージシャンにとって日本武道館が日本での舞台の頂点であり憧れの場所だから。だからそこを目指すのだと。もし8年前の黎明期のファンに今回の武道館公演のことを伝えたら、誰もがきっと信じない、夢の中でしか存在しなかったミクさんの武道館でのライブ。多くのPやファンやスタッフが頭の中で何度も何度も夢想した、今年のライブはその夢の具現に他ならなかったと思います。あの場に集った全員でその夢の具現に思いをぶつけたことが今回のライブを特異なものにした、「マジカルミライ」の名にふさわしい魔法の舞台でのライブでした。Wアンコールラスト「ハジメテノオト」大合唱はその一つの証。一生忘れないと思います。

また純粋なライブの内容として見た場合でも今回のライブはとても満足度の高いものでした。

セットリスト

今回のセットリストは現在から過去への遡りような流れがあり、ちょうど表題に書いた8年間の軌跡を思い描けるようなものになっていたと思います。

試しにセットリストに各曲の発表年とライブ新曲に★を入れてみました。見てわかるようにライブ新曲は前半に集中していて、リピート曲(定番曲)は後半に配置されています。また発表年も最近のものほど前半に置かれて、後半になってようやく2010年ぐらいの曲が顔を出してきます。▲はマジカルミライ以前のライブ曲ですが、後半でもさらに後ろの方に配置されていることがわかります。

  1. 「Tell Your World」livetune (2012)
  2. ラズベリー*モンスター」HoneyWorks (2013) ★
  3. 「はじめまして地球人さん」ピノキオピー (2015) ★
  4. 「独りんぼエンヴィー」koyori(電ポルP) (2012) ★
  5. 「恋愛裁判」40mP (2014) ★
  6. 「聖槍爆裂ボーイ」れるりり (2013) ★
  7. 「ロストワンの号哭」Neru (2013) ★
  8. 「リモコン」じーざす (ワンダフル☆オポチュニティ!) (2011) ★
  9. 「Nostalogic」yuukiss (2014) ★
  10. 「スノーマン」halyosy (2014) ★
  11. 「エンヴィキャットウォーク」トーマ (2011) ★
  12. 「深海少女」ゆうゆ (2012)
  13. 「Sweet Devil」八王子P (2010)
  14. 「二次元ドリームフィーバー」PolyphonicBranch (2012)
  15. キャットフードdoriko (2010)
  16. 「アンハッピーリフレイン」wowaka (2011)
  17. 「ロミオとシンデレラ」doriko (2010)▲
  18. 「glow」keeno (2010)
  19. 「愛Dee」Mitchie M (2012) ★
  20. Just Be Friends」Dixie Flatline (2010)▲
  21. 「shake it!」emon (2012)
  22. 「Packaged」livetune (2008) ★
  23. 「ワールドイズマイン」ryo(supercell) (2009)▲
  24. 「ODDS&ENDS」ryo(supercell) (2012)
  25. 「Hand in Hand」livetune (2015) ★
  26. 「39」sasakure.UK×DECO*27 (2012)
  27. 「ハジメテノオト」malo (2010)★▲


「Packaged」「ワールドイズマイン」と来たときには、まさかの「メルト」砲で締めか!と若干期待する向きもありましたが、そこは普通に「ODDS&ENDS」でしたね。前半に固められたせいか、思いのほかたくさん新曲が入った印象。どれも当たりだったように思います。

ちなみにマジカルミライ3年連続当選を果たしたのは「Tell Your World」「深海少女」「Sweet Devil」「キャットフード」「glow」「ODDS&ENDS」「39」あたり。ここいらが中興の祖として今後の定番曲の扱いになっていくのでしょうか。逆に2014新曲だった「ワンダーランドと羊の歌」「EARTH DAY」あたりが早くも落選したことで、今後再演がどこかであるのか気になるところです。

イントロ、曲間、追い出し

昨年のマジカルミライ2014で特に不満だったのが曲以外の部分(イントロ、曲間、追い出し)のおざなりさだったのですが、今年は十分な演出と配慮が感じられました。

イントロは最近定番となりつつあるMIKU EXPOの流れを踏襲(イントロ曲ボリューム上げからライブタイトルロゴ)し、曲間は短く観客を冷めさせない疾走っぷり。追い出しもWアンコール後にミクさんが何度も何度も手を振ってくれたし、その後テーマ曲「Hand In Hand」をフルコーラスで流してくれて余韻を味わうのに十分な時間を持つことができました。

MCが使い回しだったり、バンドメンバー紹介にミクさんが絡まないなどライブ演出として物足りないところもあるにですが、その分出来る限りたくさんの曲を入れるという方向性は個人的には好みです。

モーション、モジュール

今回のライブで唯一の難点をあげるとすれば、新規モジュールが皆無だったこと。ラズベリー・モンスターあたりはSEGAのDIVA Xプロモーションの流れから期待していたのですが、残念でした。その代わりモーションに関しては細かい調整が入っていたよううに思います。個人的には「はじめまして地球人さん」のコミカルな動きは、ミクさんのまた別の一面でありとても気に入りました。

会場

純粋な箱として見た場合の日本武道館は、収容人数のわりに舞台が近くて正直リピートしてくれないかなと思うくらい満足でした。アリーナはまずどこでも当たりと思っていい距離でしたし、スタンドも舞台の遠さを感じる場所は少なかったと思います。

ただ音響については事前に難ありということは聞いていたのですが、そちらはちょっと想像以上に難ありだったと思います。9/4夜公演のアリーナでは特に問題はなかったのですが、9/5昼公演の1F東ではミクさんの歌とバンドの演奏が明らかにタイミングがズレて聞こえたことが何回がありました。そのあと東京MXのライブ中継の録画で確認した限り特にずれているようには聞こえなかったので、やはりスピーカーの配置と箱の問題で何かが起きているような気がします。

あとやはり正面から見る場合と横から見る場合の臨場感の差はいかんともしがたいですね。おそらくA席でも南東、南、南西の方がS席の東、西よりもずっとよかったはずです。そろそろ視野角で席のランク(S,A)を決めて欲しい気がします。

その他

やっぱり初回公演はネタバレがなくていいですね。曲間の独特の緊張感と曲がわかったときのどよめきはまさにライブでないと味わえないものです。最終公演に人気が集中するのはわかるですが、それと同じぐらい初回公演はよいです。絶対オススメです。

おわりに

武道館公演を無事終えた「マジカルミライ」そしてミクさんライブの行方は誰にもわかりません。SEGAProject DIVAの販促イベントとしてはじまったミクさんライブは、その後のクリプトン主催のファンイベント「マジカルミライ」に再構成され、試行錯誤を繰り返して今年の武道館公演に至りました。ミクさんライブそのものが試行錯誤の産物であり初音ミクをめぐるカルチャーのドライバーであって欲しいと思います。なので、来年もぜひ武道館で!とは言いません。願わくは今度武道館に戻ってきたときにみんなで「ハジメテノオト」を唄い、今年の武道館公演からの軌跡をまた振り返ることができたら、なんてことをまた夢想しつつ次のライブもまた楽しみたいです。

2015 SNOW MIKU Live 備忘録


このエントリはSNOW MIKU Live 2015に参加してみて、

  1. 冬に
  2. 遠方にある
  3. オールスタンディングの
  4. ミクさんのライブ

に参加するとはどういうことか、備忘録的に書き記すものです。
僕自身はミクさんのライブはまだ2回目で、まだまだビギナーで大した経験はないのですが、今回のライブ参加にあたってかなーりアレコレ考えたので、今後同じようなミクさんライブが開催されたときに初めて参加するひとの助けになればと思います。

荷物どうするの?
今回一番勝手がわからなかったのはオールスタンディング。コンサート自体はアレコレ参加してきましたが、オールスタンディングのライブは初でした。
一番悩んだのは荷物問題。
オールスタンディングということは座席に荷物を置くってわけにいかないので、基本的に荷物は全部身につけるか会場のロッカーに押し込むしかないのです。Zepp Sapporoウェブサイトやらアレコレ調べても全員分ロッカーが用意されているわけではなさそう。基本的には手ぶらで入れればベストなのですが、上着はどうしても荷物になる。さすがに北海道の冬場でTシャツ1枚で開場待ちとかありえないので、いったいどうすれば?的な感じでした。
考えた対策としては3つ。

  • 会場の近くに宿を取る。これで大きな荷物は全部預けられるか部屋に放り込めるはず。
  • 腰に付けられるバックを持っていって、最悪ロッカーが空いてない場合はその中に上着を押し込められるようにする。
  • それでも荷物は最小限にしてなるべく身軽な格好で並ぶ。

結果的にはどれもやってよかったです。

宿はZepp Sapporoから徒歩圏(というか至近)のホテルを探しました。一番近い(ほぼ隣)なのが札幌エクセルホテル東急ですが、今回はその通り向かいのチサングランド札幌に泊まりました。
ライブ会場でも一部グッズ販売をしているとのことだったので、1回目の昼公演開場よりちょっと早めに会場到着して事前グッズ販売に並びました。幸い列は大したことはなくて10分もかからずお目当てを回収し、そのまま荷物を持って歩いてホテルへ。ロビーで荷物整理して公演モードにスイッチして要らない荷物をフロントに預け、そのまま会場の待機列へ並ぶことができました。グッズで売っているショッピングバックはかなりでかいので、ライブ会場のロッカーには収まりません。その意味でも会場から徒歩圏に宿があるのは理想です。昼公演と夜公演の間に休めたりもしますしね。

さて会場内のロッカー問題ですが、結果としてZepp Sapporoの場合においては会場内のロッカーは全部埋まらないように思いました。もちろん整理番号が若くて早めに入場できる場合はまず心配いらないと思いますが、後のほうでも結構大丈夫でした。というのも、整理番号が若いひとはガチで前列を取りに行くので、結果的にロッカーには目もくれずフロアにいくと思われ、僕は整理番号がかなりオシマイのほうだった(Bから始まる整理番号)にも関わらず空いてました。
ただロッカーはかなり小さく、小さなカバンかリュックサックがやっと入るぐらいの大きさで、コートだとたたんで入れるだけでいっぱいになってしまうと思います。キャリーとかは論外。大きな荷物はやはり会場外のコインロッカーなどに入れるしかないです。実際ショッピングバッグとかキャリーを会場に持ち込んでるひとは多く見かけました(ちょっと邪魔....)。会場近辺はZeppSapporo以外だと中島公園駅改札前に少しコインロッカーがあるぐらいなので、荷物を持って現地にくるともう会場に持って入るしかなくなるので注意です。
ロッカーを使う場合の注意としては、動線として「入場→ロッカーに荷物預ける→フロア」という感じになるので、後の整理番号のひとがその間もどんどんフロアに入っていきます。本当にいい場所を取りたかったらロッカーは諦めるしかありません。今回は1回目昼公演はロッカーを使いましたが、2回目夜公演は明らかにひとが多い感じだったのでロッカーはパスして、腰に付けたバッグに上着を押し込みました。基本的にはそんなにあわてなくても、荷物は全部身につけられる身軽さがあればそこそこの場所には行けるので、とにかく荷物は少なくを心がけましょう。

整列から入場まで

オールスタンディングの場合、チケットに書かれているのは整理番号だけです。今回のZeppSapporoの場合、整理番号はAから始まるものとBから始まるものの2種類あり、A1〜→B1〜の順で入場します。開場近くなると基本的に整理番号順に列を作ってならびます。Aの若い番号から順に会場横に列を作りますが、Aの後ろの番号とBは会場近くの川沿いの道に列を作ります。入り口に列の待機場所が掲示されるので自分の整理番号を見てどの列に並べばいいかを確認しましょう。
今回は列形成に関してコンサートスタッフからほとんど指示がなかったので、結果として並んでいるひと同士で番号を教え合って自分の並ぶ場所を見つける状態...。会場入り口でも番号呼び出しなく並んだ列のまま入場だったのですが、たまたま今回がそうだっただけなのかもしれません。ともかく開場時間がくると整理番号順に入場が始まるので、特に整理番号が前の方のチケットが手に入った場合は開場時間までには会場に来ないと、せっかく早く入れるのがもったいない!ということになります。
さていよいよ入場。チケットを切るところでとドリンク代500円を払います。お釣りもくれますが、後ろで待っているひとのことも考えて小銭を用意しておく方がいいでしょう。このときにドリンク引き換え用のコインをくれます。ドリンク(ペットボトルです)は終演後も引き換えられるので、オススメは公演中の水分補給用のドリンクはあらかじめ買っておいて、引き換えは終演後にするとドリンク引き換えの列をパスできます。ドリンクと一緒にドリンクホルダー(ペットボトルを腰から下げられるもの)をくれるので、持っていない場合は先にもらうといいかもです。
ここでロッカーを使う場合はロッカー室へ。ロッカーで100円玉がいるのでその用意も忘れずに。あとトイレも済ませましょう。一度フロアに入ると終演まで出られないと思った方がいいです。準備ができたらいざフロアへ!

どこで見る?
今回は参加した2公演ともに整理番号Bから始まるチケットだったので、フロア左手の扉から中に入るともうすでにぎっしりという感じでお客さんが立っていました。さぁどうする?このままだと壁際から見ることになってしまう!僕はマジカルミライ2014のスタンド席でミクさんを横からみることになりかなり悲しい思いをした(いかにもスクリーンに映してます風に見えた)ので、正面から見られる場所に移動すべくひとの隙間でかき分けられそうなところを探しました。
さすがに舞台に近い方はどこから入るの?って感じだったので、フロアの真ん中からやや後方で中に向かって通れそうな場所を探しました。結構床に荷物を置いているひとが多く、その荷物で出来た隙間から荷物をまたぐ形で中へ。しばらく進んでこの辺で止まっても大丈夫かな?という場所を確保。結果的に1公演目はほぼ真ん中PA席の前あたり、2公演目は昼公演よりも前方のこれもほぼ正面に行くことができました。やっぱり正面はいい!存在感が圧倒的です。個人的には舞台近くで斜めから見るよりは、やや後ろでも正面から見たほうが「そこにいるミクさん」を感じられるのでは!と思います。荷物が少なければ少ないほど身軽に入れて場所も見つけやすいので、整理番号が後ろでも諦めることなく場所探しをしましょう。
スタンディングの場合に避けられないのが、前に背の高いひとがいると見えない問題。僕は身長165cmで決して背の高いほうではないので、前方になるべく背の高いひとがいるところを避けつつ場所取り。おかげでなんとか「時々隠れるのはしょうがないかな」ぐらいの感じでは見ることができましした。もちろん腰から下はほぼ見えないですけどね。オールスタンディングだと後から後から人が入ってきて詰められちゃうので、一旦「ここがいいかも!」と思って確保した場所でも、前に背の高いひとが入ってきて「うわーん」ってなっちゃう難しさはあります。やっぱりお顔も見られないっていうのは悲しいものがありますよね...。Zepp Sapporoは後方のPA席の両端だけが床が少し高くなっているだけで、あとは完全にフラット。スロープや段差をつけると逆に危ないという事情も理解はできるんですけどね。「秘密警察」でミクさんが台の上に登って歌う演出のところは足までしっかりと見えたので、ずっと台の上で歌ってくれればよかったのかも...。

公演回で雰囲気が違うんです
今回のライブは2日間昼夜の計4公演行われて、僕は1日目の昼夜の2公演に参加しました。昨年のマジカルミライ2014東京公演がミクさんライブ初参加で、そのときは昼公演に参加したのですが、参加している年齢層が全体的に低い(未成年の方も多かったと思います)ので、BDで見ていたようなコンサートと比べておとなしめな印象を受けました。後から話を聞くと夜公演はそうでもなかったようで、これは是非とも夜公演に行かねば!ということで、まずは夜公演のチケットを確保を目指しました。夜公演は1日目、2日目とあり、なんとなく2日目の最終公演のほうが盛り上がるのではという気がしたのですが、コンサートが終わってからでは東京行きの飛行機に間に合わないので、1日目を選択。結果的に多くのひとが同じ状況だったと思われ、1日目(3/7)夜のチケットは最終的に売り切れてました。で、どうせ行くならもう1公演見たいよねってことで、1日目夜の本命に備える偵察の意味も込めて、前哨戦として1日目昼のチケットも確保しました。結果的にこの2公演に参加したことで、各公演回の雰囲気の違いのようなものがわかりとても面白かったです。
まずは昼公演。この回は今回のライブの初回公演にあたります。この初回公演の面白いところは、お客さんの誰もセットリストを知らないところです。曲が終わるたびに「次は何の曲かな〜」というワクワク感があり、お気に入りの曲が来た時の盛り上がりは他の回にはない独特の雰囲気がありました。特に今回のコンサートは、アンコールで雪ミク2015のコロボックル衣装を身にまとったミクさんの登場からの新曲「Snow Fairy Story」お披露目、そしてダブルアンコールのDX7弾き語りによる「星のカケラ」と、最後のサプライズ2連続でとても満足感が高かったです。2回目以降は当然連続参加しているひとはセットリストがわかっているある意味「ネタバレ」状態なので、どうしても驚きの感じは薄れます。なので初回公演は絶対のオススメです!また昼公演は当日券が出ていたぐらいで、夜公演ほどのぎゅうぎゅう感はなく見やすかったので、落ち着いてみるには昼公演、という選択は悪くないと思います。
そして夜公演。やはり本命回なだけあって、待機列からみんなワイワイがやがや。公演開始前もスクリーンに映し出される映像に合わせて「ロート製薬大合唱」「サンキュッコール」「おひめさまコール」とミクさんラヴオーラ全開。公演中も昼公演に比べて一体感が半端なく、いつまでも続いて欲しい、正に夢の時間でした。
オールスタンディングで1日2公演連続参加は正直体力が持つかどうかちょっと心配してたのですが、案ずるより産むが易し。2回目の夜公演では、セットリストがわかっているので、曲目によってペンライトを振るのを控えめにしてじっくり聴くようなこともやってみました。「ロミオとシンデレラ」で涙がこぼれたのは自分でも意外でした。すごく思い入れがある曲ってわけでもないのに、じっと聞いているだけで涙が出るんです。もちろんペンライトを振るのもそれはそれで醍醐味なのですけど、楽しみ方はいろいろです。時間と財布に余裕があれば是非複数回公演に参加することをオススメします。いつもとちがう楽しみがきっと見つかるはずです。

終わりに
ずいぶん長々と書いてきてしまいましたが、この長さがある意味今回のライブの体験の濃さそのものなのです。百聞は一見にしかず。幸か不幸かミクさんファンになった方は、一度はライブへ足を運んでみてください。忘れられない時間が待っています。次は是非コンサート会場でお会いしましょう!

初音ミク公式ブログ http://blog.piapro.net/

「日本海軍400時間の証言 軍令部・参謀たちが語った敗戦」(NHKスペシャル取材班・新潮社)「日本海軍はなぜ過ったか 海軍反省会四〇〇時間の証言より」(半藤 一利、 澤地 久枝、戸高 一成・岩波書店)

日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦日本海軍はなぜ過ったか――海軍反省会四〇〇時間の証言より

出張のフライトの行き帰りで「日本海軍400時間の証言 軍令部・参謀たちが語った敗戦」「日本海軍はなぜ過ったか 海軍反省会四〇〇時間の証言より」を読了。ちょうど前回の読書日記で触れた渡辺清氏の著書「海の城」「戦艦武蔵の最期」を読んで日本海軍関係の本をもう少し読んでみたいと思っていたところ、昔NHKスペシャル海軍反省会に関する番組を見たことを思い出し、関連本で出ているなら読んでみたいと図書館から借りてきました。(ちなみにNHKスペシャルの感想はこちら。)

日本海軍400時間の証言 軍令部・参謀たちが語った敗戦」は、同タイトルのNHKスペシャルの取材班が書いたものですが、いわゆる番組内容の書籍化ではなく、番組を作成するにあたっての取材・制作過程およびその後のドキュメンタリーになっていて、番組を見たひとにも改めて一段深い情報を提供する内容だったのがとてもよかったです。海軍関係者への取材を通じて、海軍関係者が胸に抱く怒り、戸惑い、葛藤を取材班自身がもう一度なぞる形で番組として結実していく過程は、出来上がった番組以上に惹かれるものがありました。
もう一冊「日本海軍はなぜ過ったか 海軍反省会四〇〇時間の証言より」は、放映後の反響を受け、今後につなぐ形での議論を半藤一利澤地久枝戸高一成の三氏の鼎談という形でまとめたものでした。特に半藤氏や澤地氏はそれぞれ固有の戦争体験があり、その実体験を踏まえて海軍反省会という題材を前にしたとき、改めて歴史を受け継ぐとはどういうことかについてお二人が思いを巡らしているのが印象に残りました。

日本海軍がどうであったかというのは、半藤氏の「海軍は幹部が二千人ほどの会社である、そういう規模の会社だと思えばいいんですよ。」という発言で、ほぼ了承できてしまうと思います。番組のタイトルにある「海軍あって国家なし」「やましき沈黙」「第二の戦争(戦犯裁判)」は、いずれも会社組織であったとすれば、さして特別なことではないはずです。NHKスペシャルではそれを今もなお巣くう自分たち自身の問題として語りかけるスタンスをとっていました。ただ僕がこれに加えて思うことは、いま日本という国全体が「会社化」していて、決して当時反響があった組織に属して働いている30代40代のサラリーマンが主に直面する問題なのではなく、もっと幅広い階層のありとあらゆる場面で起きつつあることだと思うのです。この「会社化」のロジックについては、僕はまだ理解をし得てないのですが、行く行くは今後の読書の大きなテーマになるような気がしています。